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なろラジ6参加作品

悪役令嬢は、卒業パーティーで悪あがく?

「カミラ嬢! 君との婚約は破棄だ! 再三の通告を無視し、公爵家の力で生徒達を弾圧した横暴さは目に余る。貴族籍の剥奪を命じる」


 王太子ロイクの声が、卒業パーティーの広間に響く。

 王太子の後ろにはずらりと有力貴族の子息が並び立ち、彼の傍らには小柄な令嬢が震えていた。

 男爵家のレア。


 公爵令嬢カミラが学園を我が物顔で支配し、取り巻きを引き連れて他の貴族を。特に、男爵家の養女レアを虐め抜いたと噂になっていた。


 退学寸前まで追い込まれたレアは、生徒会長である王太子に救いを求め、結果。

 全校生徒と保護者が集まる今夜が、裁きの舞台となったようだ。


「殿下が述べられました(わたくし)の罪状。一切身に覚えがありません」

「騙されぬぞ。虐めだけではない! そなたは自身が目をかけた魔道具屋の品も、多くの生徒に圧し売っただろう! 調べはついている」

「魔道具と申されますと、魔法避けの?」

「そうだ。何の効果もないそれを売りつけられた、と苦情が多数上がって来ていたそうだ」


「効果がないなど、そのような嘘を誰が……」

「レアが教えてくれた」


「……左様で? では殿下も魔法避けをお持ちではない?」

「当然だ! そんな眉唾な物──」


 パチリ。

 前触れなく、カミラが手に持つ扇子を閉じた。

 途端に会場一体の床に、巨大な魔方陣が浮かび輝く。

 閃光が(ほとばし)った。



「わああ」

「なんだ?」

「きゃああ、これは一体!」



 光の後、慣れて来た視界が、奇異な光景を映し出した。



「カミラ嬢が、複数いる?!」



 会場中央には、先ほどまで断罪されていたカミラその人が、何人も。

 (まった)く同じ姿、同じ声で(ざわ)めていた。



「お、俺は騎士のルノーだ」

「私は宰相が息子ジャンだ」


 ()()()()が慌てた様子で声を上げる。

 口々に王太子の側近を名乗り、自分を証明しようとする。


 しかし騒ぎは一時(ひととき)だった。

 再び白い光が視界を支配し、次に全員が元の姿に戻る。


 会場にカミラは(ただ)一人。


「こ、のっ、魔女め! よくも悪あがきを! 会場を混乱に落とし入れ、満足か!」


 王太子がカミラを指さし、命じた。


「この者を捕らえよ! おかしな魔法が使えぬよう、喉を潰した後、追放に処す」



 兵達に取り押さえられたカミラが、驚くべきことを叫ぶ。



「ち、違う! 私は王太子ロイクだ! 姿を奪われた!」


「世迷いごとを。皆、耳を貸す必要はない。連れていけ!」



 カミラが引き立てられ、断罪劇は終幕した。

 卒業後、王太子と男爵令嬢が不仲になった為、入れ替わり説も囁かれたが。

 真相は、解明されていない──。




 お読みいただき有難うございました!

 なろうラジオ大賞参加作品6作目です。

 1000文字なので何かと消化不良だとは存じますが、こういうものだとお楽しみください。

 そう、大掛かりなマジックショー!


 カミラは本当に悪事を働いていたのか。魔法避けを持っていた生徒は大丈夫だったのか。少なくとも魔道具は詐欺ではなかったようですが…。そのあたりの文字数が足りませんでした_| ̄|○;


 王太子、結局どうなったのでしょうねぇ?

 カミラちゃんには、「再三に渡るわたくしの忠告を聞き入れてくださらなかったのは、殿下のほうですわ…! 正義感を気取り、愚者の言葉を鵜呑みにする杜撰さ。到底、国の未来を託せる方ではありません…!」という思いがあったとか、なかったとか。

 なお無詠唱で術発動したよね、喉関係なくない?という部分。仕込みは魔道具の扇子で、裏には王太子のガワに恋焦がれてる魔術師がカミラに協力を…。おっと、これ以上はいけない。

 挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
カミラすごい!これは本当に視点誘導駆使したマジックとして魔法使ってますねえ。ひよこもびっくりです。面白かったです(・8・)
カミラちゃん!目力がございますね(*^。^*)
カミラがパチリと扇子を閉じて、そこから魔法陣が発動するところが格好いいですね。 そしてそこからの展開…最終的に、カミラは、王太子はどうなったのか、想像が膨らむ終わり方がとても印象に残りました。とても…
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