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「A」  作者: みんと*
45/64

第45章



すぐそこだから、そう言って。なぎさが本当に停めた車のすぐ傍にある、綺麗なタイルの貼られた白い建物を、指さす。



・・・。ぁぁ、



「・・・そぅだったの。」



「・・・?」



「あそこ、駐車場?」



「・・ぇぇ、そぅですよ?」



もうはじめに車を停めたそこが、建物の。駐車場だった。





全然、わかんなかった・・・海しか。目に入んなくて。



実際、おれは、・・・・



凄ぇ、疲れてて・・・ほんとにもぅ。



立ち上がるのも、まじでしんどくて、ひと苦労なくらい。・・・・・




・・・。っこら、・・しょ、・・・こいつと。



何か。色々しちゃったしな。



・・・ふふ。



震え出しそうな、足をゆっくりと、延ばす。膝に力を入れようと、しても、身体ん中に、もぅ全然力が、入んなくて。



ふらつきそうになる。



「・・・少し休みましょぅ?、」



「・・・。」




ね、そう言って。



なぎが背中に手を添えて。おれを支えるようにして、一緒に、歩きだしてくれる。



なぎがうちだと、言って指さした建物は、本当に、海岸沿いに建つ、道ひとつ渡ってすぐの。



ひときわ背の高い、綺麗な建物で、




・・・。



渚の身体が、柔らかく、密着する。



・・・気持ち良くて。



おれの背中に置いてくれた手も。



たまに首の辺りをくすぐる、その髪も・・・・・



おれもなぎの・・・肩を抱いて。・・・抱いてって言うか、ただ・・・・



支えてもらって、歩いてる・・・だけだけど。



そんでもってまた・・・すぐに。こいつの事。



このまま抱き締めたく・・・なっちゃうけど。




・・・でも今は。できるだけ、体重を掛けないようにって、



おれも結構必死になって、・・・歩いた。




また・・・自然と、息と、心拍が、上がる。



それと同時に。身体の隅々にまで、やっと・・・血が巡る、感じがする。



しびれているように、動かなかった。手を閉じたり、開いたり・・・する。



こいつのウチにも、興味があったけど。



・・・ただ正直、少し・・・休みたい。



そんな・・・気にもなった。










・・・。まだできたばかりみたいな、匂いがする。



人が住んでた気配も。・・・名残も、・・・・・




「何もねぇ。」



「・・・。」



「なんだここ。何もねぇじゃん。」



「・・・ただ。寝て起きるだけの部屋だから。普段はあっちで、寝泊りしてますし。」



真っ白い玄関で、さっとなぎが靴を脱がせてくれる。



「・・・おまえ、どこから来たの?」



白い廊下も、部屋ん中も・・・・ほんとに、何もない。絵ひとつ。



飾ってない。





「・・・。」



「おまえどこ、出身。」



「・・・・。」





「言いたくない。」



「え?・・・なんで?」



「言ったら驚くから。」



よいしょ、



そう言って、なぎが肩から荷物を降ろす。



「・・・。」





「・・・・。?やっぱりおまえ。ハーフなんだろ。」



「・・・・。」



言いたくないって言うもんは。わざわざ聞くような。事じゃないけど。



・・・その、近付いて。おれを見る。



その瞳が・・・何よりの、その、証拠だ。



おれの心をまるでもてあそぶ、ように、ころころと色を変える、その不思議な色した・・・おまえの、



またその瞳がおれに、近づいて。おれはまた、まるで・・・それに吸い込まれる、みたいに。



また自然と唇を、近づける。




・・・っと・・「おまえに近寄ると、ついキスしちゃいそぅに、なるよ。」



なぎに向かって言う。



「・・・ふふ、いいよ。・・・・・」





「・・・。」



「僕、いいって、言ってるよ・・・?」



「おれも。だめって言ってる。」間近で、・・・見つめ合う。





「・・・前に。僕、たけしに会った事あるの、覚えてない。?」急に。



おまえが言う。



「・・・・・。」



・・・。ぇ・・・・?・・・前・・・?





「・・・。全然、覚えてない。」



「でしょうね。」残念そうに。小さく肩を、すくめる。



「なんだよ。おまえに会ってたら、絶対覚えてるもん、おれ。でも覚えてない。」



「覚えてないなら、いいです。ふふ。」



なぜか嬉しそうに、おまえが目を伏せて笑う。





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