0.プロローグ
少し長めのプロローグ
「こんにちは、迷宮に入りたいんだけど」
そう人好きのする笑みを浮かべて挨拶をするのは、茶色の髪をした青年だ。使い込まれた鎧に身を包み、腰には長剣を履いている。
「こんにちは、ジークさん。『炎の剣』でのご入場ですね?」
見知った顔に頬を緩めて、冒険者ギルドの受付嬢――リズは届出書を用意する。
彼女はギルドに採用されて1年目の新人職員。新人のうちは受付業務を担当するのがギルドのならわしであり、大体3年目から他の部署や業務に異動する。もっとも、"受付嬢"の響きが好きだという理由で、何年と受付業務を担当しているベテランもいるのだが。
まだ1年目とはいえ、毎日繰り返される業務だ。様々な申請や届け出、ちょっとした説明などは既に慣れたもので、他の職員に助けを求めることもなくなった。
顔を合わせる冒険者たちもすっかり顔なじみとなり、リズの中に余分な緊張感はない。
目の前の青年もまたよく顔を合わせる冒険者のひとりだ。
『炎の剣』というパーティー名で活動し、パーティーメンバーは彼を除いて2人。
短剣を得意とするアリシアと、回復術士のエレンである。
「そう。アリシアとエレンと俺、のいつもの面子。あと今日はこいつらも」
ジークが身体をずらすと、二人の女性が顔を覗かせた。ジークとそういくらも変わらないだろう、若いふたり。革鎧姿の赤い髪の女性がアリシアで、白い修道服の女性がエレンだ。
そして、彼らの後ろに少し離れて佇むのがいつもではない面子だろう。
リズは無意識に背を伸ばして、彼らを観察する。
最初に目に入ったのは全身をローブで覆った長身の人物だった。やや草臥れた灰色のローブに、目深に降ろされたフード。そこから胸元へ零れ落ちる髪は、老人のように白い。
だが、かろうじて見える口元はそこまでの年齢を感じさせず、見たところジークやリズとそう幾らも変わらない年齢と思われた。
一見、性別すら判然としない風貌だ。夜道なら、否、昼間でも不審者扱いされかねない。
そして、その人物の足元に幼い少年がいた。
ローブを縋るように握り締めた、金髪の少年。リズを見上げる不安げな緑色の瞳、緊張に引き結ばれた小さな口に、まろい頬。どこを取ってみても酷く幼い。まだ10歳にもなっていなさそうな少年に、リズは表情を引き締めた。
「新しいメンバーの方ですか?」
「あー、まあ臨時のメンバーだな。先にこいつらを登録してやってほしい」
「登録……ということは新人の方ですね。お二人とも?」
確認するとジークは軽く頷いて肯定を示す。新人登録自体は珍しいことではないので、リズも納得して書類を取り出した。
ここマリードは、立地の関係で多くの冒険者を抱える街である。街の中心に建てられた冒険者ギルドはトルーゾ国内でも屈指の規模を誇り、冒険者を目指す人々の来訪が後を絶たない。
日に一人は新規登録の手続きをするのだ。未だ新人扱いが抜けない彼女でも、もはや慣れた作業である。
「新人講習はどうされますか? 直近ですと明日の夕方に集団講習を行う予定ですが」
「いいや、ナシで。俺らが教えるから大丈夫」
これもよくあることなので、リズは頷く。
昔から冒険者の出入りの多い街ゆえか、新規といっても全くの知識なしで冒険者になるものは少ない。身近に冒険者という存在があって、その縁で門を叩く者が殆どだ。冒険者ギルドとしても新人の生存率向上に繋がるため、新人教育を買って出てくれるベテラン冒険者の存在は有り難いものだった。
「わかりました。まずはお名前からお伺いします……が、その前にそちらの彼はおいくつでしょうか」
冒険者登録は、基本的に成人となる15歳からと決まっている。ただ成人前であっても、孤児や生活苦などの事情次第では、身分証代わりとしての登録が許可されていた。いくつかの特例はあれども、それでも大抵は10歳より上の子どもである。
