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Episode5『取り敢えず、ちょっとした日常です』

ちょっとした日常ってやつだなBy雪奈      此れもまた、大事な事かもしれませんねBy真雪

Side:雪奈



今日も今日とていい天気だ――こんな日はサボらずに授業受けてやろうって気が満々になっちまうまマッタク。――まぁ、今日は体育がある日だから、そもそもサボるなんて選択肢はねぇんだけどよ。


ま、今日は気持ちよく登校――する前に最近の日課を果たさねぇとな。


「ウィーッス!起きてっかメユ!!」


「おはよう、雪女のお姉ちゃん!!」




最近のアタシの日課、其れは登校前にスクーターでメユを迎えに行って、其のまま2ケツで学校まで送って行く事だ――アタシとしては『偶には良いか』程度の心算だったんだが、メユが思った以上に喜んだ事と、メユの親御さんに頼まれた事で日課になっちまったぜ。まぁ、悪くないがな。


「そんじゃあ行くぜメユ?ヘルメットはぶったか?」


「バッチリだよ雪女のお姉ちゃん。其れじゃあ、行ってきま~す!!」


「「「「「「「行ってらっしゃいませお嬢!雪女の姐さん、お嬢をよろしくお願いしやす!」」」」」」」




悪くはねぇが、日本全国何処を探しても、ヤクザの娘をスクーターで学校まで送って行って、しかもそのヤクザの連中から『姐さん』呼ばわりされてる女子高生なんざアタシ位なもんだろうな……否、まず間違いなくアタシ以外には存在してねぇ筈だ。


まぁ、ある意味ではこれもまたヤンキーとしての一つのステータスになんのかもしれねぇな。










ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode5

『取り敢えず、ちょっとした日常です』











さてと、朝っぱらからマッポとカーチェイスって気分でもねぇから、キッチリ法定速度を守って走ってメユの学校に到着ーー!

本当なら2ケツも充分道交法違反なんだが、2ケツ程度は反則切符も安いから、余程杓子定規で真面目なマッポじゃねぇ限りは見て見ぬふりってやつなのかも知れねぇけどな。


「ほいよ、到着したぜメユ。」


「うん、いつもありがとう、雪女のお姉ちゃん。」


「ま、此れ位はお安い御用ってな。」


「マユお姉ちゃんも一緒に登校できると良いのにね?」


「……アタシも最初はそっちの方がお前も喜ぶと思ったんだけどよ、流石に3ケツは見逃しちゃくれねぇだろ?

 しかも同乗者の1人が、有名なヤクザ組織のお嬢さんだったなんて知れた日には、マユは兎も角アタシは速攻で連行されて事情聴取確定だ。」


「そんな時にはパパの名前を出せば大丈夫だと思うよ?」




……な、何が大丈夫なのかは敢えて聞かねぇ事にしとくぜメユ。

まぁなんだ、学校が終わって特に用事が無きゃアタシの学校の近くまで来いよ――小学校の方が先に終わるだろうし、此処からアタシの学校に着く頃にはこっちも授業終わってるだろうからさ。

マユも入れて3人で帰ろうぜ?


「そんで、もし可能だったらそのまま家でお泊り会すっか?

 明日は土曜で休みだから、多少夜更かししても大丈夫だろうし……自慢じゃねぇがアタシは結構対戦型のゲーム持ってるから退屈だけはしないと思うぜメユさんや?」


「え、お泊り行ってもいいの!?」


「おうよ、何時かお泊り会しようぜって言ったっきり、まだ1度もやってねぇからな。」


「うん、じゃあ後でパパとママに聞いてみる!」




そうしてくれ。

……流石に、メユの護衛として黒服何人か派遣されるとか、そう言うのは勘弁して貰いてぇけどな。……メユのお袋さんは兎も角、オヤッさんはやりかねねぇからよ。


ま、そんだけメユが大事って事なんだろうけどよ。

そんじゃなメユ、また後で。何時までも、銀髪青目の日本人離れしたヤンキーが小学校の正門前に居るってのは、あんまし良い事でもねぇからな。




「ん~~……でも、雪女のお姉ちゃんウチの学校では結構低学年を中心に人気みたいだよ?

 何度か一緒に登校してる内に、『あの人は誰』って話になって、雪女のお姉ちゃんの事を話したら、何だか皆が『凄い人だ』って思ったみたいで、其れが伝言ゲームのように学校中に伝わってね?」


「それ、絶対どっかで誇張された情報が混じってるよな。」


まさか小学生のガキに人気が出るとは思わなかった……ヤンキーがガキンチョにモテるなんてのは、アニメや漫画の世界だけかと思ってたが、どうやらそうでもねぇみたいだぜ。









――――――









さて、メユを送り届けた後は少しアクセル吹かして自分の学校にだ。


「オラー!なにボテボテ歩いてやがんだマユ!遅刻すんぞ!!」


「おや、雪女さん?

 おはようございます、今日も朝から元気ですね。」




朝っぱらから辛気臭い顔して一日を過ごす事が出来るかってんだ。

んな事は良いから、さっさと後ろに乗れ。寝坊して遅刻したとか、カッコわりぃにも程があんぞ?……少なくとも、無遅刻はお前の数少ない取り柄でもあるんだからよ。




「そう言えば無遅刻でしたね?……ですが、なぜ寝坊したと分かったのでしょう?若しかしてエスパーですか?」


「アホたれ、その手に持った朝飯のパンで丸分かりだっつーの。

 どうせ、ギリギリまで寝腐ってて朝飯食べてる時間も無くて出て来たくせに、パン屋でドレにするか無駄に悩んでたんだろ?」


「素晴らしいですね、文句のつけようがないくらいに100点満点の答えです。」




分からいでか。

そんで、今日は行った何のパン買ったんだ?……若しかしなくても、新作だよな其れ?




