第389話 恐々。
私は王達から頭を下げられていた。
話を聞くと、どうやら友二人へと彼らは特別な称号を贈りたいと考えているらしい。
……私もまさか呼ばれた理由がそんな心温まる話だとは露ほども思っておらず、若干ジーンと感動を覚えている。
それは王達から友二人に対して、日頃の感謝とこれまでの頑張りに対して、最大限の礼を込めた『粋な贈り物』であった。
人によっては、そんな称号よりももっと分かり易く価値のある物の方が良いと感じる人もいるとは思うが、王達は友二人へと贈り物をするのであれば、こちらの方が良いと思ったのであろう。
……実際、友二人もただ金品を貰うよりは、余程こちらの方を喜ぶだろうなと私も思った。
互いに尊敬しあえる関係とは尊いものだ。
そう言う風に想い合える関係であると言うだけで、そこには掛け替えのない絆があるのだと感じる。
友二人がこの国の者達からどれだけ大切に想われているのかが分かり、私としても嬉しい限りであった。
……この場に来て良かったと思う。
まさか、王城を訪れて良かったと感じる日が来るなんて……きっとこれが初めての経験だろう。
「……そう言う話であれば否はない。勿論『許可』しよう」
「──おおっ!」
今回私がここに呼ばれたのも、その称号を彼らへと受け取って貰うがために、この一言が必要だったと言うただそれだけの話であった。
私が了承を告げると、王達はとても嬉しそうに微笑んでいる。
そんな王達の嬉しそうな表情に、私達も少しだけほっこりした。
……これからもどうか、あの二人と良い関係でいて欲しいと思う。
それとなんだ、『至高の耳長族』と言っただろうか……うむ、二人に贈られる事になる称号だと言う話だが、これも中々に悪くない響きだと思った。
今はまだあまり聞き慣れない言葉でもある為、少し違和感を感じる気もするけれど、時が経てばきっとそれも自然となり色々な意味であの二人にぴったりな似合いの称号となる事だろう。
……まあ、若干偉そうな感じもするが、あの二人ならば偉ぶる様な事も無い為反感もあまり出ないだろうと思う。
「……それで、話はこれで以上だろうか?そうであるなら、私達はそろそろ失礼させて貰おうかと思うが」
……いやはや、最初はどうなる事かと思って警戒もしていたが、普通に心温まるお話だったので私としても一安心であった。存外にここの王城も悪くは──
「──あっ、お待ちを!」
「……ん?」
「あと一点だけ、日程の確認をして頂ければと存じます。此度は目出度くも許可していただきましたので、つきましては十日ほど先になりますが、特別式典を開く予定を既に整えておりますので、その際には是非ともお三人揃っての参加の程、何卒よろしくお願いいたします」
「…………」
話ももう終わるかと思ってホッと一息つきかけた瞬間に、突然放たれたその『宰相』殿の言葉に、私は『……えっ!?』と驚きで固まってしまった。
『ちょっと待って欲しい!なんだそれは!さっきの話には全然出て来てなかっただろう!聞いてないのである!!』と私の内心で抗議している。
……だが、まて。そもそもなのだが、えっと、その称号と言うのはあの二人に普通に伝えるだけじゃダメなものなのだろうか?式典まで開くと?
「勿論でございます!!此度の件は国を挙げての式典となりましょう!」
「これは大きな祭りになりますぞ!事前準備にも力が入りますな!!」
「国中の者達みんなに周知し、皆であの二人へと感謝を伝えたいのだよ。これは当日が楽しみだな!」
「……う、うむ。そうか。そうだな……?」
王達はみな嬉しそうな顔でそう言って来る。
だが、それに引きかえ私の心は混乱の渦の中にあった。
そして、『……あれっ、これは少し早まったかもしれない』と、既に後悔もし始めている。
私的にはもっと身内だけの密かなイベント事かと思っていたのだが、話が思っていた以上に大事になりそうだと聞いて、冷汗も流れ始めていたのだ。
それになによりも、そんな催し事にどうやら私も表舞台に立って参加しなければいけない雰囲気なのだが……あの二人だけではダメなのかな?私も一緒に参加するようなのかな?
「是非に頼む!」
「当日はよろしくお願いしますぞ!」
「後ほど式典の大まかな流れは説明させて頂きますのでご心配はいりません!──ただその際に良ければ、式典ではどうかお二方との思い出などを少し数分程スピーチして頂けたらなと思います。勿論、その為の特別な場も設ける予定でおりますので、事前に話す内容だけはご用意していただけますと幸いでございます!何卒よろしくお願いします!許可していただき、誠に誠に、ありがとうございましたっ!」
「…………」
……こ、これは、とんでもない事態になりそうな予感しかしない、私であった。
またのお越しをお待ちしております。