「……6歳、です」
眉を下げて少年が答える。
やはり見た目通り非常に幼い。いくら事情があっても幼すぎるのは問題だ。
「ジークさん、さすがに彼は幼すぎます。事情は存じませんが、冒険者として登録するのは……」
「だよな。俺もどうかなって思う。せめてあと4年待てって言ったんだけど……本人がなりたいって聞かないんだよ。それでまあ、止められたらこれを渡すようにって言われて」
ジークが取り出したのは一通の封筒だ。
リズはぱち、と瞬く。その封印に使われているのは、冒険者ギルド専用の印だ。宛名がないのを確認して中身を検めた。
「……なるほど、承知しました。登録手続きに移ります。お名前とご希望の職種をお願いします」
封筒から出てきた紙は、この手紙を持参するだろう少年を冒険者として認める旨が記してあるだけの簡素なものだった。それだけならば到底受け入れられるものではないが、『ギルドマスター』の署名があるとなると話は変わる。
いくつかの特例、それを承認するのが各ギルドのマスターなのだ。その事情は周知される場合もあれば、秘匿されることもある。この少年は後者と思われた。
ならば一職員でしかないリズが立ち入れる領域ではない。きっと何か深い事情があるのだろう。
――幼い子どもだ。個人としてはあまり歓迎できないけれど。
「あの、ノア、です。しょくぎょう、は……えっと」
ノアと名乗った少年が、ちらちらとジークを仰ぐ。
「後方支援だから、魔術士でいいんじゃね? 確かちょっと使えたよな?」
「うん、お料理のときに火、まじゅつ?」
「魔術士で登録しといてくれ」
ジークはひとつ頷いて、ノアの頭を軽く撫でる。
大人しく撫でられているノアの様子を微笑ましく眺めながら、リズはノアの登録を終えた。そして、もうひとりの登録者へと視線を向ける。
向けられたほうと言えば、自分の番だということがわかっていないのか、沈黙したまま身じろぎもしない。
「あの……」
「あ、そうだった悪い。こいつ喋れないんだよ、喉をやられちまっててな」
慌てた様子でジークが割って入った。代理で答えるというジークに内心少しだけ安堵しつつ、リズは形式的な質問をしていく。
名前に性別、種族と職種に犯罪歴――どれもあくまで自己申告であり、偽っても違反ではない。ただし、犯罪歴に限っては虚偽が発覚すると重罪となる。
「虚偽はございませんね? 特に犯罪歴は」
「そこは問題ない。ちなみに、今後も俺たち『炎の剣』がこいつらの保証人になるから、なんかあったら言ってくれ」
「あら……頼もしいですね」
笑って自分を指すジークに、リズは軽く目をみはる。
新人冒険者の保護者、もとい保証人の制度は存在するが、それを利用している冒険者はさほど多くない。冒険者の大半は「自分で一旗揚げたい」というタイプだし、保証人ともなると金銭以外の尻拭いをするはめになるため、よほどの世話好きか余裕がなければ無理というのが冒険者間の認識だ。もちろん保証人側にも相応のメリットはあるのだが、自由を愛する気風のある冒険者にとってはデメリットの方が大きく感じるようだった。
「では保証人はパーティ名でよろしいですか?」
「おう」
「承知しました。……こちらが冒険者ギルドのカードとなります。紛失されないようにお気をつけ下さい。再発行には銅貨10枚が必要になります」
基本的な説明をいくつかした後、ギルドカードを机の上に置く。
自然な流れでジークが手に取り、身長が机の高さにまで足りていないノアに手渡した。
受け取ったノアは、きらきらと輝く目でギルドカードを掲げる。憧れと期待の籠った眼差しに、ジークが言っていた「なりたいと聞かなくて」の言葉が真実だと納得した。
