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宴の始まり

 ラザン村の集会場に通されたセリアとグリ。

 そこには、豪華な宴の準備が整えられていた。長い木製のテーブルには色とりどりの料理が並び、村人たちが慌ただしく席を整えている。壁には神獣を模したと思われる古い絵が掛けられ、村の神聖な雰囲気を際立たせていた。

「こ、こんなに準備されてるなんて……。」

 セリアは戸惑いながら周囲を見渡す。食事だけでなく、衣装や飾り物まで用意されている。

「おお……神獣様とその従者よ。我らはこの日を長く待ち望んでおりました!」

 長老が恭しく頭を下げると、村人たちも一斉にひざまずいた。

「いえ、あの……違うんです、これはただの——」

「さあ、神獣様。どうぞお席へ!」

 話を聞く気ゼロ。

 セリアはため息をつきつつ、用意された席へと促される。グリ専用の座布団まで用意されており、その上にちょこんと座るグリ。

「ゴハン!」

「おお……神獣様が食事をお望みだ!」

 村人たちは歓喜し、すぐさま料理を並べ始めた。

 テーブルの上には、香ばしく焼かれた肉料理、野菜たっぷりのスープ、果物の盛り合わせなど、目にも美味しそうな料理が並ぶ。

「……いや、もらえるのはありがたいけど……。」

 セリアは思わず目の前の料理に手を伸ばしそうになるが、すぐに思い直す。

「って、違う違う! あの、話を聞いてください!」

「さあ、神獣様、どうぞお召し上がりください!」

「ゴハン!」

 グリは喜んでテーブルの食べ物をつつき始めた。

「神獣様が食しておられる……!」

「これは吉兆だ! 神獣様の加護が我らに降り注がれるに違いない!」

 村人たちは涙を流して感激している。

「……もう好きにして……。」

 セリアはがっくりと肩を落とした。

 こうして、神獣の歓迎宴が幕を開けたのだった——。

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