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Episode20『応援しましょう~ヤンキーと運動会~』

何だかんだで20話だってよBy雪奈      思ったよりも続いてますねぇ?By真雪

Side:雪奈



今日はメユの学校の運動会だ。

アタシとしては怠惰に過ごしたい日曜日なんだが、テメェの体育祭を応援に来て貰った以上、メユの運動会の応援に行かないって選択肢はハナッから有り得ねぇ。

義理を欠くってのはアタシの主義に反するからな。


んで、今は何をしてるかってーと弁当作りだ。

アタシ達の体育祭の時にはメユが重箱の弁当作って来てくれたから、今度はアタシが腕を揮う番ってな!

おにぎりは色々と具材を用意して作ったから大丈夫だし、おかずにも卵焼きに唐揚げ、ハンバーグにポテトサラダ、イタリア風トマトシチューを詰めた揚げパンに、デザートにリンゴのムース、取り敢えず子供が喜びそうな物を片っ端から詰め込んでやったぜ。




「しかもおにぎりは、海苔で未来から来た青い猫型ロボットの顔を再現してるんだから、見事なモノよユキちゃん。」


「ありがとよお袋……って、何時の間に?」


「うふふ、ついさっきよ?」




ついさっきって、マッタク気配を感じなかったぜ!?

気配を消して背後に立つなよお袋……今回は大丈夫だったが、不良の本能として声を掛けられたと同時に反射的に攻撃しちまうかも知れねぇからな?




「攻撃されたらどうなっちゃうのかしら?」


「天国のじっちゃんとばっちゃんに会えるかもな。アタシのパンチは冗談抜きで1cm位の鉄板なら貫通するから。」


「あら、凄い♪」




感心する事でもねぇと思うけどな。――さてと、そんじゃあそろそろ行ってくるわ。

マユと委員長も来るって言ってたけど、取り敢えずマユには注意をしとかねぇと……何処でポンコツ発揮すっか分かったモンじゃねぇからよ。












ヤンキー少女とポンコツ少女とロリッ娘とEpisode20

『応援しましょう~ヤンキーと運動会~』











スクーターでマユを回収して、到着したぜメユの学校。委員長も既に来てるみたいだな……それから、源一郎さんと汐さん、その他磯野崎組の強面の方々も。

ヤクザの親分と組員が応援に来る小学校の運動会――多分日本全国探しても、此処以外には存在しねぇだろうな。


丁度開会式が終わって、此れから競技が始まるって所だな?2年生の席は……あそこか。


「おーい、応援に来たぜメユ!それと、メユと同じクラスのガキンチョ共!」


「あ、雪女のお姉ちゃんとまゆお姉ちゃん!応援に来てくれたんだ!!」


「はい。この間応援に来ていただいたお返しと言った所です。」




マユの言う通り、この間のお返しだ。

アタシ等が応援して貰ったって言うのに、アタシ等がお前の事を応援しないなんてのは不義理も過ぎるからな?――つーか、アタシ的に不良とかヤクザとか、アウトロー側の人間ほど義理ってのは大事にしなきゃならねぇって思ってるからよ。

そんな訳で、今日は思い切り応援させて貰うから、お前も運動会を楽しめよメユ。




「うん!

 ところで雪女のお姉ちゃん、その手下げ袋は何?」


「あぁ、此れか?此れはなぁ、アタシの特製弁当だ!

 この間はお前の弁当御馳走になったから、此れもお返しってな。お前の好物の唐揚げもたっぷりあるから期待してな。」


「雪女のお姉ちゃんのお弁当!うん、楽しみにしてるね!!」




その期待には応えられると思うぜ。

さてと……メユが所属するのは紅組か――良いねぇ、燃える紅は勝利の色だ!

ガキンチョ共、結果はどうなるにしても、力の出し惜しみだけはするんじゃねぇぞ?全力を出した末に負けたってんなら、全力を出し切った充実感があるが、出し惜しみして負けたとなったら後悔だけが残るからな!!




