第660話 遮音。
注意・この作品はフィクションです。実在の人物や団体、事象などとは関係ありません。
また作中の登場人物達の価値観なども同様ですのでご了承ください。
──今、傍にあるものがいつまでもそこにあると思うのはとても危険な事だ……。
そもそも、今『呼吸しているもの』すら、次の瞬間には『毒』に変わってしまうかもしれない──実はそんな恐ろしさを常に『人』は抱き、危うさと付き添って生きていく必要がある。
『世界の性質』が変わってしまえば、その変化は一瞬だ。
気づく間もない。……いや、気づいた時にはもう邪魔者達は全て消え去ってしまっている後なのかもしれない。
そうして残された跡にいるのは、結局淘汰された者達でしかないのだろう……。
『……どちらも余計な事を。でもこんな展開になるだなんて普通は思わないだろう』と。
『お膳立てしたんだから、もっと骨肉を削り、愛憎混じったひりつく戦いをしろよ』と。
『……もっと弄っておけばよかったか』と。
……だから、『思い通りにならない』事に対して、どこぞの誰かはそう思ったのかもしれない。
本来であれば『不干渉』である筈なのに、その『秩序』すらも乱している時点で『器』の小ささは透けている。都合が悪くなれば直ぐに自分にとって都合がいいように作り替えてしまえるのだ。
自らの好きな様に『世界』を作り替えるだけ『力』を持つ存在からすれば、そんな事など容易に変更できてしまうのだから『秩序』などあってない様なものだとそう感じているのだろうか……。
時折、『世界』は本当に唐突な変革を起こす。
当然、そんな『力』があると知らなければ、気づく『力』さえもなければ、その変化は『人』には知る由もない。
『──世は並べて事もなし』と。
……現状を受け入れろと。
そして、ただこの『世界』を謳歌せよと。
『人』の究極的な存在価値など、ただそれだけでしかないのだから……。
『……ロムは本当にすごいね。それに、とっても優しいっ』
……だが、時として『歪』は起こるもの。
いや、寧ろそうなる様に『仕組み』があるとさえ思える。
それは常に、完璧であろうとすれば尚更に、殊更に、内在するものでもあると。
まるで光と影の関係の様に。
『受け入れる者』もいれば、対して『抗う者』や『足搔く者』が現れるように。
それを、『争い』の材料とし、時に『破壊と創造』の調べとし、『世界』の均衡を保つ『秩序』とする事で誤魔化している……。
『…………』
……知らぬだろう。
本当は、存在するだけならば『寝る事も喰らう事』も必要のなかった『人』に対し──。
態々、そんな面倒な『性質』までをも付与して弄ぶ『何某かの存在』の事など。
全ては『面白いから』と言うただそれだけの理由だけで生まれた存在達──。
でも、その理由は『何某かの存在』からすれば『世界の根幹』にあたる部分でもある。
だから、『自分の思い通りになり過ぎると面白くないから遊びを持たせた』──。
でも逆に、『自分の思い通りにならな過ぎても面白くない』ともそれは感じたのだろう……。
『好奇心』の導くまま、『夢中』のままに、興味関心を貪るだけ貪るのみ。
ただ、ここ最近はそんな『意図する流れ』とは外れてしまっていたのだ。
だから、ここらで修正する事も吝かではないと判断したのではないだろうか。
……それは何とも傲慢で、酷い話であると私は思った。
ただ、そもそも『好奇心』と言うものはいつだって、そんな『独善的』なものであると言えるのかもしれない。
──要は、それはとても酷い『自作自演』に思えたが、ある意味でとても『人』らしくも感じたのだ。
そして、そんな時にこそ『音』は良く響く……。
『…………』
……そもそもの話、『平和』である事を本当に目指すのならば『力』を求める必要なんてない。
身近にある脅威に対する備えとして『力』を『備える』事は、ある意味で破綻しているのだ。
……もっと端的に言えば、その『答え』はきっと間違っているのである。
