エピローグⅡ
・
「・・・いこう♪たけし。」おれの手を、手に取って、そのままその手を繋いで伸ばす。
「どこに?」
「いいところ。」ふふ。なぎが笑う。
その変わらない、可愛い笑顔で。
「みんな、いるから。」
みんな。いる。・・・・・
「毅も、いるよ。」
「あいつ?」
「そう、毅は彷徨える、魂。」
「・・・・。」
心に傷を負うカルマを背負い、絶望と自滅を繰り返す。迷い、流離う魂。
「でもあなたが、言ってくれたから。・・・仲間だって、家族だって、言ってくれたでしょぅ?」
「・・・。」
「待ってるって、言ってくれたから。」
魂は癒しを得て、今回は・・・天寿を全うする事ができた。
・
「・・・・。」
・
「大切なのは血の繋がりだけじゃないと証明できた。これでポイントアップだね。」
なぎが、嬉しそうに笑う。
「・・・待ってるって言ったのに。先に行っちゃったのかよあいつ。」
「ふふふ、大丈夫。ただいるだけだから。そこにいるだけだから。時間と言う概念はないの。」
「?」
「色々教えてあげる。行こう。」力強く、なぎが言う。
花が咲き乱れ蝶が飛ぶ。遠くには鳥の鳴き声がして。・・・・
なぎさと手を繋ぎ先に進む。
「やっぱこんな感じなんだ。」
「ここでは。自分が思う事願う事が現れるの。」
ぎゅっとおまえの手を握る。
「ん?」
「おまえも?」
「え?」
「おまえも本当は、幻なのか?おれの、願望なのか?」
「・・・。もぅ。」
なぎが、そっと首を振る。
「ふふ、みんなね、あなたに会うの楽しみに。待ってるよ。ちなみに。翼は毅の、守護天使ね。残念ながら。僕たちまだまだランクは下だけど。お互いにみんな、まだまだ修行の身。」
「・・・。」
「僕たちも、武士たちもね。だから今回は協力してミッションをやり遂げたの。」
・
「・・・ふ、ははは。・・・」・・・なんだよ。
そう言う、・・・ワケか。
おれは笑う。
「賑やかだな。」
「そう、おかげさまで。家族ぐるみでお付き合い、させていただいてます♪」
・
「そうそうあの日、食べた。ハムカツの作り方も、たけしのママに、聞いたんだよ。ママ、喜んでたよ、また。武士に食べさせてあげられる、なんて、って。言って。」
「・・・。」
「すごく、喜んでた。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
「いや、」
「?」
母ちゃんが、喜んでいた。
その言葉を聞いて。
おれも喜んで、
・
笑った。
・
「ありがとう。」
そうまた。その言葉を、口にして。
同時におれは、生まれて初めて。あの日、生き残れた、事に感謝した。
だから・・・ここまで来れた。そしてまだ、この瞬間、・・・生きている。
生きて、感謝する事ができる。そして無事に死ねた、事にまで。感謝して。
最後に心の中心で。手を、合わせる、心の底から、そうやって。・・・・
ありがとう、おれを取り巻く、すべてへ。
「ありがとう。」そう言って、おまえを、見つめる。そっか、とりあえず。
「またいちから。ひとりで。やり直しか。」思い切り、う~~んと手を広げ。伸びをした。
窮屈な、身体は脱ぎ捨てて。
自由になって。まずは大空を、飛び回るんだ。
肺にめ一杯、空気を吸い込んで。
明るい光のまぶしさに。目を細めた。
おいで、と隣の渚に、手を伸ばす。
「もぅ。・・・ひとりじゃ、ないでしょ。・・・」
「え?」
ひとりじゃ。ないよ。僕が。いるよ。そうなんだよ、みんな。そうだよ。みんな。
そうなんだから。
~Fin.~




