第25章
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「あいつ。・・・そんな素振りちっとも。見せなかったのにな。」
「そう。」
「・・・。」
「たけしと出会って、急に。・・・だいぶ変わった。」・・・。たけしって。
おれの事、またそう呼んだ。
おまえを、見つめる。
少しだけ、微笑んだ。おまえはまるでマリア様。・・・みたいだ。
「相乗効果って言うのは。・・・そういう、意味。お互いがお互いの。心に寄り添える、事によって。生きていく、希望を少しでも。見出して、くれたらいいと。思ってる。」
「は、」おれは笑う。
「生きてく希望って。おまえそんな簡単に、言うけどさ。そんな。綺麗ごとじゃねぇよ。生きてくって事はさ。マリア様みたいな。おまえにはわかんないだろうけどさ。」
「・・・。」
「おれは、わかるよあいつの気持ち。それこそ、痛いくらい、よくわかる。」
「・・・。」
「死にたくねぇんだよ、ほんとは。でも。揺れるんだよ。死にたい、死にたくない。おまえが言う事もわかる。死に憧れる、無条件に、確かにそういう瞬間が、ある。でも生きていたくない。死んだほうがましだって。そう逃げたくなる。そういう瞬間だって、ある。・・・がくっと。そう思う瞬間に。目の前に線路があったらさ。目の前に。誘うように、ロープがあったらさ。」
「・・・。」
「そっちに。手を伸ばしてみたく、なっちまうんだよ。一瞬の、事だよ死ぬのなんて。運みたいなもんだ。おれは、知ってる。」
「じゃぁどうしてあなたは、死ななかったの?」
「・・・・。」
「そんな瞬間今まで。いくらでもあったでしょう。・・・?」
「ふふ。」おれは、笑った。
「おまえって。ほんとに不思議な、やつな。おれのこと。すげぇ、わかってる、みたい。・・・」
「だから、言ったでしょ。・・・?」なぎが凄く。可愛らしい顔して、
「あなたの事なら、だいたい、わかるよ。」
おれに向かって、そう笑いかけた。
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