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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
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第405話 確信。




 『大樹の森』へと戻った私たちは、穏やかな日々を過ごしていたのだが……丁度、日差しの厳しい季節になろうかと言う季節の変わり目にて、とても珍しい事が起こった。



 ……と言うのも、朝起きて寝室から出て居間へと行くと、そこにいたエアの様子がかなりおかしいのである。

 朝、私が居間へとやって来た時には既にエアの姿がおり、食事も終わっているようなのだが、今日のエアは朝からとても目がキラキラとしており、嬉しそうに室内をキョロキョロと見回していたかと思えばいきなり窓の外をジーっと眺めだし、そしてまたキョロキョロと室内を眺め回しているのだ。



「…………」



 私はそんなエアの姿を見て、『おや?』と思いつつ、微笑ましさを覚えた。

 ……と言うのも、エアがソワソワ、キョロキョロとしながら見回す先には必ずと言っていいほどに精霊達が居るのが私からは見えているのである。


 なので、『おや?もしかしたらエアも精霊達の姿が……』と私は思ったのだ。



 今までのエアも、時折調子が良い時などには精霊達の声が囁きとして聞こえる事があったり、精霊達の雰囲気を感じて大体の居場所がなんとなく分かるくらいの事はよくあった。


 ただ、それも常に感じ取れると言う訳ではない為、短時間だったり『ふっ』と気を抜いた時にはもう感じ取れなくなってしまうのだと、エア本人も言っていたのだが……。



 ……どうやら今回はその『見えている時間』がだいぶ長く続いているのか、これまでとは何かが違っているらしい。


 ただ、それを直ぐに私達へと言い出さない所を見るに、エアも未だ半信半疑ではあるのだろう。



 『もしかしたら、またこの状態も一時的なもので、気を抜いた瞬間には見えなくなってしまうかもしれない……』と。


 ただ、今回は本当に今までとは違うのだと、もう完全に見える様になったのだと、自分でそう確信できるまではああやって微笑ましくも確認していると言う訳なのだと思う。



 ……まあ、それだけ見えている様ならば既に問題ないとは思うものの、エアが笑顔で報告してくるのを私たちもまたソワソワしながら待つ事にしたのであった。



「…………」



 ──特に、今回は精霊達のソワソワ感がとても強い。

 先ほどから、みんながみんなエアの方をチラチラと見てばかりいるのだ。


 『あれ?目が合ってる気がする!』と言う者や、『あれ!?呼び掛けたらこっち向いてくれたよ!』とか言っている者も増え始めて、精霊達にも『エアちゃん、もしや遂に……!?』と言う思いが伝播していっているようだった。



 ──因みに、私の傍に居る四精霊のテンションは更に高く、火の精霊を抑える為に私は肉体の本気を出していた。


 『エアちゃんきっとわたし達の事見えてるよっ!』『間違いない!』『これからは普通にお話できると嬉しいですね~!』……『ちょ、ちょっと、旦那!なんで俺だけそんな抑え込まれてるんですか!俺も一緒にみんなとエアちゃんの事について話し合いたいだけなのにっ!!』



 ……とまあ、そんな感じの事があった。抑え込んだのもなんとなくである。

 そんな気分だったのだ。



 と言う訳で、『大樹の森』はその日一日中、みんながソワソワとする面白い一日になった。




 ──そんな日の翌日。



「ロムッ!わたし、みんなの事が見える様になったみたいッ!まだちょっとだけ薄っすらとはしているけど──」



 そうして、一日を観察に使い確信を得られたのか、エアは翌朝になってそんな喜ばしい報告をして来てくれた。……そうかそうか。


 ただ、どうやら完全に姿は見える様にはなったけれども、未だ若干ぼかしが入ったような状態で薄っすらとしている様に見えるらしい。



 だがしかし、それでも十分に素晴らしい事だと私達は思った。



 ──と言う訳で、私は精霊達と一緒にエアのお祝いの準備を急遽行うにしたのであった。





またのお越しをお待ちしております。

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