何しろ、武器を持つ『敵』に対する抑止力として、より強い武器を持つ?……その矛盾が分かるだろうか。
寧ろそれは、真に『平和』を求めるのであれば『真逆の道』を歩んでいる事も理解できるだろうか。
……無論、それに気づけぬ者もいるだろう。わかっていてもどうしようもないと思う者もいるだろう。
なので、そこに対する理解を深めたり追求をするつもりは私にはない。
それに、既にその『性質』に対する『教え』は変えようのないほどまで深く根付いてしまっているのだから──。
「…………」
──だが、真の『平和』の為に『力』が必要ない事だけは確かだと私は思っている。
……それは簡単な話、本当に『戦う力』がなければ、争いは起こせないのだから。
時に、『争いはなくならない』と勘違いもできるが──それは『性質』的な問題と『力』の問題が絡み合うからだと私は認識している。
『性質』と『力』を求め、集め、増やし、鍛え、揮うからこそ争いになるのだ。
ならば逆に、その『性質』や『力』を失くしてしまえば……極論、『人』は独りになってしまえば──誰かと争いは起こしたくても起こせないと思うのである。
「…………」
ただ、『聖人』にはそんな私の『考え』が透けていたのかもしれない。
ここ暫く『ロムには戦わせるな──』と、そんな言葉を何度か聞く機会があったが……あれはきっとそんな意図も酌んでいたのではないだろうか。
『争いを止めるために、数多くを消し去ってしまえ』と、私にそんな事を考えさせないようにと……。
無論、私もできるならばそんな事はしたくはないと思っている。
そんな『力の使い方』は嫌だと。
もう何度も言ったことかもしれないが──できる事ならこの『力』は『誰かが笑顔になるように』使いたいのだ。
特に、その笑ってくれる相手が『最愛』であれば何よりも幸せだと……。
私はただそれだけで良かったのである……。
『──があああああああああああああああああああッッ!!!』
「…………」
……だがそれも、そんな『絶叫』が聞こえ『ハッ!』とするまでの話だった。
その時にはもう穏やかな気持ちは吹き飛んでいたのだ。
よく見れば、隣に居たはずの『最愛』の姿がないのだから……。
『領域』の守りがあった筈なのに、それすらも超えて『干渉』されたのか、あるいは別の『繋がり』でもあってそこを使われたのかは分からなかった。
だが、『最愛』の存在が隣から一瞬で消えてしまい──尚且つ『心の繋がり』までも途絶えた事を理解した瞬間に──私はあの『音』を消し去ることのみを考えていたのだ。
……いや、ある意味ではもう既に実行しているともいえる。
と言うのも、そんな事を考えていたからか、ほぼ反射的にこの前『街』に対して『拘束』をしたのと同様の事を、私は『私の魔力』が及ぶ範囲全てに対して、気づけば施してしまっていたのだった。
要は、それによって現状大陸中で『拘束されている者達』が居る様な状況になっているのである。
なので、あとはもう好きな時に私は誰でも『消し去ることができる』様な状況だった。
まあ、基本的に『動けなくなった者達』と私の『大事な者達』を消す気などないが、それ以外はいつでも動きがあればその途端に消滅させる事ができると思う。
……正直どこに『音』の本体となる部分があるのかも分からないが──恐らくは『世界』と『繋がり』が深い存在だろうなとは思っているのだ。
まあ、本体などないのかもしれないが、『繋がり』の方は注意深く視たいと思うのである。
そして、現状は不思議と元凶だと思える『音』に対し、未だぼんやりとではあるが思考に留める事ができている。忘れてしまう事無く、堪えられているのも好機だと感じられた。
……正直、何故認識できているのかは謎なのだが、少しだけ『音』が弱っているからなのかもしれないとは思う。そんな風に感じるのは私の気のせいではないはずだ。
もしかすると、先の『音』と『別の音』との言い合いで何かしらがあったのかもしれない……。
それか『領域』を超えて『最愛』へとなにかをした事で弊害でも起きたのだろうか?と……。
