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抜き差しならない俺たちの関係  作者: 奈月沙耶
1話 文化祭の憂鬱
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12.ヤキモチ

「やめんか」

「ぶう、かすみんをかばうの?」

「おまえが弱い者いじめしてるからだろ」

「へえ? こうちゃんから見たらかすみんの方が守られる立場なんだ?」

「どう見ても今のはおまえが香澄を攻撃してたよな」

「そんなことないもんお話してただけだもん。ねえ、かすみん」

「その笑顔やめろ」

 ぐいっと両のほっぺたをつまんで引っ張る。

「いひゃいよ、こうちゃん」


「香澄、こいつの相手はしなくていいから中戻れよ」

「う、うん」

「えー、ひとりで待つの寂しい。こうちゃん一緒にいて」

 いつもの調子で甘えてくる千鶴に俺ははっとする。いかんいかん、冷戦中だったはずなのに。

「おまえとは口きかん」

「もおおお、こうちゃんの意地っ張り」

 悪いのは自分なのにまるでわかっていない態度に俺は怒りがぶり返す。


 シカトして中に戻り裏方の厨房スペースに入ると、香澄がぼんやりした顔つきでコーヒーの紙カップを並べていた。

「なんだよ、疲れたのか? あともう少しの辛抱だぞ」

「あ、うん。いや、ううん。大丈夫」

「そうか?」

 そう言うならいいのか。俺がゴミ袋を持って回収に回ろうとしていると、


「ちいちゃんと紘一くんさ」

 ぽつりと香澄が言った。

「相変わらず仲良しだね」

「仲良くない。今だって冷戦中だ」

「ええ?」

 びっくりとおかしいのとが入り混じったような変な笑いが香澄の頬に浮かんだ。

「でも仲良しじゃん、あんなふうにじゃれ合っちゃって」

「じゃれ合ってない」

「わたしから見たらそうなの!」


 いきなりぴしっと殴りつけられるみたいな声で言われて俺は息を呑む。

 香澄ははっとしたように顎を引き「ごめんね」と小さな声でつぶやきながら紙カップを並べたお盆を持ってコーヒーマシンの方へ行ってしまった。


 何かまずいことを言っただろうか。香澄とのやりとりを思い返してみたが、そもそもが大した会話はしておらず何が気に障ったのかわからない。

 そうこうしていると、テーブル席の方からきゃあっと喚声があがった。


「千鶴先輩だあ」

「いらっしゃいませ」

「わお、イケメンさんばかりだね。だ・れ・に・し・よ・う・か・なー」

 スケベ親父みたいなふざけた声をあげて千鶴がはしゃいでいる。

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