「「「「「「おっす、雪女さん!!!」」」」」」


「おーし、良い返事だ!!」


メユのダチ公のキヌ、ミサ、イッカ、いおりん以外も反応してくれるとは思わなかったけどよ――てか、担任の先公、テメェの受け持ちのクラスに不良が来てるのを少しは何とかしようとしろよ?

加えタバコのヤンキーがガキンチョ共の近くにってのはヤベェだろ普通は!




「貴方の事は磯野崎さんから聞いていますから、危険は無いと判断しました……と言うか、授業参観の度にヤクザが学校に来るので、不良が一人増えた所でねぇ?」


「……其れを言われると何も言えねぇ。」


確かにヤクザと比べりゃ、不良が一匹程度は如何ってことねぇか……まぁ、アタシは其のヤクザよりもずっと強いんだけどな。

でも、追い出されねぇってんなら運動会をじっくり観戦させて貰うぜ。




――【1・2年生合同種目:玉入れ】



低学年競技の定番である玉入れだが、メユの奴が思いのほか活躍してるなぁ?

投げた球が全部籠に入ってる訳じゃないけど、3個に2個は入ってるから、可成りの投入率だぜ――まぁ、白組の方も中々に頑張ってるから結果は開けるまで分からねぇか。

だが……


「メユ!もう少し肩の力を抜け!

 腕の力で投げるんじゃねぇ、膝と肩のバネを利用して投げるんだ!!」


「うん、分かった!!」




紅組が負けるってのは癪なんで、少しばかりアドバイスを送らせて貰ったぜ。

このアドバイスの甲斐あって、メユは8回中7回入るくらいに精度が向上し、その結果紅組の籠の中身は爆発的に増えて、終わってみれば白組に10個以上の大差をつけての大勝利。

ったく、大したモンだぜ。




――【2年生:借り物競争】




此れもまた定番っちゃ定番だが、低学年でってのは珍しいかもな?アタシが小学生の時は4年の種目だったし。

今は如何か知らねぇけど、昔は結構無茶苦茶な借り物が有ったんだよなぁ……『ランドセル』や『通学帽』は真面な方で、『人体模型』とか『かつら』とか無茶苦茶過ぎんだろ流石に。

まぁ、アタシが引き当てた『電柱』以上のモンは中々ねぇだろうけどな。




「持って来たんですか?」


「おうよ。丁度学校の近くで老朽化した電柱の入れ替え工事してたから、其処から借りて来た。」


「雪女さん、小学生の頃からパワフルだったのですね……」


「だな。改めてトンでもねぇ事したもんだぜ。」


っと、始まったみたいだな?

紅組の第一走者はキヌか……スタートダッシュでやや遅れたけど、この競技は足の速さだけじゃ決まらねぇ!如何に素早く借り物をゲットできるかがカギになって来るから、借り物の難易度こそが勝敗を分けると言っても過言じゃねぇんだ。

さて、キヌの借り物は何だ?こっちに来てるが……




「雪女さん、一緒に来てください!!」


「は?アタシか?」


「はい!此の借り物なら雪女さん以外には居ませんので!!」




どんな借り物だよ!?

だが、アタシが必要だってんなら力になってやんぜ?だから、確り捕まってろよキヌ!!




「へ?」


「どっせい!!」


キヌを小脇に抱えてそのまま猛ダッシュだ!

借り物が人だった場合、そいつが走者を抱えて走っちゃいけねぇってルールは無いから、合法なんだな此れが。――つーか、不良にルールとか無用ですので。

テメェで定めたルールにゃ従うが、基本なんでもアリってのが不良なんでな?こと喧嘩に於いては、『最終的に勝てばいいのだろう』だしな。

つー訳で、余裕の1着!




「微妙に釈然としないんですけど、まぁ放送係もノリノリで実況してたのでOKでしょう。先生達も何も言ってませんし。

 取り敢えず、借り物の確認をさせて下さい。」


「そうだな。1着でゴールしても、借り物がNGだったら1着は取り消しだからな。」


で、開かれたキヌの借り物は……『銀』。

いや、アバウント過ぎんだろ此れ!?確かにアタシは銀髪だから条件は満たしてるかも知れねぇけど、『銀』てのは範囲が広すぎるって!!

