第300話 酬。
『ポイント争奪大魔法戦イベント』が終わった。
そして、その初代優勝チームと言う栄誉を手に入れたのは『ゴーレムくん軍団』である。
「…………」
「…………」
「…………」
──ゴッ!ゴッ!ゴッ!
『ジトーっ』とした精霊達の不満そうな視線が至る所から私へと向けれらているのを感じる。
一方、そんな精霊達とは違い、全身で喜びを表現したいのか『ボスゴーレムくん』を先頭に全員が一糸乱れぬ完全さでロボットダンスを披露し、勝利の余韻に浸っている『ゴーレムくん軍団』の姿がそこにはあった。
……いや、精霊達よ。そんなにジト目で見られても困るのである。
だって君達、仕方ないだろう。誰も一ポイントも取れなかったのだから。
それでも、イベントの勝敗をつけないわけにはいかなかったので、敢えて勝者を挙げるとしたら『ゴーレムくん達』以外に相応しい者達が居なかったのである。
『皆……よくここまで、俺の滅茶苦茶な指示に文句ひとつ言わずついて来てくれた。今回の勝利は皆のおかげだッ!』
『何を言ってるんですかボスッ!ボスの的確な指示があったからこそでしょう!』
『そうですよボスッ!それにボスの見事な妨害魔法のおかげで、最後まで誰一人として打ち取らなかったんです!あれが無ければ、今頃俺はここにはいませんでしたッ!』
『俺たち皆、ボスに感謝しているんです!あんたを信じてついて来て本当に良かったって思ってるんです!ありがとうございますボス!』
『ありがとうございますボスッ!!』
『お前ら……感謝するのは、俺の方だ……皆ありがとうな!ゴーレム軍団は永遠に不滅だッ!!』
『うおおおおおおおおおおおーーーーーー!!』
「…………」
何故か、向こうでは一通り踊り終わった後になんとも感動的な場面が繰り広げられていた。
彼らは言葉を何も発してはいないのだが、仕草でなんとなくそんな風な事を言っているのだろうと伝わって来る。
ただ、やはりおかしい。
『ゴーレムくん達』にあんな仕草をするような機能はつけてないはずなのだが……。
……まあ、いいか。
「楽しかったねーバウっ!」
「ばうっ!」
それに、エアとバウに関しては凄く満足そうである。
二人にとっては普段の魔法訓練の延長線上に今回のイベントがあったようで、新たな学びを得る事が出来ただけ良かったと笑い合っている。……二人ならばきっと上手く次の機会に活かしてくれる事だろう。
まあ、精霊達もそこら辺は十分に理解してはいるらしく、彼らも『今回のイベントも凄く楽しかったです!』とは言ってはくれていた。
だが、ああして未だにどうしてもジト目が止められないのは、『完全にゴーレムくん達に封じ込まれたのが悔しかった事』と、『初回からちょっと難易度高すぎたんじゃない?』と言う無言の訴えが含まれているからであった。
そして、出来る事ならば、『悔しいからもう一度!もう一度だけでいいからやらせてっ!』と、本当は言いたいらしい。
けれど、今はその気持ちを精霊達は『ぐっ』と噛み締めて、皆我慢していたのである。
私としては、本当に彼らが望むのならばもう一度やって貰っても一向に構わなかったのだが、『先ほどと同じ敵、同じ陣形、それに何をしてくるのかまで分かってしまっている状況』では、こちら(精霊達)があまりにも有利過ぎる言って、精霊達は自ら弁えてくれたのであった。
……まあ、元々討伐してポイントを集めるイベントなので、私はそれでもいいとは思うのだが、精霊達は今回の悔しさをバネにして次回勝つ事を選んだらしい。立派だ。
それに、あれほどまで白熱して楽しかった『ゴーレムくん達との魔法戦』だったから、先ほどよりも大きく難易度が下がった状態でもう一度戦い、ただの作業と化して討伐するだけの詰まらないイベントにはしたくなかったのだと言う。……なんとも嬉しい話だった。彼らはそれだけこのイベントを面白いと感じてくれたようである。
それに、言わばこれは精霊達の矜持にも関わる問題になっていたらしい。
何せ、元々魔法の技量的な差を考えれば、圧倒的に精霊達の方へと軍配が上がる戦いなのである。
それを、あの『ゴーレムくん軍団』は不利な状況にも関わらず巧みに防ぎきり、誰一人ポイントとして欠ける事なく、精霊達から完全勝利をしてみせたのだ。
その素晴らしさを考えれば、『悔しいから』と言う理由だけで再戦を望むのはなんとも幼稚だと精霊達は感じ、『領域』から少し逸脱する行為でもあると判断する事にしたらしい。
『結果は素直に受け止め、認める事が重要なのである』と。
『そうする事で、私達もまた一つ、大きく成長できるだろう』と。
精霊達の目は、まるでそう言うかの様に先を真っ直ぐと見据えていた。
『……正直言って悔しいけど、今回は称えざるを得ないです。ですがっ、次回はこちらが勝たせて貰いますからっ!』
『──ゴッ!ゴゴッ!』
──と、精霊達と『ゴーレムくん軍団』の間には不思議な友情も生まれたのであった。
そして、両者は互いに手を自然と重ねて、友情の証とでも言うかの様に熱い握手を交わし、穏やかに微笑み合っている。……何気にとても良い光景だった。
そして、因みにだが、精霊達の提案で『ゴーレムくん軍団』には初代優勝チームになった特別賞品として、『空飛ぶ大地』に『ゴーレムくん達専用の待機所』がプレゼントされる事になったのであった。
またのお越しをお待ちしております。
祝300話到達!
『10話毎の定期報告!』
皆さん、いつも『鬼と歩む追憶の道。』略して『おについ。』を読んでくださってありがとうございます。
ようやく九月になりましたね。
秋は一番好きな季節なので、個人的に凄く嬉しく感じております。
今年は本当に暑さで頭が動かず、『いくら考えても何も思い浮かばない……』みたいな、もどかしい時間が多くて困りました……。
ただ、その暑さも段々と収まってきていますので、これからは調子を元に戻していきたいですね。
まだまだ残暑が続いておりますので気は抜けませんが、油断せずに今後も頑張っていきたいと思っております。
今年の連日の暑さにも最後までどうにか負けずにやれてこれたのは、皆さんからの励ましが活力になっていた面が凄く大きかったです。
だから、本当にありがとうございました。
そして引き続き、今後もどうか応援よろしくお願いします^^!!
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──さてそれでは、目標に向けて、今一度確りと声に出していきたいと思います!
「目指せ、書籍化ッ!調子を戻し、更新頻度も上げていこう!」
皆さんも体調管理にはお気を付けてくださいね。
季節の変わり目には体調を崩しやすいものですから。
『鬼と歩む追憶の道。』略して『おについ。』を、是非とも宜しくお願いします!
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