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鬼と歩む追憶の道。  作者: テテココ
200/790

第200話 今是。




 『第二の大樹の森を作ろう!』という事で、私達は周囲を森に囲まれた街を出て、森の中を暫く歩き続けている。



 あれから少し時間も経ち、火の精霊もちゃんと休めたようで、今ではすっかりと元気を取り戻していた。


 ただ、その顔には、おでこから顎先にまでかけて、大きな太字で『おバカ』と書いてある事を、本人だけは未だに気づいていない。

 私は教えようとしたのだが、暫くの間はこのままでお願いしますと他の三人から口止めされてしまったので、そのまま見守っている。



 それに、今回の独断は三人にとっても見逃せない事だったらしく、本人が気づくまでは罰としてそのままにしておきたいのだとか。

 三人の見た目は今、微笑んでいるけれど、その内心ではグツグツとしているらしい。『早く気づいて謝った方がいい』と私は火の精霊に念じておいた。



 火の精霊は目が覚めた当初、他の三人が来ているのを見た瞬間に『まずいっ』と言う顔をしていたのだが、勝手に動いた事を他の三人から咎められると思っていたところを、逆に三人が火の精霊の身体の安否を優しく心配してきた事で、『怒ってないのか。大丈夫だ』と誤認してしまったらしい。



 だがもちろん、三人は未だに怒っている。それもかなりだ。

 こういう笑顔を浮かべたまま、内心では本気で怒こっているという時ほど怖い物はない。

 ……やはり、後でさり気なく四人のフォローをしておくことにしよう。この四人が喧嘩している所はあまり見たくないのだ。



 因みに、白い兎さんは雪山にて風を感じる為に帰っていった。そして糸目のプニプニドラゴンであるバウは、正面を向いたまま背後からエアに抱っこされる形、所謂『ぬいぐるみ状態』のままで移動している。この状態だと街の人達が見ても、誰も『ドラゴンが居るぞっ!』と騒いだりしないのであった。精々が『可愛いぬいぐるみですね』と褒められるだけである。




 ……まあ、そんな我々であるが、今日ものんびりと活動開始だ。

 そして先ずは、『第二の大樹の森』を作る為の良い場所を見つける事から始めよう、という事で森の中をキョロキョロしながら歩き回っている最中であった。



 ただ、正直な話、これが一番大事で、これ以外はそこまで大事ではないと言っても良い。

 そして、場所が決まったら、私が持っている苗木に魔力を込めて植えるだけで完成なので、恐らくはこの場所探しが終われば、即終了だと思われる。とても簡単だ。



 木を植えた後は、苗木自体が込められた魔力を上手く消費しながら力強く生長していくので、やがてその苗木が少しずつ大樹へと育っていくまで、私達はのんびりと見守るぐらいしか出来ないのである。


 余裕があれば、中心となる大樹(苗木)の周りを切り拓いておき、畑を作ったり、花畑にしてみたりと自分好みの空間を作って楽しんでも良いだろう。



 ただ、基本的には憩いの場として、精霊達が心休まる空間にしたいというコンセプトがあるので、元の大樹の森と似た作りにしたいという気持ちはあった。



 火の精霊も、沢山色んな場所に作ってくれた方が嬉しいみたいな言い方をしていたので、そこまで場所ごとの特色を出したりしなくてもいいのだろう。きっと全く同じでも構わないと思う。



 それに、どこの場所に行っても同じ作りにしておいた方が、『あっ、この場所は大樹の森なんじゃないか?』と精霊達にも気づかれ易くなって、広く認知される様になるかもしれないという利点も考えられる。皆に周知させる場合、場所が分かり易いというのはとても大事な事であるから、このプランで私は問題ないだろうと考えていた。



 新しい発見が無いという意味では面白味には欠けるかもしれないけれど、憩いの場として作るのだから、『精霊達が安心していられる場所』という事に注目するべきであろう。



 ただ、こんな機会はあまりない事でもあるので、折角ならばエア達の意見も聞いてみたいと思い、私は隣を歩いているエアにも尋ねてみた。


 既にエアにも新しく大樹の森を作る事については話をしてあるので、『これがあったら大樹の森として良くなると思うものは何か思い浮かぶだろうか?』それとも、『これがあるとエアが嬉しいと思うものはなにかな?』と、エアが思った事をそのまま答えてもらおうと思う。



