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「A」  作者: みんと*
25/64

第25章


「あいつ。・・・そんな素振りちっとも。見せなかったのにな。」


「そう。」


「・・・。」


「たけしと出会って、急に。・・・だいぶ変わった。」・・・。たけしって。


おれの事、またそう呼んだ。


おまえを、見つめる。


少しだけ、微笑んだ。おまえはまるでマリア様。・・・みたいだ。



「相乗効果って言うのは。・・・そういう、意味。お互いがお互いの。心に寄り添える、事によって。生きていく、希望を少しでも。見出して、くれたらいいと。思ってる。」


「は、」おれは笑う。


「生きてく希望って。おまえそんな簡単に、言うけどさ。そんな。綺麗ごとじゃねぇよ。生きてくって事はさ。マリア様みたいな。おまえにはわかんないだろうけどさ。」


「・・・。」


「おれは、わかるよあいつの気持ち。それこそ、痛いくらい、よくわかる。」


「・・・。」


「死にたくねぇんだよ、ほんとは。でも。揺れるんだよ。死にたい、死にたくない。おまえが言う事もわかる。死に憧れる、無条件に、確かにそういう瞬間が、ある。でも生きていたくない。死んだほうがましだって。そう逃げたくなる。そういう瞬間だって、ある。・・・がくっと。そう思う瞬間に。目の前に線路があったらさ。目の前に。誘うように、ロープがあったらさ。」


「・・・。」


「そっちに。手を伸ばしてみたく、なっちまうんだよ。一瞬の、事だよ死ぬのなんて。運みたいなもんだ。おれは、知ってる。」


「じゃぁどうしてあなたは、死ななかったの?」


「・・・・。」


「そんな瞬間今まで。いくらでもあったでしょう。・・・?」


「ふふ。」おれは、笑った。


「おまえって。ほんとに不思議な、やつな。おれのこと。すげぇ、わかってる、みたい。・・・」


「だから、言ったでしょ。・・・?」なぎが凄く。可愛らしい顔して、


「あなたの事なら、だいたい、わかるよ。」


おれに向かって、そう笑いかけた。




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