次いで、もう一枚のギルドカードもまた、ジークの手からローブの人物に渡された。
カードを受け取る指は細く長い。病的なまでに色白なそれは、とても庶民や労働者のものには思えず、病人でなければよほどの箱入りだと判断する。
リズはギルドカードの職業欄に『戦士』と記載したことを思い出したが、口にはしなかった。職業はあくまで自己申告。剣が上手かろうと魔術が得意だろうと関係ない。そもそも、新人冒険者は自分の得手など知らないものが大半で、特に希望がなければ『戦士』と記載するようになっているのだ。
リズには冒険者の素性を調べる権利はない。たとえ目の前の人物が貴族の道楽で冒険者登録をしたのかもしれなくても。
その後はいつものように『炎の剣』の手続きを済ませて、ダンジョンへの入場許可証を発行する。
ダンジョンの出入り口は冒険者ギルドによって管理されているため、許可証なしには出入りができない。実際はその限りではないのだが、"ダンジョンの管理"をギルドの業務として掲げている以上、ある程度の建前は必要だった。
「じゃあいってくる」
「いってらっしゃい。お気を付けて」
礼と挨拶をしてギルドを出て行く『炎の剣』を見送って、リズは小さく息をついた。
『炎の剣』の後ろを弾む足でついていく子どもと、長身のローブ。
これまで出会ってきた新人冒険者の中でも、格段に奇妙な取り合わせだった。
幼い子供の登録者も稀ならば、訳アリだと公言するような恰好の人物も珍しい。しかも、接点のなさそうな子どもが懐いている様子なのも気にかかる。
なにはともあれ、無事に帰ってきてくれるといい。
『炎の剣』が一緒ならば大丈夫に違いないが、それでも子どもが傷つくのは見たくない。
「こんにちはー、依頼受けたいんだけど~」
「あっ、はい。こんにちは。こちらの依頼ですね……」
脳裏に浮かんだ不穏な想像を振り払うように、リズは次の仕事へと取り掛かった。
◆◇◆◇◆◇
マリードが抱える迷宮、一般的にマリードダンジョンと呼ばれるそこは、正式名称を『石棺の迷宮』といった。
その由来は、ダンジョン内部が石造りの建造物のようになっていることと――
「くっそ、キリがねえな。あと相変わらず固い」
「ほんと。一本で倒れないとか頑丈すぎじゃない? これ結構いい値段するんだけど」
「ちょっと強めの魔術いきますね~とばされないようにしてください~」
――襲ってくる魔物が石像のような外見をしていることにある。
上層と言われる、比較的浅い層を徘徊する"迷宮怪物"『石人形』。
身体の構成物が石や岩などの無機物であるため、動きは遅いが攻撃力はそれなりに高い。その石柱のような腕で殴られれば、量産品の鎧など簡単にひしゃげてしまう。ただ、攻撃手段がその腕による打撃に限られているため、距離さえ見誤らなければ対処は容易い。
回復術士の肩書きを持つものの魔術にも通じているエレンが風系の魔術を放ち、アリシアは特殊な仕掛けのある短剣を投擲していく。近接を得意としているジークは、こちらもちょっとした仕掛けのある石を投げていた。
どちらも属性魔術を組み込んだれっきとした武器であり、冒険者ギルド直営の店で売られている品である。消耗品だが魔術士でなくとも魔術攻撃ができるとして、それなりに人気の高い商品だ。
遠距離攻撃を主体に『炎の剣』は順調に攻略していく。
ダンジョンに入った当初は、時折すれ違う冒険者の姿もあったのだが、それも次第になくなってきた。
どうやら中層が近くなってきたようだ。
中層となると"迷宮怪物"の種類と強さががらりと変わる。初心者含め、低ランクは上層までが探索可能な範囲と言われていた。中層となるとそれなりの人数と装備、何より経験が必要となる。
石人形をはじめとした"迷宮怪物"の襲撃が一段落ついたところで、ジークが周囲を見回して息を吐いた。