『──待て……』
だが、何にしろこんな好機となれば『音』の正体がなんであったとしても、もう一切構わなかった。この好機を活かさぬ手はないと。
『最愛』との繋がりが切れ、『空虚』に飲まれ始める私の『心』が奴を倒せと叫んでいるのだ。
それに、感覚的に『世界』には不思議な『空白』がいくつも点在している事にも気づいた。
……間違いない。きっとあれらの場所も含めて『世界』を攻撃すれば、今なら私の魔法だけでも十分に『音』を攻撃できると思うのである。
未だにその正体が何なのかは正確にわからぬが、恐らくは『世界』との『繋がり』を通じて何らかの痛みを負わす事もできるだろう。倒しきれずとも『次』には繋がるはずだ……。
だから、私は『拘束した者達』と私の『大切な者達』以外──『世界』とそれに繋がる『音』を全て消し去るために積極的に動くことにした──。
『…………』
……そうすれば恐らく『敵』にも攻撃が届くだろうという、そんな憶測でしかないのがなんとも愚かな話だが──なんとなく私はこの極端な選択が今だけは上手くいく気がしてならなかったのである。
『──だめだ。やめろ……』
それに、『最愛』が消えた瞬間には、もうそんな感覚に包まれていた。
『心』の中では、『今ならば行けるよ』と、何らかの励ましがあった様な気がするのである。
──だから、少々無理をしてしまっている感も否めないのが現状だが、今が頑張り所だと思った。
ここで少々無理をしないと、今目の前にいる『勇者一行』や、これから訪ねる予定である『毒や黒雨』だけではなく、それ以外の無関係な者達まで『音』に巻き込んでしまうかもしれないからである……。
寧ろ、いっそのこと『敵側の存在』であると明確に分かるならば、巻き込んでもいいのかもしれないが──その判断が私には咄嗟にできなかったのだ。
内心、それよりも今は優先したい事がある。それ以外の余裕など微塵もない。
なので、『神々と神人の争い』等は引き続き『勇者一行』に任せることにし、私はこちらに専念することにした。
かつて自分が使い過ぎた『世界の魔力』を補うために、いくつもの大陸中を歩き回って『魔力生成』をした私は『世界』にも影響を少なからず与えることができる。
なので、あの時の『繋がり』を今更だが辿って魔法を届ける事もできるだろう。
……ただ、流石に難度が高く、今はそれだけで手一杯だ。
それに私からすると『最愛』と比べれば他の者達の事は『どうでもいい』とも思えてしまう……。
やはり私は良くも悪くも『ただの魔法使い』でしかないのだろう。それ以上でも以下でもない。
多くの人々にとっての良き『英雄』にはなれないが、『最愛』にとっての一番ではありたい。
私はただそれだけの『化け物』でいいのである……。
『──そんな事をすればどうなるか……』
『人との繋がり』を意識するようになって、先の『聖人』の『多くの者達を救いたい』と言う考えが如何に困難な道で、それを為そうとする彼らはなんて立派なのだろうかと思いはした……。
だがすまぬ、私には『大事な者達』が優先で、そんな中でも特に『最愛』を消された事は絶対に許せぬ出来事だった。……なので今は、『音』と『世界』に集中したい。
……ただまあ、一応そんな『世界』を消し去ったとしても、代わりとなる様な場所は私がまた『大樹の森』に用意したいとは思っている。
──要は、『人』用に、万が一の避難場所だけは準備しておくつもりだ。
……少々難しいが、やってやれない事は無いだろう。
『精霊たちの別荘』まで作っているのだから、また大陸も含めて同様に『世界の代わり』となる場所を作るだけの話だ。
無論、『精霊達』には既に急いでもらっており『大樹の森』へと続々と非難してもらってはいる。
……正直、無理を重ねている自覚はあったが、それでも今はやらねばならぬ時だと判断した。
『…………』
……ただ、きっと私はもう既に『何かを零してしまっている状態』である事も自覚はしていたのだ。
