第59章
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昏々と目を閉じ・・・ただ、その時を・・・待つ。
「あっちの世界は。いいものですよ。」
「・・・。」
「いいもの。らしいですよ。」・・・頭の、なかに声が。・・・する。・・・・
「言い換えたな。」・・・おれは・・・・・笑う。
「ふふ。」そして密やかに・・・いつもの、ように笑う。おまえの・・・声がして。
「痛みもなく、苦しくもなく。」
・・・キリストか。・・・・・
「ただ。あるのみ。」
「・・・・。」
「そこに、あるだけ。」
「自由・・・?」
「・・・。」
「そこって。自由?」
「それは。・・・・」
「・・・。」
「行ってみなければ。わからないですけれど。」
「・・・。」
「行ってみますか?」なぎが言う。
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・・・おれ、は・・・・・
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「・・・それなら。」
それなら。・・・・・
「行ってみるのも。・・・悪くないね。」
ただ天を仰ぎ答える。
「・・・また。」
「・・・。」
「会いましょうね。」
「・・・・・。」
「必ず、会いましょうね。」
「・・・。」
「・・・武士?」
「いつ?・・・いつ会える?」
「・・・。」
「なんてな。ごめん。」
「すぐ。」
「え?」
「すぐ、だよ。・・・・」
・・・。
「すぐに。会えるよ。」
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そう、言われて、おれは安心した。
その声を聞いて。
もし、この世に。
天使がいたら。・・・・ほら、・・・あれだ。・・・・
マリア様とか。
キリスト様とか。
そんな。存在がいたとしたら。きっと。・・・・
こんな、声してんじゃないかな。
・・・な。
・・・・な、・・・なぎ・・・なぎ・・・・さ、なぎさ。・・・・・・・・
ひとつ。
ひゅっと息を吸う。
ピーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!、突然。耳の奥に、けたたましい、電子音が。鳴る。
瞳を閉じ。
最期に呼んだのは、おまえの、・・・名前。・・・・・
ごめんな、父ちゃん。・・・母ちゃん。ふとまた。それだけ、思って微笑んだ。
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