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「A」  作者: みんと*
51/64

第51章



そう、できる事しか、やらない。・・・・かさ、・・・かさとゆっくり、とすっかり乾ききった、枯葉を踏む。



余命を告げられ、



こんな身体じゃ。何もできないから。何もやらない。




だから、思うんだよ。やっぱりこうなって。・・・からさ。



逆にさ。



あの時から。



ひとり取り残されて。



生き残って。



命だけはあったのに。



おれ、何もしないで、生きてきた。



なんもしないで。・・・ここまで、生きて来ちゃったな。・・・・





・・・。だからさ、思う。・・・いま、



・・・こうなって、今おれに・・・・



できること、何かないのかなって、



・・・こんなに、元気にさ・・・・・





あいつが作ってくれた飯、食ってから、こんなに・・・こんなとこまで、歩けるほど、元気になれた。



だからその・・・・あいつのために、何か・・・・





・・・今、何か、ないのかな、おれがいま、・・・あいつの為に、できること。







・・・。キィ・・・っと、ゆっくり、と。・・・その重い、扉を開けて中を覗いた。





「どうしました?」すぐに。後ろから声を掛けられる。



「ぅぉ・・・っとぉ・・・・・」





「えぇ。・・・と。・・・・」



・・・・。おれなんで、ここに来たんだろ。・・・・。



少しだけ。ためらいながら・・・振り向いて。その声の持ち主を、見る。





・・・・・。





どこかで。見た事のある・・・顔だった。



確かに。どこかで会った事がある。知っている。見た事がある・・・・



白髪しらがの。すげぇ優しそうな。



・・・どこかで見たような、眼をした、爺さんが。



そこに、立っていた。





「どうしました?」



またそう・・・言われて。扉の中に促す。



・・・どうしましたって・・・・



「・・・そぅ、言われても、どうして来たかも。よくわかんねぇんだけど。」



頭をがしがしと、掻く。



「よく、わかんねぇんだけど・・・・どうしたらいーかも。よくわかんなくて。」



「・・・それで?どうしたのですか?」また。同じようにおれに問いかける。



「・・・・。」



どうしたかのかと、言われれば。



「おれいま・・・好きな。・・・やつがいるんだけど。」そう言っただけで。顔がとんでもなく、赤く、熱っつくなった。



・・・あのキスを、思い出す。



「でもおれ、死ぬから。・・・・。もうすぐ、死ぬから。やっぱ。・・・だめですよね、いいです。ありがと、ございました。」



ぺこりと、頭を下げる。



やっぱり、そもそもこんなとこは・・・・おれには、似合わない。



がらじゃない。



おれが・・・来るべきとこじゃない。あちこちから、睨まれてる気がする、その視線が痛い。・・・いたたまれない。そのまま、



下げてた、頭を半分上げて、立ち去ろうとする。



「なぎさ?」



「え?!」・・・ぱっと、顔を上げる。



「そのお相手は、渚じゃないんですか。」



「・・・・。」・・・ちょっとだけ、後ずさった。



「いや、違います。」うそ言った。なんか、・・・怖えぇ。



直感でそう、思ったから。



・・・どいつもこいつも。何で・・・・知ってんだよ。





「自分を許せない?」



「・・・・。」



「または、自分だけ幸せになるのは許せない?自分なんて生きてる価値がない、または彼を愛する資格なんてないと、思いますか。」



「・・・。」



「それともその全部かな?」



「だから。違うって言ってんじゃん。」



絶対に。



会った事がある、この爺さんの。顔を知っている。・・・でもどこで会ったのかは、



知らない、分からない。・・・・・・・





「彼に恋焦がれて。その炎に最後、身体ごと焼かれてもいいと思うくらいの覚悟があるなら。」



「・・・。」



「ひとつだけ。良い方法があります。」



「・・・・・。」




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