第45章
・
すぐそこだから、そう言って。なぎさが本当に停めた車のすぐ傍にある、綺麗なタイルの貼られた白い建物を、指さす。
・・・。ぁぁ、
「・・・そぅだったの。」
「・・・?」
「あそこ、駐車場?」
「・・ぇぇ、そぅですよ?」
もうはじめに車を停めたそこが、建物の。駐車場だった。
・
全然、わかんなかった・・・海しか。目に入んなくて。
実際、おれは、・・・・
凄ぇ、疲れてて・・・ほんとにもぅ。
立ち上がるのも、まじでしんどくて、ひと苦労なくらい。・・・・・
・・・。っこら、・・しょ、・・・こいつと。
何か。色々しちゃったしな。
・・・ふふ。
震え出しそうな、足をゆっくりと、延ばす。膝に力を入れようと、しても、身体ん中に、もぅ全然力が、入んなくて。
ふらつきそうになる。
「・・・少し休みましょぅ?、」
「・・・。」
ね、そう言って。
なぎが背中に手を添えて。おれを支えるようにして、一緒に、歩きだしてくれる。
なぎがうちだと、言って指さした建物は、本当に、海岸沿いに建つ、道ひとつ渡ってすぐの。
ひときわ背の高い、綺麗な建物で、
・・・。
渚の身体が、柔らかく、密着する。
・・・気持ち良くて。
おれの背中に置いてくれた手も。
たまに首の辺りをくすぐる、その髪も・・・・・
おれもなぎの・・・肩を抱いて。・・・抱いてって言うか、ただ・・・・
支えてもらって、歩いてる・・・だけだけど。
そんでもってまた・・・すぐに。こいつの事。
このまま抱き締めたく・・・なっちゃうけど。
・・・でも今は。できるだけ、体重を掛けないようにって、
おれも結構必死になって、・・・歩いた。
また・・・自然と、息と、心拍が、上がる。
それと同時に。身体の隅々にまで、やっと・・・血が巡る、感じがする。
しびれているように、動かなかった。手を閉じたり、開いたり・・・する。
こいつのウチにも、興味があったけど。
・・・ただ正直、少し・・・休みたい。
そんな・・・気にもなった。
・
・
・
・・・。まだできたばかりみたいな、匂いがする。
人が住んでた気配も。・・・名残も、・・・・・
「何もねぇ。」
「・・・。」
「なんだここ。何もねぇじゃん。」
「・・・ただ。寝て起きるだけの部屋だから。普段はあっちで、寝泊りしてますし。」
真っ白い玄関で、さっとなぎが靴を脱がせてくれる。
「・・・おまえ、どこから来たの?」
白い廊下も、部屋ん中も・・・・ほんとに、何もない。絵ひとつ。
飾ってない。
・
「・・・。」
「おまえどこ、出身。」
「・・・・。」
・
「言いたくない。」
「え?・・・なんで?」
「言ったら驚くから。」
よいしょ、
そう言って、なぎが肩から荷物を降ろす。
「・・・。」
・
「・・・・。?やっぱりおまえ。ハーフなんだろ。」
「・・・・。」
言いたくないって言うもんは。わざわざ聞くような。事じゃないけど。
・・・その、近付いて。おれを見る。
その瞳が・・・何よりの、その、証拠だ。
おれの心をまるでもてあそぶ、ように、ころころと色を変える、その不思議な色した・・・おまえの、瞳。
またその瞳がおれに、近づいて。おれはまた、まるで・・・それに吸い込まれる、みたいに。
また自然と唇を、近づける。
・・・っと・・「おまえに近寄ると、ついキスしちゃいそぅに、なるよ。」
なぎに向かって言う。
「・・・ふふ、いいよ。・・・・・」
・
「・・・。」
「僕、いいって、言ってるよ・・・?」
「おれも。だめって言ってる。」間近で、・・・見つめ合う。
・
「・・・前に。僕、たけしに会った事あるの、覚えてない。?」急に。
おまえが言う。
「・・・・・。」
・・・。ぇ・・・・?・・・前・・・?
「・・・。全然、覚えてない。」
「でしょうね。」残念そうに。小さく肩を、すくめる。
「なんだよ。おまえに会ってたら、絶対覚えてるもん、おれ。でも覚えてない。」
「覚えてないなら、いいです。ふふ。」
なぜか嬉しそうに、おまえが目を伏せて笑う。
・




