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抜き差しならない俺たちの関係  作者: 奈月沙耶
1話 文化祭の憂鬱
13/28

11.鞘当て

 結果、こんなにも長い期間千鶴と絡みのない状態が続いた。文化祭の準備で帰るのが遅く、ろくに家にいなかったという理由もあるのだが。


 別にいつ仲直りしても良かったのだが、自分が失言した自覚もなくいつも通りに俺に接しようとする千鶴の態度にむしゃくしゃしたのも事実で、今千鶴のしゅんとした顔を見てもちょっとイライラしてしまう。どうしてやろう、こいつ。


「こうちゃん、まだ怒ってるの?」

 当然だ、許した覚えはないからな。

「怖い顔しないでよ、せっかく遊びにきたのに」

 なんだその恩着せがましい言い方は。俺は来てくれなんて頼んだ覚えはないぞ。

「なんか言ってよ、こうちゃん」

 千鶴がべそべそと表情を崩しそうになったとき、


「あれ、ちいちゃん。うちの店に来てくれたの?」

 香澄が教室……じゃなくて店から顔を出した。とたんに千鶴はしゅっとした先輩ヅラに戻った。


「うん、楽しそうなお店だね。コーヒーのいい香りが下まで漂ってるし」

「ほんとに? うん、コーヒーもちゃんとマシンを使ってるから美味しいよ。えと、ごめんね。待ってるお客さんまだいるから」

「だいじょぶだいじょぶ。ちゃんと並んで待つから。ていうか、かすみん会うの久し振りじゃない?」

「うん。とっても久し振りー」


 順番待ちの列に並んだ千鶴は、香澄ときゃっきゃと内容のうっすーいおしゃべりをしている。こいつらこんなに仲良かったか? と俺は胡散臭く感じてしまう。


「ねえねえ、かすみんがこうちゃんを誘ったんだって?」

「え!?」

「一緒に実行委員やろうって」

「え、あ。うん」

 店内に戻ろうとしていた俺は、耳に入ってきたやり取りにぴたっと足を止めてしまう。

 肩越しに窺うと、千鶴が俺に向かってちらっと挑発的な視線を投げてよこした。おいこら、さっきまでべそべそ泣きそうな顔してたくせに。なんだその鋭い目線は。


「えと、駄目だった?」

「んーん、駄目じゃないよ。駄目じゃないけどなんでかなって」

 千鶴は笑顔で話している。香澄は口元がひきつっている。千鶴の笑顔に圧があるからだ。

「なんでって……」

「うん、どうして?」

「えと、言いたくない……」

「え、聞こえない」

「あの、言いたくな」

「聞こえないよ、かすみん。ちゃんと話して?」


 いじめっ子か、おまえは! 俺はつかつか歩み寄ってきゅっと千鶴の頭を両手でつかんでやった。

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