destiny19...壊れてしまったまりあ
年が明けても先生からの返事はなかった。
先生、忙しいのかな…。
先生、逢いたいよ。
それからもあたしは先生へ手紙を書き続けた。
何枚も何枚も。いつか先生から返事が来ることを祈って…。
──『なぁ透子〜。お前何で戻ってきたんだよ。いいかげん話して...』
『…あたし離婚してきたの!貴史とは…あたしやっぱり優広じゃなきゃだめなの!!!あたし優じゃなきゃ…優が居ないとあたし...(涙)』『透子…分かったから、もう泣くなよ…大丈夫だよ。泣かなくて良い…』
『…優広(泣)』
もうすぐ4月。
あたしは一時帰国していた…。
そうだ、先生に会いに行こう!
───ガラッッ♪
『いらっしゃいま..せ…兄貴…透子さん…』
『よう。』
『何で!?何で2人が仲良く居るわけ!!ねぇ!』『…ひかり!やめろ。俺が話す。店、準備中にしとけ。』
『…なぁ。兄貴。お前何やってんだよ?まりあちゃんのこと忘れたわけ?忘れたなんて言わないよな〜!』
『…あいつのことは…』
『…ちょ、ちょっとちょっと〜!何いきなり険悪ムードなのよ〜(笑)』
『悪いけど透子さんは黙っててくんねぇかなぁ!』
『こいつは…透子はさ、俺が居ないとだめなんだよ!1人じゃ弱くて立ってられないんだ。だけどあいつは…まりあはさ、きっと強いから...1人でもやっていけるよ…』
『…ふざけんなよ!!』
バキッッ──
『─っっ。』
『何すんのよ!?まさ!』
『お姉ちゃんは黙ってて!』『…あいつは強いよ。だってそうだろ!その証拠に手紙一つ送ってこない──』
『…何言ってんだよ優兄!!手紙ならまりあちゃんもう何回も』
━━━カラン♪
『あっ、すいませんいま準備ちゅ..まりあちゃん!!?』
『…まりあ!?』
『……!!!』
バタン──!!
『…なぁ...兄貴?何してんだよ...???追い掛けろよ!!?』
『……』
『…ねぇ、優広さんさ、手紙、本当に何も知らないの??』
『知らないよ』『…どうして...お姉ちゃん…?ねぇ、もしかしてお姉何か知ってるじゃないの!』
『……別に。』
『別にじゃないよ!!ねぇお姉、ちゃんと答えて!!』
『…透子?』
『…あたしが取った。』
『はっ!?お前何してんだよ!!』
『お姉ちゃんに向かってお前って何よ!?別に良いでしょ!!?何が悪いの!』『…捨てたの?ねぇもしかして捨てたの???』
『…。』
『透子答えろ!!答えてくれ!!手紙どうしたんだよ!?』
『…。』
『なぁ!答えろ。答えてくれ透子…』
『…捨ててなんかないわよ。捨ててなんかない!!(泣)』
バサッッ──ちらばる手紙──。
『初めての手紙は真がポストに入れる所を見て取ったの。それからの手紙は直接ロンドンから送られてきたからあたしがいつもポストから抜いてた…』
『…。何でだよ、何で透子──。』
『悔しかったの!だってあんなに透子、透子言ってた優がいまはもうあたしじゃない他の誰かを愛してる…耐えられなかった…失ってからこんなに後悔してるのあたし...(泣)』
───バタン!!