此れじゃあ、百円玉でもアルミ箔でもOKじゃねぇか!!




「条件は満たしてる上に、色々と面白かったので紅組に1着得点プラスボーナスで10点追加。」


「其れで良いのかオイ!」


何つーかフリーダムな運動会だぜ。

んで、第3走者であるメユが引いた借り物は、答えから言っちまうと『ポンコツ』だった――だから、マユが借り物になった訳だが、コイツをそのまま出撃させたら、絶対にとんでもない事になると思ったからアタシと委員長も一緒に出撃したのは悪くねぇ。

ゴールで怪訝な顔されちまったが、『アタシと委員長が付いて来ないと、最悪学校がなくなる』って言ったら借り物のお代と合わせて納得されちまったぜ。

ってか、お前完全にポンコツ認識されてんなマユ?




「はぁ、その様ですね?

 ですが、その様に認識される人はかなり少ないと思うので、此れは矢張り希少種として誇りを持つべきでしょうか?」


「持たなくて良い。寧ろそんな誇りなんぞ、犬に食わせちまえ!!」


「食べますかね?」


「……食あたり起こすかもな。」


「えっへん。」


「褒めてねぇよ!!」


ったく、相変わらずだぜマユは……ま、退屈しなくて良いけどよ。




――【全校女子:チアダンス】



小学校の運動会だとダンスとかもあるんだけど、全女子生徒のチアダンスってのは珍しいかもな。

学年順に前からの列になってのダンスだが、その中心の朝礼台でダンスを披露してる生徒は特別ダンスの巧い生徒なんだろうけど、其処にメユが居るとは思わなかったぜ!

一緒に踊ってるのは恐らくは6年の生徒なんだろうけど、マッタクもって動きで劣ってねぇってのは驚きだぜ。

ダンスがキレッキレだし、何よりも高学年の2人にはねぇ、低学年ならではのあどけなさが可愛い事この上ねぇっての。


「マユ、委員長……アタシは悟りを開いたぜ。『可愛いは正義』コイツは真理だ。」


「奇遇ですね雪女さん、私もその境地に至りました。」


「可愛いは正義……つまり不細工は悪と言う事ですね?」




いや、そうは言ってねぇから誤解すんなよマユ。





んで、午前中の競技が終わった時点で、得点は紅組が150点で、白組が160点か……負けちゃいるが、午後の種目の結果によっちゃマダマダ逆転は可能だから諦めんじゃねぇてな。

取り敢えず、雪女さんお手製の弁当で腹ごしらえしなガキンチョ共!!




「はわ!雪女のお姉ちゃん、この唐揚げとっても美味しい!!其れにとても柔らかい!どうやって作ったの?」


「へっへ~、コイツはな、紹興酒とオイスターソースと醤油、おろしニンニクとおろし生姜と微塵切りのネギを合わせた特製タレに一晩漬けこんで、180度に熱したごま油で二度揚げしたんだ。

 外はカラッと、そして中はジューシーに!此れが雪女さん特製の唐揚げよ!弁当箱に詰めた後で振りかけた花椒も良い感じだろ?」


「うん、スパイシーでスッゴクおいしい!!」




そいつは良かったぜ。

如何やらアタシの弁当は大好評だったみたいだ――ハチミツで甘みを出した出汁巻き卵は色がきれいに仕上がった事も有って大好評だったし、タラコをアクセントに加えたポテトサラダも良い感じだったからな。

でも、一番だったのはおにぎりだったな。

アタシ的にはガキンチョなら喜ぶだろうと思って、ウィンナーとかナゲットを具にしてみたんだが、如何やらそれが大当たりだったみたいだ。

それと、タラコを丸ごと一本握ったおにぎりも良かったみたいだぜ――結果として残さずにご馳走様だからな。


そんじゃ、午後の競技も頑張れよガキンチョ共!!