「んー、そうだねーー、あっ、大きい水溜まりあった方が、泳ぎの練習とかは出来て楽しそうっ!」



 ……なるほど。川や海、とまではいかないけれど、湖や泉と言った大きな水溜まりが大樹の傍にあっても美しいかもしれないな。

 流石である。エアは目の付け所が大変に素晴らしい。

 それに私なんかよりも想像力が良く、美的感覚にも優れている様だ。

 私は思いつきもしなかった……。



「えー、そんなかな~……あっ、ならあと!火の精霊達が前に、『水の滝や魔力の滝があるなら、火の滝があってもいいよな~』って囁いてたのを聞いたことがある気がする!ロム、どうかなっ、出来るっ?」



 ……天才、ここに現る。

 その発想もまた私には無かったものである。



 なるほど。私も火の精霊達の為の場所として、以前に少しは考えた事があったのだけれど、それで思いついたのは精々、溶岩を山の火口などにある様な状態で滞留させ、溶岩泉の様なものを作る事ぐらいであった……。


 そんな私の貧困な発想に比べて、エアの意見は大変に素晴らしい。

 もちろん、元は精霊達の囁きがきっかけではあるのだろうが、その精霊達の口調だと、『出来るわけないけど、あったらいいよなー』という感じで、諦めが先に来たただの世間話に過ぎなかったのだ。


 だが、それをエアは、『実際に試してみようよ!』と言っているのである。

 『発想』と言うのは、思っているだけではなくちゃんと実際に発信し行動に移さないと、周りからしたら何も考え付いていないのと同じなのである。


 『無理だろうなー』で諦めるのではなく、『じゃあやってみようよ!』と純粋に思える事が、まずエアの素晴らしい所であった。大変に良いと思います。花丸満点です。



「やったー!」


「ばうー!」



 エアが嬉しそうに笑うと、抱っこされているバウも一緒に喜びの声をあげる。微笑ましい光景であった。



 ……ん?なんだい君達。

 えっ?さっきまでは、元の『大樹の森』と同じ作りにするって言ってなかったかだと?うむ。確かに言っていた。


 だが、大事なのは君達が滞在するにあたって、そこをより良い場所にする事である。

 憩いの場所として君達がもっと居心地よく過ごせるのであれば、多少の労苦は何でもない。


 どうだろう。私としてはエアの意見を取り入れた方が、水の精霊達や火の精霊達にとっても過ごし易い場所になると思うのだが……。



 『旦那、確かに悪くない』『私はどっちも好きだよっ!』『水は必須』『私もどちらでも平気ですので』


 四人とも納得のようである。特に、火の精霊と水の精霊はかなり嬉しそうに微笑んでいた。



 ──よし、ならば、その計画で行うことにしよう。是非とも楽しみにしておいて欲しい。





またのお越しをお待ちしております。



祝200話到達!


『10話毎の定期更新!』


皆様、驚くべきことに、もう二百話目です。


前回の百話報告をしたばかりな気がするのですが、いつの間にかもうここまで来てしまっていました。


ずっとお付き合いしてくださっている方々。いつもありがとうございます。

アクセス数や、ポイント数を見て、日々の励みとしております^^。

感想は心の栄養ドリンクに。誤字脱字報告は助けになってくれています。

本当にありがとうございます。


油断することなく今後も頑張って参りますので、末永くよろしくお願いいたします。


まだまだ突き進みます。



……因みに、200話目と言う事で、前回そんなに甘くはないと知ったばかりではあるのですが、今回も実はまた少しだけ期待していたりします……ポイント増えたら純粋に嬉しいですね。


作者が喜んでやる気が出るだけなのですが、それでも良いという方は是非とも、まだブクマや評価をした事が無いという方も、この機会にしていただけると幸いです。よろしくお願いします。


既に『したよ!』という方々は、本当にありがとうございます!嬉しいです!

今後も引き続き、応援頼みます^^!


ブクマをしてくれている五十六人の方々(前回から一人増)!

評価してくれている十三人の方々(前回から一人増)!

皆さんのおかげで、この作品の総合評価は238ptに到達しました!ありがとうございます!


──さて、いつもの一言を確りと言っていきたいと思います!


「目指せ書籍化!なおかつ、目指せ先ずは総合評価500pt(残り262pt)!」


今後も『鬼と歩む追憶の道。』略して『おについ』を、是非ともよろしくお願いします!


更新情報等はTwitterで確認できますので、良かったらそちらもご利用ください。

フォロー等は出来る時で構いませんので、気が向いた時にお願いします。

@tetekoko_ns

twitter.com/tetekoko_ns

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