神獣大歓迎
ラザン村に近づくにつれ、道端には様々な飾りが見え始めた。村の入口には木製の鳥の彫刻が並び、道沿いには花が添えられている。
「……なんか、歓迎ムードじゃない?」
セリアは村の様子に目を丸くした。どの家にも白い布がかかげられ、村の人々は何やら慌ただしく準備をしている。
「ゴハン!」
「ちょっと、グリ。まだ何も食べてないのに、よくそんな元気あるわね……。」
セリアはため息をつきながら、村の中心へと向かった。
村人の一人が彼女たちの姿を見つけると、驚いたように目を見開く。
「あっ……! 神獣様が、ついにおいでになったぞ!!」
「えっ!? いやいや、違う違う!!」
セリアが慌てて否定する間もなく、村の人々が次々と駆け寄ってくる。
「本当に神獣様が……!」「まさか、本当に伝承が現実になるなんて……!」
次々と集まる村人たち。彼らの目は純粋な感動と興奮に満ちている。
「ゴハン!」
村人たちはその言葉を聞いて、一斉にひざまずいた。
「……神獣様が、お言葉を発した……!」
「食事を所望されておられるのか!? すぐに用意せねば!!」
「ちょっ……! だから、これはただのオウムの……!!」
セリアが慌てて止めようとするが、村人たちはまるで聞く耳を持たない。
「神獣様、ようこそおいでくださいました!」
そう言いながら、立派な装飾を身に着けた老人が人々をかき分けながら近づいてきた。彼はこの村の長老らしい。
「お迎えの準備を整えておりました。神獣様には、我らの最高のもてなしをいたしましょう。」
「いや、だから違……」
「さぁ、神獣様と使いの方を、村の集会場へお通ししなさい!」
「話を聞いてええええ!!」
セリアの声はむなしく響き、彼女とグリはそのまま村人たちに担がれるようにして、村の中心へと連れていかれた——。