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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
728/790

第728話

(ここ暫く腰痛の件で少々更新が遅れてしまい申し訳ないです。まだもうちょっとだけ時間がかかるかも……なのでご理解いただけますと幸いです。ただ、出来るだけ毎日更新はしていきます。楽しいので──)




 ──後の世で、とある書物の一編にこの日の出来事は記される事となる……のかもしれない。



 曰く、『ドラゴンの中には白銀の竜がいるのだ』と。

 曰く、『その白銀の竜の名は『聖竜』──この世で最も強き竜の種族である』と。



 雄々しく広げられたその翼は、『人』に根源的な恐怖を呼び起こさせる威圧があった……。

 その圧倒的な『力』を前に、誰もが身体の震えを禁じ得ず、自然と膝を屈していく……。


 その翼がはためく度、火は舞い、風は裂け、水は荒び、土は隆起する。

 まるで自然そのものを敵とするかのように、『人』には感じられる事だろうと。



 ──ズドオオオオン!



 集いし『魔力』から放たれた『ブレス』は、たった一撃で『街』を一つ悠々と消し去る威力が込められているが、『聖竜』はそれを幾重も、幾本も、翼から放ち続けられる。


 その竜が一体いるだけで、その気になれば『世界』は一日も経たずに滅ぶだろう。


 生き残りたくば、決してその怒りに触れるべからず……。


 その存在は『世界の怒り』そのものである。


 傲慢なる生き物達に対する絶対的な神の鉄槌……。


 その存在を目にした時、それは痛みを伴うだろう。

 その存在を目にした時、それは『成長』の機会を得るだろう。


 それは『世界』の仕組みであり、調べなのだ、と──




 『…………』



 ……もしかしたら未来の中では、そんな風に語り継がれることが有るのかもしれないとか、ちょっとだけ考えつつ、私は自らの役割に徹する為に翼に魔力を集めていた。



 これもまたある意味では『世界の管理者』として、『無理のない範囲での調整』をする様なものだと、そう思う事にして……。



 『余興』として衆人の観覧がある中での戦いが始まりそうな空気感の中──私はこれから『討伐に来た冒険者達』とその周りで暢気にも高みの見物を決め込んでいる『街』の者達に対して、『痛い目』を知らしめるために攻撃するつもりだ。



「では、これより!『ドラゴン』と『金石冒険者』の戦いを──」



 ……という訳で、始まりの合図らしきものもあった為、早速と私は『ブレス』を放っておいた。



「──え」



 それも『水竜達の襲撃』があった時とほぼ同等の威力であり……。


 尚且つ、『金石冒険者達』や『暢気な住人達』の頭上を掠めていく軌道であり……。


 最終的には、『街』の中心地へと向けての一撃……である。



 無論、その『ブレス』により『街』は『白条の光』に包まれてしまうだろう。


 そして、周囲の者達はその『ブレス』の衝撃に腰を抜かし、倒れ込み、頭を抱えて、その様子に全員が全員驚愕していたのが見て取れたのだ。



 ……また、その驚きの後には絶叫に近い悲鳴までがそこら中で響き渡っていた。



 それは言うまでもなく、その場にいる誰もが『終わり』を体感した事だろう。

 這いずりながらも逃げ出そうとする者まで居る……。



 『…………』



 まあ、その反応も当然だ。


 本気で『恐怖』を感じたのであろう。


 『余興』の筈が、いきなり本気で命の危機を感じる状況に変わってしまえば、そうなってもおかしくない。


 『子供のドラゴンだけど、まあどれほど強いのか見てやるよっ』と、実はなにげに意気込んでいた『金石冒険者達』もその衝撃からガクガクと震え続けていた。



 一番私の近くにいた彼らが一番その圧を感じていたので仕方があるまい。



 ただ、『聖竜()』はそんな彼らの方へと敢えて──『ぱたぱた』しながら近づいていくと、震えて動けないでいる彼らを追撃として翼を箒代わりにゴロゴロと『街』の方へと掃いて転がしていったのだった。



 『わあああぁぁぁ』、『きゃぁぁぁああ』と転がりながら叫び続けている彼らの様子はとても滑稽には見えるが、彼らからするとこの世の終わりの様な表情なので笑うのは失礼になりそうである。



 無論、途中からは観客たる『街』の住人達もまとめて、『ぽわわわ~』と翼で微風の『ブレス』を放ちながら風で同じように転がしてもいったので絶叫は次第に増えていくことになったのだ……。




 そしてその後はまた、最終的に『無傷の街』にまで泥だらけになった彼らを運び終わると、そこからは『白銀のエア』さんにもちょっとだけ協力してもらい、恐怖で震える彼らにお説教をする事にしたのである。



 『…………』



 『──ドラゴンに対する危機感を持って欲しい』云々と、ただそれだけを伝える為にここまでしなければ『聞く姿勢』にならないというのはなんとも難儀な話だとは思うが……。



 彼らがこの先も笑顔である為に必要な『痛み』だったと思って貰えれば、もしこの件で嫌われることになろうとも私達としては幸いに思うばかりである、と──。





またのお越しをお待ちしております。

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