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「A」  作者: みんと*
48/64

第48章



なぎと一緒に、片付けを手伝った。



「いいから、座ってて。」



「いや、大丈夫。」



そんなやりとりを・・・して。



一緒に台所に、立った。










「・・・ごめん!」なぎに向かって、手を合わせる。



「・・・たけし、いいから。」



「まじで、ごめん・・・・」なぎに、申し訳なくて、頭を下げる。



飯は、ひとくちだけ。



味噌汁はやっと半分。



ハムカツは・・・なぎが作ってくれた、3種類。



全部・・・ひとくちづつしか、食えなかった。



キャベツには手も。つけらんなくて・・・・



気持ちでは食べたいと思ってんのに。



喉に・・・・喉の先に、腹ん中に、入っていかない。



いつも、飲んでもいないくせに腹いっぱいって言って、ふくれた腹をさする。



毅の事を・・・思い出す。



「・・・せっかくおまえが作ってくれたのに、」



「食べれたほうです。」



「なぎ、」



「・・・良かった、少しでも食べられて。」本当にほっとした顔をして。



可愛い笑顔を見せて、なぎが、おれを見る。



「・・・。」










「飯の力って。凄いよな。」



「ね。」



まさに指の。・・・先から。生気がみなぎる、感じだ。



なぎが作ってくれたハムカツは。最初で最後の。・・・・そう。きっと、多分。この世で最後の。おれの食った飯になるに、違いなかった。おれは。・・・そんな気がしてた。



・・・。だからおまえ。



今日こんなこと、してくれたんだろ。・・・?・・・だからだろ?



隣にいる、なぎを見つめる。





きゅっと。なぎが水道の蛇口のレバーを上げた。



手を可愛い、真っ白いエプロンで拭いて。



「泊まって行く?」



「・・・・え?」



「今日、泊まって行くでしょ。?」



「・・・・。おまえ。なに、言ってんの。・・・?」





「そんな事。できる訳ないじゃん。」



「できるよ。僕が言えばできる。」



「・・・・。」



「前に。僕が聞いたの。・・・覚えてる?」



「・・・・。何が?」



「あなたの食べたいもの。お母さんの。ハムカツ。あなたの行きたいところ。それは。・・・言わなかったけど、それはきっと。・・・」



「・・・。」



「故郷の海。」



「・・・・。」



「ごめんね、ふるさとまでは。行ってあげられなかったけど。・・・・」



・・・おれは黙って。聞いていた。



「あと。あなたのしたい事。・・・言ってたよね。」



ううん、おれは首を、振る。



「言ってた。」



「・・・。」



「セックスだって。」



「・・・・・。」



「する。・・・?」



「しない。」



「どうして。・・・?」



「逆にさ。どうして。おまえはなんで、そんな事言うの。言えるの?おれに。・・・・」



少しだけ。後ろに・・・下がる。



「言わせるの?僕に。・・・?」



「・・・・・。」



「あなたが言わない、うちから。・・・?」



「なぎ、」



「たけし。」



おまえが。・・・近づく。



「キス。・・・して?」



ふるふる、とまたおれは首を、振る。



「・・・どうして?」



ちゅ。



「・・・・。」その。おれを見つめる瞳に耐え切れなくて。目をぎゅぅっと閉じて。それを目ん中に閉じ込めて、そっと、一度だけ、



なぎの顔めがけて、思い切って、キスをした。



どこに触れたのかは、わからない。・・・わからない、けど。・・・



唇、・・・以外だったのは、確か。



息をつく。




「もう、してくれないの。・・・?」



「勘弁、してくれよ頼むから。」



「・・・。」



「おれ、無理だよ。」



「大丈夫。」



「もう、頼むからなぎ。」おまえの口癖が思わず。口から出た。



「じゃぁ。キスして、・・・?」おまえが、おれに迫る。



おれは・・・思わず少しだけ、後ずさり、して。



「・・・・いま、したじゃん。・・・・」



「そうじゃなくて。僕が。して欲しいキス。」おまえが。



間近でおれを・・・見上げて、見つめる。




・・・・。めまいが。しそうだ。



おれまじで。



今日死ぬのかも。・・・しれない。




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