「はい、抹茶クリームスパゲッティパン以来の新作なのですが、今回は前回以上に攻めて来たようです。

 今回の新作は、オニオングラタンタラコマヨネーズクリームコロッケデミハンバーグバーガーですね……この無駄に長い名前に、未知の魅力を感じた次第です。」


「微塵も感じねぇよ。」


色々盛り過ぎな上に、劇物はマジってねぇが個性の強い物を混ぜ合わせたせいでかな~りカオスな味になってるのは間違いねぇ……前々から思ってるが、あの店は一体どの方向を目指してるんだか謎だぜ。

まぁ、こう言う変なモノじゃないのは普通に美味いから、そっちのファンは居るんだろうけどな。




「此れにもコアなファンが付く予感がしますよ?」


「そんなモンを好き好んで買うのは、お前と同レベルの変人だけだから、その辺を頭に入れとけよ?

 時にマユ、今日ってこの間の英語の小テスト返ってくる日だけど、出来の方は如何だったんだ?……山ちゃんにしては、厳しめの問題だったと思うんだが……」


「さぁ、其れは返ってくるまで分かりませんね?

 自分としては、解答欄は全て埋める事が出来たので0点と言う事だけは無いと信じているのですが……まぁ、何とかなるでしょう。」


「お前の、その根拠のない自信が何処から来るのか不思議でならねぇよアタシは。」


取り敢えず、閉門まであと3分だから飛ばすぜマユ?振り落とされねぇように捕まってろよ!!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・




つー事で、閉門1分前にギリギリスクーターで滑り込んで、靴履き替えたらマユを担いで教室まで全力疾走して、山ちゃんが教室に入る前に足だけ教室の中に突っ込んでギリギリセーフ。

そのままホームルームを終えて、1時限目は担任でもある山ちゃんの英語の時間で、この間の小テストが帰って来た訳なんだが……マユ、此れは流石に不味いだろ?




「全部埋めたのに、まさか半分も取れないとは……やりますね山寺先生。」


「全部埋めて30点ってのは初めて見たわ。

 まぁ、バツが付いてる所は、解答欄を埋めただけで明らかに間違ってるから仕方ねぇんだが……珍解答ベスト50に選ばれる程の解答には吃驚するしかねぇっての。」


一体全体どこを如何やったらそんな答えが出てくるのか聞いてみてぇモンだぜマッタク。

こんな事を言ったら何だがな、お前よりも今日日の小学生の方が遥かに英語力あんぞ!マユだって、小学3年なのにもう英語の授業が始まってるって言ってたし……下手したら小学生より下だぞお前?




「其れは、流石にプライドが傷つきますねぇ?……勉強を教えて貰っても宜しいですか雪女さん?」


「言われなくてもその心算だ……この際だから、英語だけじゃなく他の科目も見てやる!

 この分じゃ他の科目も可成り怪しいだろうし、此のままだと期末考査は炎上しかねねぇからな……赤点3個以上の生徒が居るクラスは、夏休みの半分が補習になっちまうから委員長と一緒にみっちり仕込んでやるから覚悟しろや。」


「このクラスから赤点が出たなど、恥じ以外の何物でもありませんので覚悟して頂きますわよ真雪さん?」


「……普段は反目し合っているのに、変な所で気が合いますね雪女さんと委員長さんは?」




利害一致って奴だな此れは。

アタシも委員長も夏休みが補習になるなんてのは御免だからな!……そんな訳だから、今日の昼休みはみっちりやるからその心算で居ろよ?

序に、今日のお泊り会でも、メユが寝たらガッツリ行くからな!!




「お手柔らかにお願いします。」


「其れは、お前の頑張り次第だぜ。」


まぁ、お前はやれば出来るんだから精々頑張れ――取り敢えず、お前のせいでクラス全体が夏休みの半分を失うなんて事になった日には、幾らなんでも笑えねぇからな。




「はぁ、善処します。」


「善処じゃなくて、死ぬほど頑張れよこのスットコドッコイ!!」


ったくコイツはホントにマッタクよぉ!

はぁ……マッタク持ってポンコツ娘と付き合うのも楽じゃないぜ……ってな事を言いながら、何だかんだで一緒居るアタシは、マユと一緒じゃないと面白くねぇって思ってるのかも知れないけどな。









――――――









Side:愛雪



今日の授業も終わって、雪女のお姉ちゃんとマユお姉ちゃんの学校までやって来たんだけど……流石に高校の校舎は小学校よりも遥かに大きいみたい……思わず圧倒されちゃったよ。




「お、もう来てたのかメユ?」


「お早いおつきですねメユさん。」


「あはは、今来た所だよ雪女のお姉ちゃん、マユお姉ちゃん。」


まぁ、お泊り会が楽しみで、少し気持ちが急いてたのは否定しないけどね。――パパとママにも許可を取ったから、お泊り会はOKだから。




「そうか……なら、お泊り会に必要なモンを買ってくぜ?

 夜更かし用の食べ物と飲み物は必須だからな――準備万端整えてこそ、楽しいお泊り会が出来るってモンだからな♪」


「そうなんだ……」


其れじゃあ、今夜のお泊り会、楽しみにしてるよ♪










 To Be Continued… 





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