実はもう、先ほどから『最愛』の名も零れてしまっている……。それがどうしても思い出せない。
こんな私に残っているのはもう『最愛への想い』だけだった……。
なので、この『想い』すらも零れてしまう前になんとかしなければと……。
『──仕方がない。こうなればもうこの『壊れた天命』はもう使えぬ。さっさと消えてしまえ……』
「──ぐっ!?」
……なんだ?急に『腕』に痛みが走ったが──それに、先ほどからざーざーと『雑音』ばかりが酷く騒々しく響いてくる。
『音』が何か言ってきているのだろうか?……でも私には何を言っているのかが分からないのだ。
──まあ、精々『最愛』に手を出した事を嘆いてくれてると良いと思う。
……もしそうでなくとも必ずそうさせる。
そして『後悔しながら『世界』と共に滅びてくれ』と、そんな思いを抱きながら私は魔法を使ったのだった。
──その時から、胸の奥と、頭の奥も酷く痛みだす……。
ただ、そのまま私という『領域』は意識を広げ、感覚的に『世界』との『陣取り合戦』を魔力でやり合う事になったのだ。
……互いが互いの『領域』へと侵食し、または弾きながら相手の『領域』を強引にでも奪っていく様な戦いだと言えばわかりやすいだろうか。
ただ、これには体感で気の遠くなるような時間がかかってしまったのである……。
同時進行で『大樹の森』の整備もしながらだった為か、それが整うまでは手数で劣勢であったことも影響としては大きかったのだろう。
手一杯ではあったが、同時進行しないと奪い取った場所から『世界』が消失していくような状態だった為に、代わりとなる場所を先に用意し、そこに元居た者達を【転移】で移していかないと巻き込んでしまいそうだったから仕方がなかったのだ。
……まあ、正直そんな者達の事など見捨てても良かったのだが、一応は無関係な者達を巻き込まぬと決めた後だったので仕方がないだろう。だからまあ、他意はないのである。
でもそれも含めて、沢山の時間ばかりがかかってしまったのだ……。
『だ……んな』『……早……っ!』『…………!』『……戻……!!』
……それも『雑音』はその間もずっと『外側の私』に対して攻撃を仕掛けてくるし、それの対処もしなければいけなかったから……尚更に忙しく感じた。
途中で何か、親しい者達の『呼び声』が聞こえた気もしたのだが──その頃からはもう普通の一秒が過ぎるまでに、私の体感では数秒以上がかかったり、数分がかかったり、数時間がかかったり、数日がかかったり、数年がかかったりする様な状態へとなってしまっていたので──もう上手く判別することが出来なくなってしまっていったのである。
……まあ、それだけ作業量が増え、それを同時に進行しようとした弊害だというだけの話なのだが、『世界』を追い詰めれば追い詰めるほどに向こうの抵抗の手数も不思議と激しくなっているので、その分だけより時間がかかる様になってしまったのだ。
『音』も決して諦める気配などはなく。必死に抗ってくるのが分かった。……とても面倒だった。
『──なんだこいつは!?何故だッ!なぜこちらが追い詰められるッ!!それにもう身体もない筈なのになぜ生きているっ!?この化け物がッ!?』
『…………』
……そんなペチャクチャと喋る余裕があるならば、その分行動すればいいのにと私は思った。
『陣取り合戦』の間、私はただひたすらに『領域』としての役割に徹していたのだから……。
まあ、そのせいで途中から私の身体は粉々に砕かれてしまったりもした訳なのだが──。
私と言う『領域』は『内側と外側』で分かたれていたために、『内側』には一切被害は及ばなかったので問題はなかったのである。
それに、本当はいつまでも攻撃されるのが面倒だったので『砕かれた様に見せかけただけ』で、『外側の私』はいつでもまた魔力で『人の形』を再構成できるようにはなっていた。
……まあ、構成するとまた狙われる事になる為、『音』を倒すまでは敢えて再構成はしないつもりだが。
それに『音』の方も本体と言えるような存在が未だに不明なのも気がかりではある……。
