destiny14...壊れてしまった先生
先生と話したいよ。先生に触れたいよ。先生に抱きしめてほしい。まりあってあの優しい声で何度も呼んで何度もキスをしてほしいよ。先生。先生。大好きだよ。
『まりあ!…あのさ話そう?あっ、てゆーか携帯、繋がらないみたいなんだけど…大丈夫(つд`)???家、居づらくない?』
先生──大好きだよ。
『…大丈夫です!携帯は新しいのに変えさせられちゃったの。でも家に居づらいなんてことはないから大丈夫ですよ。ママもパパも優しいしお兄ちゃんも居るし(^-^)』
『…そっか。。。』
『…はい!!…先生……先生は、大丈夫、ですか??』
この時、先生は微かに笑っていたね。だからあたしは大丈夫だと思ったんだよ。あたしは先生の笑っている顔が好き。大好き。だからあたしは…。
10月も半ばに入り少し肌寒くなってきた。先週の金曜日の4限。英語の授業─先生の代わりに村田先生が入ってきた。先生はその日学校には来なかったんだ。先生どうしたんだろう...?
噂は広まるのも早いけれど消えるのも早い。一ヶ月もすればすっかりなくなっていた。
朝、起きて学校へ行く。授業を受けて友達とおしゃべりして家に帰る。何にもない。ただただ平凡な毎日が過ぎていく。悲しいことも辛いこともないただ平和な毎日。だけど嬉しいことも楽しいことも何一つないたいくつな毎日。
『つか最近木村先生見なくね?』『確かに!どしたんだろ〜ね〜?』
『誰かさんに会えないショックでおかしくなっちゃったんじゃないの〜?(笑)』
『お〜ロミオ〜あなたはどうして先生なの〜ってね。悲劇の主人公、気取ってんじゃねーっつうの!!(笑)』
『言えてる〜!!(笑)』
『いい加減にしなよ!お前らうざい!!』
『…舞』
舞がかばってくれた。
ねぇ、先生─
先生はどうして、先生なの...??
どうしてあたしは先生の生徒なのだろう…。
気がつくとあたしはあの場所に来ていた。あたしたちの秘密の場所──。階段にしゃがみこんで泣いていた。何時間も何時間もただ泣いていたんだ。
『…まりあ???』
『…先生。』
ふと顔を上げるとそこには先生が居た。
『どうした???泣いてるの?大丈夫か...?』
そう心配そうにかがみこんだ先生。
先生、大丈夫だよ。あたしは大丈夫。大丈夫じゃないのは先生なんじゃないの!どうしたのはこっちのセリフだよ先生…先生…すごく痩せ細っていて。顔色悪いよ。瞳だって悲しそうな瞳。
『…先生、どうしたの!ねぇどうしちゃったの?先生!!!』
何を言っても先生はぼ〜っとしていた。しばらくたって先生は急にあたしを抱きしめて言ったんだ。
『このままで…もう少しだけこのままで…』
『先生…。』
『…何をやっているの?』
『えっ...ママ…』そこに居たのはママだった。どうしてママがこの場所を…
『今すぐ離れなさい!!その子から手を放して!!』
先生の手にはもう力なんて全然なくって必死にただ必死にあたしにしがみついているだけだった。先生はあたしからそっと手を離して何も言わず階段を降りて行ってしまった…。
『先生!!』
『…分かっているわよね?
ロンドンへ行きなさい。』
先生、ねぇ先生──。
あたしは行けないよ。こんな先生を1人にして海外へなんて絶対に行けない。
ねぇ、先生─行くなって言って?俺の傍に居てくれってそう言って。お願い先生。
11月11日──。あたしはロンドンへ行きます。
ねぇ、先生?あたし本当に行っちゃうんだよ?あの日以来あたしは何度も先生に電話した。ママには内緒で家にも行ったんだよ。だけど先生は何も言ってはくれなかった…。ただいつもの、哀し気なあの瞳でどこか遠くの方を見ていたんだ。先生、あたしは先生が大好きだよ。世界の誰よりも何よりもあなたのことがあなただけのことが大好きよ。先生──。




