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抜き差しならない俺たちの関係  作者: 奈月沙耶
1話 文化祭の憂鬱
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16.プラネタリウム

 呼び込みの勧誘にそれなら、と暗幕で窓を塞がれ真っ暗な教室内に入る。中にいた案内係に、更にテントのように張られた暗幕の中のイスに座るよう言われる。

 なんてことない、客は俺と香澄のふたりだけで、ナレーションが始まると同時に暗幕のテントの天井に星空が映し出された。


 円形に配置されているイスの中央に置かれているのは誰でも手に入るホームプラネタリウムなのだろうが、設営に手が込んでいるだけあって映像はそれっぽかった。これからの季節に合わせたのか、上映内容は夏の大三角についてだった。


 十分くらいの間だったが、疲れていることもあって途中で眠くなってしまった。

「お疲れ様でしたー」

 声に促されてまた暗い中で立ち上がり廊下へと出る。傾き始めた窓からの日差しを眩しく感じた。


 俺と香澄はまたぶらぶらした後、休憩室として開放されている食堂でひと休みすることにした。


「プラネタリウムを見て思い出さなかった?」

 パックのイチゴミルクを飲みながら香澄が訊いてくる。俺はなんのことだかわからず首を傾けて見せる。

「小学校のとき、夏の大三角を見に行こうってふたりで夜出かけたことがあったでしょう?」

「そうだっけ?」

「三年生のときだよ」

 香澄はがっかりした様子だが、俺は思い出せない。


「出かけたって言っても、暗くなってから北公園に行ってみようって話して、日が暮れるのをわたしんちで待ってただけなんだけどね。ほら、夏って七時でもまだ明るいじゃない。なかなか星が出ないねーなんてうちで遊んでたら、紘一くんが帰ってこないって紘一くんのお家で大騒ぎになってて」

 言われてみればそんなこともあった気がする。


「うちはあの頃からお母さんが仕事から帰ってくるのが遅くてさ、自由だったんだよね、わたし。それでもちゃんとした家なら、どこに行くのか何をするのか、ちゃんと報告しなさいってしつけられるのだろうけど、うちはそんなことなかったから、だからピンとこなかったんだよね。お家によって帰る時間とか、決まりがあるんだってことが」


 確かに、我が家では市内の小中学生に示される規準に則り、冬は四時半、夏は六時までに(要するに暗くなる前に)家に帰るというルールがあった。

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