第21章
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かさ、・・・かさとゆっくりと、枯葉を踏む。
・・・そう。ひとつくらい。・・・まだ、できるなら。
何か、ひとつくらい。おれにも、できるなら。
人の役に立てるなら。・・・そしたら、もしかしたら。
中庭のベンチになぎが、座っていた。
「・・・。」
その後ろ姿が何だか、随分儚げに、見えて。
消え入りそうに、心細そうに・・・
・・・見えて。・・・すぐにでも。近寄って、傍に行ってその細い肩を抱き寄せて、やりたい衝動に、駆られた。
急いでできるだけ、足早に、近づく。
ふふ。そしたら。さ・・・ほんとに。いい事あんのかな。
・・・・な、・・・・父ちゃん。
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「・・ごめん。」
「・・・・。」
隣に、腰を下ろすとすぐ、そう素直に、なぎに謝った。
「ちゃんと。話も聞かないで。ごめん。」
「・・・いえ。僕も。言い方を、少し間違えました。」
「・・・。」
まだ、困惑したように。眉根を寄せて、おれを見る。少しだけ、まだ。こいつと。距離を感じる。
・・・なんてな。今まで勝手に、おれがそう思ってた、だけなのかも。
そう、思ってまた。少しだけ虚しくなった。
「すごく、稀なケースなんです。」
「・・・。」
「こんな、事はあまり、ないんです。」
「そうだろうな。」
「・・・。」なぎが、おれをじっと見つめる。
「おれとあいつ。・・・だろ、毅。あまりに、似過ぎてる。」
「・・・。はぃ。」
「・・・。」
・・・もぅ。いいや、と思った。何でも。実験台にでもモルモットにでも。
何にでも、なってやる。
・・・こいつがそう。望むなら。
なぎを見つめて。
「おまえさ、正直にそれ、おれに言おうと思ったんだろ。」
「・・・。」
「その方が、いいと思ったんだろ。」少しだけ、冷静に考えれば。すぐにわかる。
「だから、あんな言い方、したんだろ。」
「たけし。」
おまえがそう。おれを甘く呼ぶ。声を聞いて。
我慢できずに。今すぐ、手を伸ばして抱き締めて。いいよって。何でもしてやるよって。言って、・・・・やりたい衝動に、また駆られた。
会うたび、おまえと話をするたび、どうしてか、たまらない、気持ちになる。
怖いくらい。どうしようも、ないくらい惹かれてく。どきどきする。鼓動が止まら、ない。・・・・
名前を呼ばれて。一気に距離が、縮まった。おれは嬉しくて。
「なに?」
「・・・。」
「まだ。言いたいことあるなら言ってみなよ。」そう、できる限り優しい声で、先を促した。
「たけし、」
「ん・・・?」
「海、見に行きませんか。・・・?」
「・・・は?」おれはまた。
間抜けな声を、あげた。
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