ただ、消滅させる事は直接的には出来ないかもしれないが、『世界』を完全に奪い取ればその存在も『繋がり』を失って『干渉』はできなくなるだろう。存在も保てなくなるかもしれない。
なので、まだまだ時間はかかるだろうが、もうひと踏ん張り。気合を入れて頑張るとしよう……。
『…………』
『…………』
……ただ、それから暫く経ってもまだ私達の『陣取り合戦』は続いていたのだ。
近頃はもう『音』も煩く喚く事が無くなった為、とても静かな戦いになった。
まあ、向こうはもう殆ど『残り』がないので、『消えたくない一心』で必死に抗っているのだ。
……ただ、こちらとしても困ったことに、そんな対抗の強さが増したせいもあってか、現状はこれ以上攻め切ることができなくなってしまった。
この土壇場『ギリギリ』になって『音』は完全に攻めを捨て、守りに徹して籠ってしまったのである。……そのなんと面倒な事か。
現状、この戦いは完全に拮抗してしまっている。
……まあ、いずれ『大樹の森』が完全に整った暁には、一気に押し切ることもできるとは思うので焦る事はないのかもしれない。
だがなんにしても、更なる時間がかかってしまう事は言うまでもなかった……。
それに、奪ったら奪ったで言うまでもなく『世界』の管理も大変で、整理もまだ一向に楽にはなってくれないのだ。
……でもまあ、勝つためにはこれを整える以外にないと思うので、今はどっしりと腰を据えて頑張るべきだろう。
それに早めに整えられれば、それだけ早く戦いに勝てるという事でもある。
私はほら……戻らないといけないからな……頑張りたい。
『…………』
……ん?でもまあ、私はどこに戻れば良いのだろうか?
私と言う『領域』は、ここでこうしていることが最適である様にも思えるのだが……。
んー?考えても分からない。何かを忘れてしまった気がする……。
でも、何も思いだせないなら……ここでこうしているのが正解なのだろうか?
私はいったい、何を忘れてしまったのだろう──。
『……嫌だあああああああああああああああああああああ──っ』
『…………』
──ただ、その後体感で、何千年か、何万年か、何億年か、はたまたそれ以上か……。
どれだけの時間が過ぎ去ったのかはわからないが──私は、その瞬間『音』の全てを奪いつくしたのだった。
……はぁ、ようやくだった。
その存在は『繋がり』も途絶え、『世界』から居なくなったのが分かったのだ。
『音』の元となる本体は結局分からず終いだったが、これで遂に勝利したと言えるだろう。
私は頑張った。頑張ったのだ。
なので、この後は新たに作った『世界』をひたすらに整理し続けていけばいい……。
これで、これからはもっと楽になる筈だ──。
『…………』
──だが、そうするとその後はずっと静かな時間ばかりが続くようになった。
あんな『音』でも、完全になくなると寂しくなるのは不思議なものだと思う。
……うむ、どうやら意識だけの『外側の私』は、独りになってしまったらしい。
でも、意識を向ければ『大樹の森』の中にある『世界』の様子も一応は視れるので問題はないのだ。
ただ、長らく一秒に沢山の作業を詰め込み過ぎたせいで、殆ど周りの動きが感じ取れなくなる程になってしまっている。それは一人だけ静止画をひたすらに見続ける様な感覚だ──。
最初は良いが、それも次第に飽きてしまうのだろうか……?
もし『世界』を一通り眺め終え、それにも飽きたらその後はどうすればいい……。
『虚』の中で静かに目でも瞑っていようか……?
眠たくはないが、暫くは穏やかに過ごし、この体感時間を元に戻せないものだろうか──
『…………』
──ただ、そんな風に思いながら『世界』を実際に眺めていると、私の意識はとある場所で祭られていた一枚の『絵』に目が止まった……。
それは、とある『白銀の耳長族』と綺麗な『鬼人族』の女性が中心に描かれているなんとも『理想的で』仲睦まじいと感じる素敵な『絵』であった……。
またのお越しをお待ちしております。