「さて、そろそろいいか?」
「そうね。他の冒険者の姿もないみたいだし……これ以上、下に潜るのはちょっと心配だしね」
『炎の剣』はDランクのパーティーである。中層までは適性ランクだと言われてはいるが、経験はともかく装備と人数が心許ないので、滅多に中層まで降りることはない。
「ノアさん、大丈夫ですか~?」
エレンが背後を振り向くと、ローブの人物と共に幼い少年が戸惑った様子で佇んでいた。
ここに至るまで、これといって戦闘に参加することなく一行の後ろをついていくだけだった。あらかじめ戦わないようにと彼らに言われていたが、やはり気が咎めていたのだろう。少年ことノアは、あまり浮かない顔をしている。
「えっと、うん。大丈夫」
問われて頷いたノアは、ちらりと隣へ視線を向けた。
隣でフードの頭がかすかに揺れる。頷いたようにもみえなくはない。
「ルーチェもだいじょうぶって」
「りょーかい。じゃあやってみるか。ノアのことは俺らがきっちり守るから、やりたいようにやれ。頼むぜ、ルーチェ」
ジークの言葉に、呼びかけられた方はこれといって反応を返さなかった。だがそれは彼らにとって想定内だったようで、ジークは気にすることなくノアを守るために後ろへと下がり、アリシアとエレンも応援の言葉を口にしてジークに倣う。
エレンの腕の中に囲われて、ノアが不安そうに三人を仰いだ。
「ルーチェ、ケガしないかな?」
「大丈夫ですよ~ルーチェさんを信じてあげましょう~?」
「怪我なあ……アレが怪我……?」
「ジーク、余計なこと言わない」
『炎の剣』とノアが見守る中、ローブの背中がゆるゆると前に出る。
移動に合わせてローブの裾が揺れ、革靴が石畳を踏む。
前方の暗がりから複数の石人形が現れた。
岩が組み合わさったような両腕を振り回し、襲い掛かる動作はこれまでの敵と大差ない。それが石人形の基本動作であり、攻撃スタイルだからだ。
だがその攻撃は届かない。振り上げられた腕が落下するより早く、下方からの攻撃によって石人形の腕は身体ごと天井にたたきつけられる。
その衝撃で粉砕された石人形だったものが、バラバラと地面に落下していく。もはやただの瓦礫と化したそれを乗り越えて、次の石人形が躍りかかってくるが、それも一瞬のうちに同じ末路を辿った。
「うわ、一撃……」
「あんなに固かったのになあ」
石人形を吹き飛ばしたのは、ローブの袖から伸びた腕――のように見える、土の塊だった。
呆れたような外野の呟きをよそに、襲い掛かってくる石人形を次々と捌いていく。その場から一歩も動かず、攻撃範囲に入った瞬間に淡々と叩き潰すさまは圧巻だ。
彼我の戦力差は明らかだが、石人形にそれを判断するだけの頭はない。戦況を分析するなんて思考回路が存在しない彼らは、ひたすらに突撃を繰り返すだけの怪物だ。
やがて埒が明かないと悟ったのか、ローブの両腕がだらりと地面へ垂らされた。土の塊もそのまま地面へと垂らされ、更にずるずると伸びて地面と一体化する。
途端、まだ遠い位置にいた石人形が砕け散った。
眼前の地面が隆起し、鋭い土の槍となって石人形を正確に貫いていく。
「えっぐ……凶悪すぎねぇかこれ」
「あんなの避けようがないわよ……」
「壮観ですね~」
石人形の砕け散る音を背景に、『炎の剣』が小声で囁きあう。
「てかさ、泥人形ってこんなんだったか?」
「知らないわよ。泥人形と戦ったことないもの」
「ちょっとランクが足りませんものね~でもたぶん、こういう怪物じゃないと思います~」
「だよなあ。こんなエグい敵、そう何体もいてたまるかよ」
「泥人形が全部こうだったら、あたしもう下に降りなくていいわ。ずっとこの辺りで探索してる」
命が惜しい、とぼやくアリシアに、無言でエレンが頷く。
