第2章
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「なぁ、」
「・・・。」
「そもそもさ、どうして病気ってなるの?」
「・・・・。」
先週の木曜となにひとつ、変わりのない。
朝飯を仕方なく。腹の中に入れて。
屋上に出て。一服するのが唯一の、朝飯後の楽しみだった。
・・・はずだった。
・・・それなのに。・・・
またこの前みたいな、やりとりの、あとで。煙草を取り上げられて。
手持ち無沙汰になったおれは。
当たり前のように、隣に腰を降ろしたこの男の看護士に、
何の意味もなく。
そう、問いかけて、みた。別に、答えが欲しい訳じゃない。
世間話をしたい、訳でもない。
そう、それはそう、ただの。・・・・言ってみればただの。
ほんの時間つぶし。暇つぶし。
「どうして・・・か、そうですね。そう言われてみれば。・・・どうして、でしょうね。」
「わかんないのかよ。」おれは隣の。彼を見て笑った。
顔に沿って、くりくりに丸まってカーブした、柔らかそうな栗色の髪。
肌はまっ白くて。透けそうで。
そして何より印象的な、何とも言えない淡い色した、薄い黄褐色した、その、瞳。・・・・
「そうですね、授業では、」
初めてまともに。顔を見た、気がした。
・・・その、眼。・・・
・・・何だよその眼・・・・・
・・・。吸い込まれ、・・そう。・・・・
「ケアの仕方や、実務的な事は教えてくれたけど、」
まつげが。・・・・それじゃ長過ぎるだろぅ。
「そうか。どうして病気に罹るか、か・・・」その長過ぎる、まつげを伏せて、
「・・・。」
「外的要因と内的要因がある・・・みたいな・・・。そう言う話じゃ。ないでしょう?」
急にそう言って、おれを正面から見たから。
視線と視線同士がぶつかって、おれは目を丸くして。
心底、驚いた。
・・・・思わずじっと。見惚れてた事に。いま気づく。
「・・・あんた、看護士?」動揺を隠さずに、少しだけ顔を離して聞く。
「・・・・。?」彼が顔を傾けて。
「ここの、看護士かって聞いてるの。」
今更?って呆れた視線をおれに、投げかけて。
「・・・それ、以外に。なにに、見える?」
その神秘的な。瞳を輝かせて。
おれに向かってそう問いかける。
「・・そう言う女子、いるよな。」
「ぇ?」
「あたし何歳に見える?」
「・・・ふふ。」
「あたし何やってるみたいに見える?」
「めんどくさい?」
「え?」
「そう言うの。凄く面倒くさがりそう。」
彼が急に目を細めて、楽しそうに、笑いながら言う。
「そうじゃねぇけど。」
「・・・。?」またおれの顔を、覗き込む。
「・・・。」
なんだよ。
角度によって色が変わる。不思議な色した見た事もないようなその、瞳。・・・・
胸が、副作用にヤられた、時みたいに急に。どきどきして来る。
「・・・なんでかなって、思う。」おれは目を伏せて。
「・・・。?」
「自分が、何歳に見えて。自分が何してるように見えるかなんて。他人には。心底どうだって。・・・いい事じゃん。」
「ほらやっぱり。」
「え?」
「面倒くさいんじゃない。」
彼がまた。
ふと柔らかい笑顔を向けて。微笑んだ。
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