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新訳世界のリフレーン  作者: Knyth
第一章 流水の村
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第四話『変動』


「お父様、どういうことですか?説明してくだい。」


「え…えーっとだな…その…」


 グランパ…ユニコ叔母さんに説教をされている。


「いくら村の中だからと言って鋭い石が転がっていたり、雑草が茂っていたりしますよね?もし、踏んづけたり、誤って、手を切ってしまったりしたらどうするんですか?」


「そ…それは…」


 グランパ…狼狽えている。ぐうの音も出ないと言ったところか。


「今後そういうことがあれば、しばらくあの子との接触を禁止することになります。いいですね?」


「…分かった…もう二度とせぬ…だから…」


(グランパ…俺のせいで…!グランパはただ俺に自由を教えたかっただけなのに…!)


「な…なぁユニコ…許してやってくれないか?父ちゃんも悪気はなかっただろう。それに、子供は元気であるべきだろ…?」


 伺うようにジス(母さんだと味気ないので名前で呼ぶことにした)は言う。

 そうだ母さん!もっと言ってやれ!


「えぇ、そうです。元気であるべきなので、決して怪我なんかさせてはなりません。」


 ジスはうつむき黙りこくってしまった。完ペキな論理の前に敗北を喫したのだ。顔を上げ、グランパの方を見ると「救えなかった」という顔をして「見てられない」と目を逸らす。

 これから拷問でも始まるのか、グランパの顔はみるみる内に青ざめていく。

 ユニコ叔母さんがグランパの首根っこを掴むと、グランパは悟ったような顔をして部屋の外へ引きずられていった。

 そののち、叫び声がだけが廊下に響いた。

 あの人に逆らったらこうなる、震える空気と肌身で感じた。


「ルル…聞いちゃダメだ…」


 ジスはぎゅっと目を硬く瞑りながら俺の耳を手で塞いだ。


* * *


(よし…誰も見てない…あの方もいない…今度こそ…)


 俺はグランパから見て学んだ忍び足で玄関へと忍び寄った。この前はここで捕まったからな…そーっと内と外を仕切る暖簾をズラす。

 思ったより重いな。だが油断してはならないまずは顔だけを出して────


 (ん?あれはグランパ…?それと………誰?)


 顔だけを出して辺りを偵察すると、遠くの方にグランパと今の俺よりひと回り、いやふた周りは大きいだろうか、その位のナスビのような黒紫の髪の子供が手を繋いでいた。


 (ま…まさか従兄弟…!?)


 ユニコ叔母さんの子供か?でも髪色が全然似ても似つかない…。


 マズイこっちへと向かってくる、戦略的撤退だ!

 俺はすぐに玄関から居間へと駆けて戻った。


* * *


 座っている。

 先ほどの子供が居間で正座をして座っている…。

 というのも、このグランパの親友の孫で、孤児であるという。その親友と、「もしこの病に斃れたのなら、この子を引き取れ。」と約束していたそうだ。

 つまり、今日からこの家の養子となる。

 とどのつまり、今日から俺には義兄弟ができる、そういうことだ。


「ダニエロ、挨拶はできるか?」


「はい、ダニエロと申します。これからよろしくお願いします。」


 3歳くらいか?それにしてはとても礼儀正しい。


「あぁ、よろしく。私のことは母さんと呼べ。」


「はい、母さん!」


 理知的だな。


「よろしくね!私のことは…どんな呼び方がいい?」


「じゃあ…お母様でよろしいでしょうか?」


「もちろん!」


「お母様!」


 ホントに3歳?賢過ぎないか?


「ダニエロは本当に賢いのぅ、一昨年産まれたから…2歳か、ちょうどルロルフの一個上じゃな!」


 に…2歳!?嘘だろ!

 2歳でこんな受け答えできるハズがない…!

 でもグランパがそう言ってるしな…。


 そんなことを考えていると子供…ダニエロがてくてくとこっちへと歩いてきた。勝手に男性かと思っていたが、近くで見ると女性的な顔立ちだ。この年じゃ顔で性別なんか判別できないか…。


 ダニエロは座っている俺に目線を合わせるため、屈んで、


「よろしく。」と言った。


 負けてられないな。


「よ、よろしく…おねがいします。」


 どもってしまった。声帯がまだ発達しきっていないのか、久し振りに話したのもあるだろう。


「おぉ!ワシの孫たちは賢いのぅ!」


 ダニエロはそれを聞くと、訝しげな顔をした。何に対してかはわからない、だが、何かを蔑むような目に変わった。


 知っている、これはゴミを見るような目だ。齢2歳の子供がしていい目つきではない。


「そうだな、せっかく家族が増えたんだ、今晩はご馳走にするか!」


「やったぁ!何にするんですか?」


 わざとらしくそう言うと、ダニエロは何事もなかったように笑顔に戻り、踵を返しゆっくりと歩いて行った。

(振る舞いといい、さっきの眼差しといい…まさかコイツ…俺と同じように地球から転生してきたんじゃ…)

『22から9を取る件』の回答中にも関わらず、乱雑に新たな問いが投げかけられた。

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