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「A」  作者: みんと*
34/64

第34章


自分で。・・・・言ったんだけどさ。


自分で、言ってはみたんだけど。あれから、ぱったり。


なぎはおれの前に、姿を見せなくなった。




・・・・。



・・・顔ぐらい、見せたって・・・・




・・・いいじゃんか、・・・たまに見せたって、いいだろ、




いくらおれが。・・・言ったからって、・・・・・・







・・・ちょっとくらい、・・・いいだろ、



・・・。来てくれたって、



ベッドに、座って。唇を、尖らせて。足元で、スリッパをぶらぶら、させる。




「・・・。」




・・・顔だけ・・・でもいいから、見たいな、と思う。



別に話はしなくても・・・いいから。






・・・っこらしょ、・・っと。・・・ぉ、・・・っと・・・・



床に、足を付けて。


体重を掛けた、一瞬。膝の、・・・力が、がくっと抜けて、よろけた。


一度、ベッドに手を、付く。・・・自分が。


思っているよりずっと、身体が言うこと、きかなくなってる。




「・・・ほら、な、あいつが。来てくんないから・・・・」



そんな勝手なこと、言いながら。


・・・。ゆっくりと、膝を延ばし、立ち上がると。・・・ぅ、~~・・ん、・・・・


一度。短く、伸びをして。また・・・スリッパの音をさせながら、


滅多に出向くことはない。その。・・・・


・・・場所を、目指した。











・・・・。


室内を、見渡す。


誰もおれを、・・・見とがめる、人はいない。



今はちょうど、昼飯の、時間帯でそう言う時でも。


皆やる事は・・・いくらでも、あるんだろぅ。



ぁ。




おれは、・・・余計な、咳払いをしながら、近づいて。




「ぁのさ、・・・なぎさは。・・・?」仕方なく。翼に聞く。


「あれ、知らない?」翼がまるで知ってたかのように、くるりと、振り向いて。


「え?」


「可哀想になぎ。すっかり自信失っちゃって。」


「・・・。」


「あそこに。入り浸ってるよ。」




・・・。あそこ・・・・?




翼が、真っ直ぐ窓の方を指で差す。


その方向に、おれも、目線を向けた。





屋根の上に。


・・・。


ちょうど特徴的なその、シンボルマークが、見える。





・・・あぁ、・・・・・





「もう。自分にできることは。これくらいしかないからって。言ってね。」


「・・・・。」


「あそこは、なぎのホームだから。」





・・・。ホーム・・・・





・・・。翼の言うその場所が、この建物ん中に、ある事だけは、知っていた。


・・・存在だけは、前から、知っていた。


立ち寄った、事はないし、これからも。


立ち寄る事はないと、思っていた。おれには・・・・


全く、無縁のところだと。思っていたから。




・・・なるほどね。おれは納得して。


どうしてあいつがあんな事言ったのか。全て・・・わかった、気がした。




「・・・あ。あいつ元気?・・・。」


「・・・毅?」


「そう。」毅。・・・・


そう、あいつも。


全然あれから。おれんとこに、顔見せなくなっちゃって。


なんだか色んなことが中途半端だった気がして。


それだけが。少しだけ、気がかりだった。




「武士くんさ。毅に。死ぬならこっそりやれって、言ったでしょ。」


「・・・・。」


「だからさ。・・・・」


「なんだよ。」




「死んだよ、毅。」


「・・・・・。」


「死んだ。」


「うそ。」




「嘘。」


「・・・・・。」





「最低な。嘘ついてんじゃねぇよ。」翼を、睨みつけて言う。


「最低なのはどっち?」


「・・・。」


「毅はあなたに死んでもいいって言われて。それこそ、死ぬほど。落ち込んでますよ。」


「・・・・。」




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