destiny13...愛し合う2人が幸せになる方法
先生の家に泊まった次の日、あたしは学校へ行った。いつものように1日を過ごす──。授業を受けて舞と喋ってお昼を食べる。お昼休みには英語科準備室へ先生に会いに行く。午後の眠い授業を受け家へと帰る。
──ガチャ。
『ただいま〜』誰も居ないのかな〜?あたしはリビングへ向かった。ソファーにママが座っていた。
『…ただいまママ』
『…』
『ママ...???』
『…まりああなた、留学しなさい。』
『…え。何言ってるのママ...??』
『何言ってるも何もないわよ。あなたはロンドンへ語学留学に行きなさい。』
突然のママからの留学という言葉にあたしは固まって動くことが出来ずにいた。
『ママが何も知らないとでも思ってるの?高校生の分際で男の家に泊まり込んでしかもそのまま学校へ行くなんて。汚らわしい!』
『…』
『別れなさい。あの先生とは』
『…嫌!!あたしは別れない!!絶対別れないもん(涙)』『まりあ聞きなさい!』
『嫌!触らないで!!』
『まりあ!!いい?あなたは良いわ。生徒ですもの。それにまだ未成年。何かあったらみんなが守ってくれる。だけど先生はどうなるかしら?先生はあなたと違ってもう大人よ。もう社会人。誰かに守ってもらう歳じゃないわ。生徒とそういう関係になったなんてバレたらどうなると思うの?まちがいなく解雇よ。先生はあの学校を追われる。そしてもう二度と教師は出来ない。それでも良いの??あなたの大好きな先生の大好きなもの奪っても、あなたはそれでも幸せなの??』
『あたしたちはお互い、愛し合ってるんだよ?ねぇママ聞いて。あたしは先生が』
『分かる。分かってるわママは。だけどみんなはそうは思ってくれない。教師である先生が犯罪者として、そういう目で見られてしまうわ。…分かるわよね?まりあはすっごく頭の良い子だもの。良く考えなさい!』
『……。』
あたしの大好きな先生の、大好きなもの──
いつか先生はあたしに話してくれたことがあったね。
《俺ね本当は教師なんてなりたいとまったく思ってなかった。本当は通訳になりたかったんだよね。だけどなれなくっておさえで取ってた教職の授業を思い出して教員免許取って仕方なく教師になったんだ。教師なんて誰にでも出来るたいしたことない仕事だと思ってた。だけど実際働き初めてみて分かったんだけど俺には教師って仕事向いてるかもしれないって思ったんだ。毎日毎日ホントに忙しいんだけど一生懸命授業を聞いてくれてる生徒が居たり悩みを俺なんかに相談しに来てくれる子が居たりさ♪"先生先生"って寄って来る誰かさんみたいな子も居るしね(笑)
まぁそんな仕事も悪くないなぁ〜ってさ。てゆーかむしろなって良かった!って今は本当に思ってる。これからも続けていけたらいいなぁって思うんだ...》先生、あたしには出来ないよ。大好きな先生の大好きなものあたしには奪うことなんて出来ない。
だから..だからね....先生?
先生、あたし、あたし、あたしは…
コンコン──。
『まりあ...?』『ママ...?』
『…ママねまりあのこと責めてるわけじゃないわ。まりあは良い子だからもう充分反省しているわよね。だからね、ママ1つ提案があるんだけど…』
『提案???』
『そうよ。もし…もしもあなたが先生と別れるなら..留学はなくしてあげても良いわ。パパはあたしが説得する。先生も解雇はさせない。ただあなたたち2人は戻るの。まだ何もなかったただの教師と生徒の関係に。何にも辛いことなんてないじゃない!舞ちゃんとも一緒に居られるし先生とだって学校で毎日会える。どう(^-^)?』
『…ただの教師と生徒に...』
『そう☆先生を守るために。愛し合ってしまった2人が、誰も傷つけずに幸せになる方法はそれしかないわ。』
『…』
『良いわね?』『…はい...』
『そのかわり今度また何か先生とあったらその時は間違いなくあなたはロンドンへ行ってもらいますからね!先生にはママから言っておいてあげるから…。』
こうしてあたしは先生との別れを選んでしまったの…。先生、ねぇ先生──。
この時あたしは先生との別れを選んでしまったけれどまさかあんなことになるとは思ってもみなかった。あたしは自分は弱い人間だと思っていた。先生が傍に居てくれて先生に守られていないとだめな弱い人間だと──。
だけどね本当は違ったんだよね。
弱いのは先生の方だった。
先生はあたしが居ないと生きていけない。本当は強くなんてない弱くて弱くて壊れてしまいそうだったんだよね。あたしは今でも後悔している──。この時先生から離れてしまったこと。先生を1人ぼっちにしてしまったこと。でもね、先生。あたしはただ先生を、あなたを守りたかった。ただ守ってあげたかった。それだけだったんだよ。
あたしの誕生日─16歳の誕生日──先生とあたしは引き裂かれた。
先生はあたしのクラスの担任から外されてしまった。
あたしは英語科準備室へ行くことも許されなくなって。携帯のアドレスも番号も消されてしまった。だからあたしと先生が会えるのは週に3回の英語の授業だけ──。
噂というものは広まるのがとっても早くって英語の授業の時はクラス中でヒソヒソ話しが聞こえていた。先生が悪く言われるのがかわいそうで悔しくってあたしは耐えられなかった。




