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夜明け知らずの黒狼ー幼き将と終齢の子ー  作者: 紺
三章 終齢の子
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4.レオニス邸宅にて

「で、間も無くそのセロ坊ちゃんも我が家に滞在するわけか。客人が増えるな」

 レオニスが笑う。

「……すみません。終齢石のデータを取るには、流石にあの施設とここを何度も往復するわけにはいかなくて。アベル様の今の状態の機密の関係もありますし。ご迷惑をお掛けします……」

 申し訳なさそうにノアがレオニスに頭を下げる。

「現地動向! って無理矢理滞在決めた奴が今更謝るなよ」

 当初の勢いからは考えられないノアのしおらしさにレオニスが腹を抱えて笑った。

「それにしても、お前さんが自ら終齢石排除に向けて動くとはなぁ……魔術についてはなかなかの知識があるとは思っていたが」

 囮になったアベルを追跡する際も、遮視の魔道具をすぐに見極めたり、障壁を破る術式に取り掛かったからこそ、あの速さで地下奴隷市場に乗り込むことが出来たのだ。

「……ノアはカルディア国立高等学術院を主席で卒業している。知識技術共にそこいらの魔術師と遜色はないぞ」

 レオニスの執務室で、テーブルの上の焼き菓子をつまみながらアベルが呟くように言う。

「すげーな……! 本当、アベルの事に関しておかしくなる事を除けば完璧だな」

 おかしくなるとは何ですか。とノアは小さく反論してから、言葉を続ける。

「……いえ、でもそれじゃ足りません。基礎的な魔術の知識と技術だけじゃ足りない。多岐に渡る知識が私には無い。だから今、集めているんです」

「集める? 何をだ」

「僅かな手がかり、ですかね。まだ、確証は得られないんですけど、その手がかりを繋ぎ合わせていけばもしかしたら……」

 ノアのいつにも増して真面目な顔に、邸の主は歯を見せて笑った。

「空いている部屋を使っていい。うちには有用な資料は無いかもしれないが、書庫、街の図書館もな。第二師団団長権限も必要なら言ってくれ。意に沿うように働こうじゃないか」

「レオニス様……ありがとうございます……!」


 そんな話をしていると、使用人から声が掛かる。

「レオニス様、お客様がお見えです」

「おっ、早速来なすったか」

 レオニスが正門へと向かうので、アベルとノアも続いた。

 正門前にはノアが手配した馬車が停まっていた。馬車の扉が開き、中から一人の少年が現れる。出迎えたレオニス達に、一瞬目を丸くして、嬉しそうに微笑んだ。

「赤竜将レオニス様……! すみません、お世話になります」

 礼儀正しくぺこりと頭を下げるので、レオニスも自然と笑みが溢れた。

「あぁ、自分の家だと思って自由に過ごしてくれ」

 セロの荷物を自ら持ち、レオニスは中に案内する。

「それにしても荷物少ないな」

「はい、本と着替えがあれば十分なので」

 玄関に差し掛かって、セロとノアの目が合う。

「ありがとう、来てくれて」

「うん、実はちょっと……ううん、すごく、楽しみに来たんだ。他の方のお家にお泊まりなんて初めてだから」

 セロの言葉にノアが噴き出す。

「確かに、「お泊まり」だな」

「でしょう?」

 噴き出したノアに釣られてセロがくすくすと笑う。


「なんかあの二人、随分と仲が良いみたいだな」

「ああ、あのノアがな。珍しい」

 楽しそうに話しているノアとセロの二人を見て、将の二人も微笑ましげにその様子を見つめていた。

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