「ルーチェ、強いね」
そんな彼女に背中から抱きしめられながら、ノアが無邪気に笑った。怖がる様子がないことに『炎の剣』は安堵しつつも、この状況で楽しめる胆力に色々な意味で心配になる。
「よし、粗方片付いたみたいだし、もうちょっと先に進むか。ルーチェは大丈夫そうか?」
ジークに問われたノアは少し首を傾げ、佇むローブ姿を見遣る。
「――うん。問題ないって、いってるよ」
ノアが聞いているらしいその声は、他の人間には聞こえないものだ。彼らの間だけで成り立つ会話であり、知らない人間からすればその信憑性は低い。なにしろ、明確な反応をみせるのはノアだけで、ローブに覆われた頭はぴくりとも揺らがないから。
けれど『炎の剣』にとっては慣れた光景だった。
「それじゃあ中層手前くらいまで行くか。ゲートが見えたら引き返して、本日の探索終了だ」
「りょーかい!」
「頑張りましょうね~」
「うん!」
わっと気勢をあげる四人。その賑やかな様子に背を向けたまま、ローブの裾から伸びた土の塊が地面からずぼりと抜ける。瞬く間に縮んだそれが袖の中にきれいに隠れると、そこにはただ陰気なローブ姿の人間が立ち尽くしているようにしか見えなかった。
「ルーチェ、次はぼくもがんばるよ、魔術で!」
その隣に、ご機嫌な様子でノアが並んだ。きらきらと輝く緑の瞳を、フードの影から色違いの瞳が見下ろす。
「……? こわくないよ! ぼくだって戦える! 冒険者なんだから!」
ふふんと胸を張るノアのポケットには、先ほど得たばかりの登録証カードが入っている。それをきちんと仕舞ってあげたジークが、背後からノアの頭にぽんと手を置いた。
「そーだな。ノアは魔術士だもんな。けどこのへんの敵は魔術よりルーチェのほうが向いてるから、今日のところはルーチェに任せようぜ? 力を温存するのも冒険者の心得だからな」
「おんぞん……」
「あー、力を使わずにとっておくってことだな。ここぞって時のために溜めておくんだ」
ジークの言葉に、ノアはやや不満げなものの納得した素振りをみせる。
ちなみに、石人形と魔術の相性は決して悪くない。むしろ接近される前に討伐できるので、遠隔の魔術を中心に戦術を組み立てるのが正しい。
今日冒険者になったばかりの6歳児を前線に立たせたくないという、ジークの私情且つ配慮であった。
「な? そういうことだから、こっちは任せろ」
ジークから向けられた笑みと言葉に、フードに覆われた頭が小さく揺れた。頷いた、というにはささやかな動き。単なる偶然にも思えるそれを、ジークはひとまず了承の意と受け取ることにした。
そのほうが精神衛生上、いい気がしたので。
そうして再び一方的な戦闘が開始される。
ローブ姿――ルーチェは、目の前に立ち塞がる怪物を容易く屠っていく。武器らしい武器はなく、魔術も使わない。ルーチェの攻撃手段は、その両腕と自身の持つ能力だけだ。
土を操作する能力――『泥人形』という名称の"迷宮怪物"が持つ基本的な能力であり、生存本能のひとつである。
ルーチェは迷宮怪物だった。
迷宮の軛から逃れた希有な個体であり、けれども能力的にはそこらの個体と変わりない。まさに今玩具のように破壊している岩人形と近い性能の、取るに足らない凡庸な"怪物"。
――そう、誰もが認識していた。
当の怪物であるルーチェすらも。
これは、ルーチェと名付けられた怪物と、その主人となってしまった少年の、歪で緩やかな日常の物語。
また見切り発車ではじめました。
今回はもう少し書き溜めてありますし、一応ラストまで設定は作っています。
ただ性格的にあまり書き溜めておくことができないため、書き溜め分が終了したら不定期&気まぐれ更新となります。
広い心と長い目でお付き合い下さると有り難いです。