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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
754/790

第754話 不始末。

(今週は少々執筆が不安定で申し訳ないです><……明日からは戻れそうです!)





 『理想』と共に在れば、例えどんな『世界』だとしても存外悪くはないだろう?

 それがどんなに辛い生き方でも、その道が険しくとも、歩き続けられる筈だ。



 それに、もしその『理想』に愛を感じたのならば、もう『終わりたい』だなんて思わなくなる筈だと。


 守るものが多くなれば多くなる程、『力』を求めれば求める程、欲が大きくなればなる程に……。


 『ロム』は『世界』と共に在りたくなる筈だと──『私』はそう思っていた。



 『…………』



 ……だがしかし、『ロム』の考えは違ったらしい。


 逆に『大切な者達』の事を想うがあまり、彼は『繋がり』を介して己が周りの者達を傷つけてしまう事を恐れた様子であった。



 どんなに『力』があろうとも、その使い方を誤れば望まぬ結果に至る可能性があるからと……。


 それ故、己の不器用な『力』が不本意な結果を引きこさぬように──彼は先に意味を与えて『望む形』にしてしまい、使い切ってしまおうと考えたのだ。



 ……無論、それを『浪費』とする訳にもいかないから『ちゃんと意味のある使い方』を、と。

 『大樹の森』と言う独立した『領域』を作り上げたのも、きっとそんな考え方が根幹にあったのだろう。



 『力』を無意味に扱うのは愚者のする事……。

 だから、同じ分だけの『力』があるならば、『傷つける為よりも生み出す為に』使う事を彼は選んだのだ。



 ──要は、『大切な者達』に残せるものを一つでも多く残せるように……『ロム』の持てる限りの『力』を他のものに『変化』させる計画を企んだのだった。



 『…………』



 ……ただ、それはある意味で『エア』にとっては残酷な話だろう。



 『魔力生成』と言う『性質変化』を『ロム』が身に具えた時もまさにそうだ……。



 『ロム』は『大切な者達』が困らない様にとその『力』を得た訳だが──その気持ちは分かるけれど、その代わりに『ロムが傷つく事は違うだろう』と彼女は強く拒んでいた。



 『みんなで一緒に笑うならばロムも一緒じゃなきゃ嫌だ』と。

 『笑うならば二人で笑いたいんだ』と。



 ……誰かを笑顔にするだけではなく自分も笑顔になる為の方法を探そうと。

 そんな彼女の優しさと、その考え方は『ロム』の『心』に響き、救った事だろう。



 『エアの心』に『ロムの心』も喜びを感じた筈だ。

 その『理想』はまさに『光』そのものと言える程の煌めきとなっていたのかもしれない……。



 『…………』



 実際、そんな『理想』に『()』を伸ばし、その『光』に照らされ、『()』に応えていく内に『ロム』は確実に『変化』し続けていったのだと思う。



 『理想』と共に在る事で、『ロム』は『生きる意味』を見つけたのだと……。



 当然、その『道程』は『私』としても観察していて喜ばしい限りであった。

 これでもう『ロム』も、『終わりを望む』こともなくだっただろうと、そう思ったのだから……。



 『エア』にとっての『理想』が『ロム』になったことも含めて、気づけば互いが強く想い合うようになり、自然とその『歩み』も寄り添っていく二人の様子はとても観察しがいのあるものでもあったのだ。



 この先もずっと、そんな楽しい時間が続くものだとばかり思った……。



 『…………』



 ……あの瞬間までは──。




またのお越しをお待ちしております。

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