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新訳世界のリフレーン  作者: Knyth
第一章 流水の村
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第三話『思考→行動』

 これは、まだ空が一つだった頃のおはなし。


 むかしむかし、あるところに12の英雄が居ました。


 英雄たちは、それぞれ自分の力を捧げ、国に貢献しました。


 1は国を作り、


 2は真理を説き、


 3は人々に愛を説いた。


 4は国を偉大にし、


 5は隣人愛を説き、


 6は性愛を説いた。


 7は国を勝利へ導き、


 8は正義を説き、


 9は本当の真理を探求した。


 10は国を正しく導き、


 11は力の虚しさを説き、


 12は身を挺して世界を止めた。


 人々は、そのはたらきに感謝し、彼らを数字にしました。


 めでたし、めでたし。


* * *


 こないだグランパが言っていたのはこれか………。よくある建国の童話みたいだ。

 それにしても、内容がかなり薄くないか?口伝だからなのか、元からそういうモノなのか…。

 結局、目星い情報は「9は本当の真理を探求した。」ってのだけ。俺の名前の由来、「22から(ルル)を取る」って話も分からず仕舞い。今日も収穫ナシか。


(この謎は、この手で、必ず、解明してみせる。)


「ルル…?ルル?どうした?ぼーっとして。具合でも悪いか?」


「うぅん。」


 首を横に振る。


「そうか……もう日も沈むし、寝るか。」


 俺はすくすく育った、歩けるぐらいには足腰も強靭になり、あれから単語が発せられるくらいには滑舌も発達した。(擬態するため、簡単な単語しか発さないが。)


 といっても未だこの部屋の中に籠りっきりだ。娯楽と言えば、この世界の考察と、さっきみたいな母さんの読みかせと、ちょくちょく窓から見えるあの月だけ。

 情報を求め、「水平線でも見えないかな」と、窓を登ろうとするが上手くできない。

 なぜ水平線だと分かったのか、それは波の音だ。微かにだが「バシャッ!バシャッ!」という潮騒がこだましてくる。潤沢に考える時間があったから分かった。


 というより、あり過ぎた。


(ダメだ…暇過ぎる…)


募っていく疑問は解決しないし、なによりアクセスできる情報が制限のがかなりキツい。身体は情報を求める…情報のオーバードーズ癖、情報社会ネイティブの悪い癖だな。


「すー…すー…」


(母さんも寝たみたいだし、起きててもどうせ解決しない疑問が増えるだけだ…俺も寝るか…)


そこで思考を打ち止めにし、意識を手放した。


* * *


「シーッ、静かに静かに…サイレンスするんじゃ…」


 …?目が覚めたと思ったら、いきなりグランパ?何してんだ?


「外の世界を見たことが無いんじゃろ…?ワシが連れて行ってやる…!」


(グ…グランパ!ちょうど退屈してた所だったんだ!ここから連れ出してくれるのか…?あ…ありがてぇ…!)


 グランパは俺を静かに、いいや、ステルスゲーみたいに抱き上げて忍び足で家を出た。



 ────目映い光が目に差す。


 眩しくて何も見えないが、とにかく多幸感でいっぱいだ。ワクワクが止まらない。



 少し経って光の世界に目が慣れてくるとそこには美しい世界が広がっていた。


 部屋の天井とは違う、どこまでも高い青空。


 細長い辰のようなうねる雲。


 イチョウのようで、どこか違うレモン色の葉で彩られた純白の木々。


 木に溶け込むような白塗りの街並み。


 馬のたてがみのように靡く黄金の小麦畑。かの小説で彼が求めていたライ麦畑とはこんな景色なのだろう。


 そして、空を割らんばかりの3つの月が「この空は俺の物だ。」なんて言わんばかりに悠々と空を回遊している。


 そんな雄大で壮観な自然に気を取られていると、

「おぉ!ルロルフ!鯨がおるぞ!ほら!」

 とグランパが。


 グランパが指を差した方を見ると、水平線の上で弧を描く文字通り、()()()なクジラ達が群れを成して石切りにされて遊ばれてるみたいに跳ねていた。


「うおぉー!」


 息を呑む景色に思わず声を漏らしレッツゴーのポーズを構えた。


「そうかそうか、楽しいか!おじいちゃん冥利に尽きるわい!」


 グランパは満面の笑みを浮かべると俺を地面へと降ろした。芝生を踏む感覚が心地よい。


「階段から落ちんようにな!」


 ありがとうグランパ、この恩は忘れねぇ!

 俺は颯爽と駆け出した────



 と思いきや首根っこを捕まれ、小さな冒険は終わりを告げた。

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