第51章
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そう、できる事しか、やらない。・・・・かさ、・・・かさとゆっくり、とすっかり乾ききった、枯葉を踏む。
余命を告げられ、
こんな身体じゃ。何もできないから。何もやらない。
だから、思うんだよ。やっぱりこうなって。・・・からさ。
逆にさ。
あの時から。
ひとり取り残されて。
生き残って。
命だけはあったのに。
おれ、何もしないで、生きてきた。
なんもしないで。・・・ここまで、生きて来ちゃったな。・・・・
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・・・。だからさ、思う。・・・いま、
・・・こうなって、今おれに・・・・
できること、何かないのかなって、
・・・こんなに、元気にさ・・・・・
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あいつが作ってくれた飯、食ってから、こんなに・・・こんなとこまで、歩けるほど、元気になれた。
だからその・・・・あいつのために、何か・・・・
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・・・今、何か、ないのかな、おれがいま、・・・あいつの為に、できること。
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・・・。キィ・・・っと、ゆっくり、と。・・・その重い、扉を開けて中を覗いた。
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「どうしました?」すぐに。後ろから声を掛けられる。
「ぅぉ・・・っとぉ・・・・・」
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「えぇ。・・・と。・・・・」
・・・・。おれなんで、ここに来たんだろ。・・・・。
少しだけ。ためらいながら・・・振り向いて。その声の持ち主を、見る。
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・・・・・。
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どこかで。見た事のある・・・顔だった。
確かに。どこかで会った事がある。知っている。見た事がある・・・・
白髪の。すげぇ優しそうな。
・・・どこかで見たような、眼をした、爺さんが。
そこに、立っていた。
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「どうしました?」
またそう・・・言われて。扉の中に促す。
・・・どうしましたって・・・・
「・・・そぅ、言われても、どうして来たかも。よくわかんねぇんだけど。」
頭をがしがしと、掻く。
「よく、わかんねぇんだけど・・・・どうしたらいーかも。よくわかんなくて。」
「・・・それで?どうしたのですか?」また。同じようにおれに問いかける。
「・・・・。」
どうしたかのかと、言われれば。
「おれいま・・・好きな。・・・やつがいるんだけど。」そう言っただけで。顔がとんでもなく、赤く、熱っつくなった。
・・・あのキスを、思い出す。
「でもおれ、死ぬから。・・・・。もうすぐ、死ぬから。やっぱ。・・・だめですよね、いいです。ありがと、ございました。」
ぺこりと、頭を下げる。
やっぱり、そもそもこんなとこは・・・・おれには、似合わない。
がらじゃない。
おれが・・・来るべきとこじゃない。あちこちから、睨まれてる気がする、その視線が痛い。・・・いたたまれない。そのまま、
下げてた、頭を半分上げて、立ち去ろうとする。
「なぎさ?」
「え?!」・・・ぱっと、顔を上げる。
「そのお相手は、渚じゃないんですか。」
「・・・・。」・・・ちょっとだけ、後ずさった。
「いや、違います。」うそ言った。なんか、・・・怖えぇ。
直感でそう、思ったから。
・・・どいつもこいつも。何で・・・・知ってんだよ。
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「自分を許せない?」
「・・・・。」
「または、自分だけ幸せになるのは許せない?自分なんて生きてる価値がない、または彼を愛する資格なんてないと、思いますか。」
「・・・。」
「それともその全部かな?」
「だから。違うって言ってんじゃん。」
絶対に。
会った事がある、この爺さんの。顔を知っている。・・・でもどこで会ったのかは、
知らない、分からない。・・・・・・・
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「彼に恋焦がれて。その炎に最後、身体ごと焼かれてもいいと思うくらいの覚悟があるなら。」
「・・・。」
「ひとつだけ。良い方法があります。」
「・・・・・。」
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