ピーンポーン♪『はい─。どちらさまですか?』
『…あっ、あの!俺ッッ、木村です!!あの、まりあさん居ますか??』
『…居ません。』
『あのお願いします!!話しだけでも良いんで聞いて下さい!あの、俺!』
『帰ってください!!迷惑です…!!ブチ──』
窓から外を見つめているまりあ──。
『…先生!!?』
『まりあ!!』窓の下から叫ぶ先生。
『知らなかったんだ俺!!信じてもらえないかもしれないけど俺、お前の手紙──』
……先生...(涙)
『先生!!待ってて!いま行く!!』
階段を降りるまりあ─。『行かせない!』
『ママ?ねぇお願い!!どいてママ!ねぇママ!!』
──結局その日、何時間待ってもまりあは外へは出て来なかった...。
あたしは部屋に閉じ込められてしまった…。すぐ下に先生が居るのに。やっと先生に会えたのに…あたしは次の日ロンドンへ帰された。まるで人形のように───。
───カラフル。
『…優兄。これ!ロンドン行きのチケット。行けよ。行って今度こそまりあちゃんつかまえてこいよ!』
『…真広!サンキュ☆』
4月21日、俺はロンドン行きの飛行機に乗っていた。
乗っている間、俺はまりあからの手紙を何度も何度も読み返していた。まりあの痛いくらい真っ直ぐな想いが俺の胸に突き刺さる…。辛かったなまりあ。お前は全然強くなんかない。俺が居なきゃだめなのはまりあだったんだよな…ごめんな、ごめんな…まりあ。
まりあの住んでいる別荘に着いた俺──。
『あの!俺、──。』
『…君が木村くんか!?まりあが!まりあが居ないんだ!!』
『…?居ないって...??!居ないってどういうことなんですか!?』
『…仕事から帰ってきたらあの子の姿がなくて…学校にも、携帯も…私は一体どうしたら…』『どうするも何も探すしかないでしょう!探しましょう!!』
それから俺たちはまりあのことを探し続けた。2日間ずっと探し続けた。
『優兄!!まりあちゃん、日本で見たって!良く分かんないんだけど見かけた人が居るって!!いまこっちでも俺とひかりと舞ちゃんにまりあちゃんのお母さん、お兄さんみんなで捜してるんだ!!だから兄貴も帰ってきてよ!』
先生──ねぇ、先生。ロミオはジュリエットを愛して、ジュリエットはロミオを愛した。2人の結末─あたし本当は知ってるよ…。
俺とお父さんはすぐに日本へと戻ってきた。
戻ってくる帰りの飛行機の中でお父さんは俺に話してくれた。
『すまない…後悔しているんだ…。私たちが、無理矢理君たちを引き離してしまったから…だからこんなことに...こんなことになるなら最初から反対なんてするんじゃなかった…私はどうしたら…』
『…今は泣いてる場合じゃないですよ。きっと見つかります。見つけてみせます!!』
『…君と別れてからのあの子はね、まるで人形のようだった…無表情で瞳には何も映ってはいないような、そんな悲し気な瞳でいつもどこか遠くを見つめていた──』
『…まりあ。』
♪♪あーるがまーまの心で〜生きられぬ〜弱さをー♪♪
先生の大好きなミスチルの曲─。あたしは口ずさんでいた...♪♪♪
まだ桜、咲いてるんだ…。懐かしい…。去年の春にあたしと先生はこの場所で出逢ったんだ♪懐かしいなぁ。
先生──あたしを愛してる?愛してると言って…。
早く、あたしを見つけてそしてあたしに言って。もう大丈夫だよって。もう誰にも邪魔されない。2人だけの場所に行こうって。
ねぇ、先生──。あたしを愛して。
俺たちは日本に着いていろいろな場所を捜した…。捜して捜してやっとたどり着いた場所──学校...
『先生☆今日からここがあたしたちの特等席─2人だけの秘密の場所ね─♪』階段─そうか屋上に近いあの階段だ!俺は走ったよ。もう何が何だか分からなかったけれどただ君のために走った──。
屋上に一番近い階段。俺たちの秘密の場所──。階段のてすりに書きなぐりの傷でつけられた文字。まりあだ。
《Dearせんせー 大好きよ、せんせい ロミオとジュリエットは、ちゃんと結ぶばれたんだよ、せんせい 2人はえいえん という幸せのけつまつの中で...》
『まりあ…』
ふと屋上の扉へと目を向ける俺、『…嘘だろまりあ…嘘だよな...?なぁ、まりあ』
━━━ガチャ。
『まりあ!!』