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んで、午後の競技なんだが、午後は中学年以上の競技がメインになっちまうから低学年は応援要員になっちまうんだよな。

そんな状況で、やって来た低学年最後の見せ場!!




――【1・2年合同綱引き】




此処で綱引きだ!

んで、どんな特殊ルールかは知らねぇが、この競技には観客から3人まで助っ人を呼べるらしい――その助っ人として、白組は滅茶苦茶ガタイの良いオッサンを連れて来やがたったな?……土方かプロレスラーだなありゃ。

そうなると紅組の助っ人が重要なんだが……




「パパ、銀次郎さん、雪女のお姉ちゃん、助っ人をお願いします!」


「ハハ、任せてくれメユ……パパは誰にも負けないからね!」


「お嬢……この銀次郎、その期待には応えさせていただきやす!!」




メユが選んだのはアタシと源一郎さんと銀ちゃんか……アタシ的には妥当なメンバーだと思うが、如何やら白組の連中は勝利を確信してるみてぇだな?

まぁ、テメェ等が選んだのが何処からどう見ても強そうな連中なのに対して、紅組の助っ人は人の好さそうなオッサンと、見た目はおっかねぇが、ガタイ的にはソコソコなスカーフェイススキンヘッドと、銀髪ヤンキー少女だから勝てると思うのも当然だけど……アタシ等を舐めんなよ?



「其れでは、用意……スタート!!!」



――ギン!!



競技開始と同時に、思い切り引く!力の限り引く!!

クソ……向こうの助っ人は流石だな……伊達にガタイが良い訳じゃねぇか――だけどな、アタシは誰よりも負けるのが嫌いなんだよ!!不良JKの力を舐めるんじゃねぇ!!

どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!




――ブオン!!




普通に引くだけじゃ埒が明かねぇって思って、一本背負いの要領で引っ張ったら、一気に白組の連中を引き摺り倒しちまったぜ……で、其処から一気に紅組が引き抜いて勝利。

まさか、こんな結果になるとは思わなかったぜ。




「雪女の姐さん、改めて其の力に感服いたしやす。」


「銀ちゃん……褒め言葉と受け取っておくぜ。」


まさか、こんな事になるとはアタシも思ってなかったから、少しばかり驚きだっての。

だけど、続く2回戦も勝利した事で、紅組にはストレート勝利ボーナスが入って、白組を逆転した――後は残る競技で紅組が逃げ切れるか如何かって所だな。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


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・・・




結果を言うなら、勝ったのは白組だった。

最終競技であるリレーの結果が出るまで分からないデッドヒートだったが、そのリレーを白組が制した事で、紅組は僅差の逆転負けを喫した訳か……でもまぁ、全力は出したんだから悔いはないだろうけどな。


そして、最終競技のリレーの後に待ってるのは、最終種目であるフォークダンスだ。

如何やら、保護者や来賓なんかも参加できるみたいだが……如何したんだよメユ?源一郎さんや汐さんの所に行かなくて良いのか?




「良いの……だって、私は雪女のお姉ちゃんを誘いに来たんだから。」


「アタシを?」


「うん。Kannst du tanzen, die ältere Schwester von Snow Woman?(踊って頂けますか、雪女のお姉ちゃん?)」


「Wenn es gewünscht wird, bin ich froh.(それが望みなら、喜んで。)」


まさか、ドイツ語で来るとは思わなかったが、お前が其れを望むなら応えるだけだ。――アタシとお前のダンスパーティを楽しもうぜ。

小学生の運動会の応援に行って、最後のフォークダンスを踊る事になるとは思っても居なかったが、コイツもメユと知り合ってなかったらなかった事だって考えればいい体験が出来たかもだぜ。


まぁ、其れは其れとして、フォークダンスに参加しようとしたマユを全力で取り押さえた委員長……OK、よくやってくれたぜ。











 To Be Continued… 





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