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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
210/790

第210話 予約。



 ジーンとしている私。


 ただそうしていると、スッと片手に熱を感じた。

 見るとどうやらそれはエアの手であったらしく、顔を向けるとエアは無邪気に微笑み、ぎゅっと一度だけ強く手を握りしめてくる。



 どうやって判断しているのかは私には分からないけれど、私がジーンとした瞬間にはほぼ必ず手を繋いでくるのであった。

 それが何とも励まされている様な気がしてしまい、尚更ジーン加速をさせてくるのだけれど、エアの優しさを私は素直に嬉しく思った。





 『第三の大樹の森』が完成した事で、とりあえずはこちらの大陸に来た目的は、早々に達成できてしまった。

 本来は寒い季節の間に丁度良い森を探し、そこを『第三の大樹の森』にしようと予定していたのだが、この空いた時間は如何にしようか。



 このような不意に訪れた空きの時間の使い方には、人それぞれの色がよく出る。

 私なんかの場合だと直ぐにゴロリと寝っ転がって休んでしまうのだが、エアなどは直ぐに自分の魔法の鍛錬へと励むのだ。



 バウの場合は、最近は暇さえあれば小さい石を魔法で出してはクルクルと回して、最後は必ず私のお腹にプレゼントしてくれる。

 私はその石を受け取ると、代わりにクシャクシャと撫でてやるという習慣が続いていた。今度は『お食事魔力』をおやつ感覚であげるのも喜んでくれるかもしれない。



「暫くはこちらで休まれて行きますか?この時期は向こうはお寒いでしょう」



 そう言ってくれるのは老執事であった。

 そうだな。他の大陸にいけば今は雪などで身動きが取れなくなるし、大樹の森へと帰ればのんびりとするだけである。

 それならば、彼の言う通りに、このまま芽吹きが来るまではこちらでゆっくりするのも悪くはないかもしれない。



「ロムさん達!こっちに暫くいてくれるんですかっ!!それなら剣闘士のみんなにも会いに来てくれませんか?きっと喜びますよ!またみんな戦いたいって言ってましたからっ!暫くはこっちで剣闘場にも一緒に行きましょうよっ!」



 エルフの青年の一人が、そう言って笑顔で私達を誘ってくれた。

 そうだな。前回行ってからからそこそこ過ぎたし、また服を破ってしまった者達が増えている事だろう。私の『お裁縫』欲をあそこのやんちゃ達は満たしてくれるので、私も何気に剣闘場は好きなのだ。

 もちろん戦いたいわけじゃなくて、私は『お裁縫』をしに行くだけである。



 だが、その分またエアがウズウズとしているので、行ったら剣闘士達と手合わせしたくなるのであろう。エアが楽しそうならば、私にも否やはない。また少し顔を出してみる事にしよう。



「ロムさん、あの、ちょっと雷石改の六番目でしたっけ?良かったらあれを少しの間お借りしたいんですが良いですか?もう少しだけ魔方陣を見せて欲しかったんですよ。……あ、あと旅先とかでまた面白そうな魔法道具見つけてたりしません?良かったら色々と話したい事もあるんですけど……」



 魔法道具職人である五人のお父さん達は知識に貪欲らしく、日夜新たな魔法道具の開発や改良を行っているらしい。聞いてみると自分達で好きな事を作れるこの環境が、今とても楽しいだとか。うんうん。それはなによりである。



 私は『時間が合えば、必ず行く』と彼らに返事して、『雷石改六』を取り出してそれを彼らへと手渡した。

 ついでに、その内改良して焼き付けられる情報にある程度の制限をかけるフィルター機能も付ける事を彼らに話すと、彼らは一層良い笑みを浮かべたのである。

 彼らと一日中魔法道具について語り合うのもそれはそれでかなり楽しそうだと私は思った。



 彼らは興味を引かれた様で、その理由とか他にも色々と聞きたいという事なので、是非ともこちらに居る間は暇があれば少しでも話を聞かせて欲しいと頼まれてしまったのである。

 『ああ、喜んで』と私は彼らに手を挙げて了承を伝えた。




 という事で、これは完全にこの寒い季節はこちらで過ごす事が本決まりになりそうである。

 エアもそれで問題ないだろうかと尋ねてみると、エアは暫く『んー』と悩んだ仕草を見せると、急にパッと笑顔を咲かせてこう答えた。



「私もロムと、時間があれば買い物とか一緒に行きたいっ!!」



 なるほど。そう言えば確かに、最近はのんびりと二人で買い物をしたりと言う事が無かった気がする。

 了解した。それでは一緒に買い物に行って、美味しい物を食べたり楽しむ事にしようか。



「うんっ!たのしみーっ!」



 エアは私の手をギュッとしたままブラブラと振り子の様に振って想像し楽しそうに笑っている。


 そして、最後に、糸目のプニプニドラゴンのぬいぐるみがパタパタと宙に浮かびながら、私の顔をジーっと眺めてくるのがよく分かった。


 よし、分かった。バウとも一緒に居る時間を作ろう。そこで魔法を特別に教えたり、遊んだりするのはどうかな? 



「ばうっ!ばうばうっ!」



 そうかそうか。よしよし、ではその通りにしよう。

 バウは一度私にも負んぶをして欲しいそうなので、バウとの時間が出来たらそのお願いを聞いてあげる事にしよう。それだけで喜んで貰えるなら私にとってはお安い御用である。



 お母さん方や、子供達とはぬいぐるみの講座の約束をしたり、老執事や元お嬢様の女中さんとは、『第三の大樹の森』の良い活用法などを詳しく教えて欲しいなど、今日だけで色々な約束事が増えてしまった。


 最終的には、皆が私と約束事を結ぶので、ちょっとお願いし過ぎたかなと全員が反省する様な空気感にもなりかけたのだが、私は魔法使いとして『一度結んだ約束事は決して破らない』と皆へと告げる。



 だから、どうか安心して欲しい。

 一つ一つは小さな約束事だが、それも束ねれば中々に大きなスケジュールになるのは分かった。

 だが、沢山あるからと言って、どれかを削ったりはしたくない。


 これらの結んだ約束事は全て、私にとっては大切にしたい思い出であり、宝物の様なものである。

 私は冒険者であるからして、そんな素敵な宝物を見過ごすわけにはいかないのだ……。




またのお越しをお待ちしております。



祝210話到達!


『10話毎の定期報告!』

皆様、いつも『鬼と歩む追憶の道。』略して『おについ。』を読んでくれてありがとうございます!


今回の定期報告の内容ですが……、

もう直ぐで七十万文字に到達しそうだという内容しか、今回は報告がありません。

いつも読んでくれて、応援してくれている皆に、もっと良い報告が出来る様になりたいですね。


そんな報告が出来る様に、油断することなく今後も頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!


ブクマをしてくれている五十九人の方々(前回から三人増)!評価してくれている十三人の方々!

皆さんのおかげで、この作品の総合評価は244ptに到達しました!ありがとうございます!

誤字報告もありがとうございます!助かります><すみません。


──さてさて、それではいつものいきます!確りと言葉に出して、目標を一個ずつクリアしていきましょう!


「目指せ書籍化っ!なおかつ、目指せ先ずは総合評価先500pt(残り256pt)!」



(注・208話を2020・07・09に、大きく修正しましたので、それ以前に読んでしまった方はご注意ください。)



今後も『鬼と歩む追憶の道。』略して『おについ』を、是非ともよろしくお願いします!


更新情報等はTwitterで確認できますので、良かったらそちらもご利用ください。

フォロー等は出来る時で構いませんので、気が向いた時にお願いします。


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