第1章 出会い 2話
前作から、期間が経ちすぎました、すみませんでした。
今回、読んでくださりありがとうございます!
久しく走ったせいか、膝に手をつき呼吸が乱れた。駆が勢いよくドアを開ける。
「ただいま!!」
駆は元気だ、実優も隣で息を切らしている。家の中には、60.70歳程と見られる老婦が出迎えてくれていた。駆はすぐに私の事を老婦に紹介していた。私は老婦に一礼し家の中に入れさせてもらった。小さい一軒家で造りは木製、西洋の古民家のような造り。リビングには、薪の暖炉があり煙突と繋がっている。どこか懐かしい、雰囲気と匂いだ。前世の事を思い出していた。老婦はキッチンから紅茶とお菓子をもてなし、四人用の机に腰掛け、紅茶を頂いた。
「何処から来たのだい?」
老婦の問いに、駆の時と同様に不透明に答える。ここに来たばかりで、この世界の地理には無知である。
「お婆さんは、いつ頃ここにきたのですか? この世界は何なのですか?」
聞きたいことは、山ほどある。老婦は一口飲み、一息おいた
「40年ぐらいは経ったのかな、かなり前から来ていたよ。当時は驚いたけど、やはりここは死んだ後の世界だよ。まぁ、天国みたいな所だよ。あなたも驚いたろう。私は今の爺さんと出会ってから20年くらい前からこの家で2度目の老後生活をしているよ」
「あの、駆と実優のこともお聞きしても良いですか?」
老婦は、また1口飲み、一息おいた。
「あの子たちは、養子だよ。まぁ、実の子のように可愛がっているけどね」
本当の親のように幸せそうに笑みを浮かべ、話を続けた。
「3年くらい前かな、あなたと同じように、この草原で1人の子供もが泣いていて、その声を聞いて私達がかけ寄り拾ったのだよ。実優の方は泣かずに駆の手を握りしめていたのだ。それからずっと一緒に暮らしているよ」
懐かしそうに語ってくれた。
「ただいま。 これは珍しい来客かね」
私は、席を立ち一礼した。容姿は老婦同様の、年齢と容姿を感じ見られた。老婦はお帰りなさいと言い、紅茶を自分の隣に差し出し、老夫は老婦の隣に腰を掛けカップに手をつけた。
「あの、名前をまだ言っていませんでした、私は、セシルといいます」
「私は、ポーラでこの人はレオンスよ。それより、その歳で自分のことを私と言うのね。」
可笑しそうに、ポーラは笑みを浮かべている。やはり、長年、使い古した言葉は抜けないものだ。セシルは、改めて今の自分のことを理解して、俺と呼ぶことにした。
「ただいま! 今日のご飯は何?」
いつの間にか外に出ていた、駆が帰ってきた。外はすでに日が沈みかかり、駆は晩ご飯を誘ってきた。俺は、夫婦の顔を伺いながら問い、了承を得た。
「では、晩ご飯の手伝いをさせて下さい」
俺は料理には自信はないが、言わざるを得ないと思った。そこに、習慣の様に実優が来る。
「なら、実優と一緒に配膳を頼もうかしら。それから、椅子が1つ足りないから、物置から持って来てもらえるかしら」
実優は、ついてきてと言わんばかりに袖を掴み、俺は実優に引っ張られ奥へと歩いていく。
物置は家の1番奥の部屋にある。部屋のドアはガタがきており、少し不快な音を鳴らした。中は、農業道具のような物、肥料や種なども置いてあった。
「これだよ。 んっーー!」
実優が持ち運ぼうとしてくれた椅子は、少し荒削りな見栄えをしている。
「ありがとう、俺が運ぶから大丈夫だよ」
少し悲しそうな表情を浮かべ実優は椅子から手を離す。彼女が持つには少し力が足りないくらいの重さだ。それを机を囲むように置いた。その後、駆も来て三人で配膳の手伝いをし終えた。
食卓には、クリーム色の野菜のシチュー、香ばしい色をした鶏の照り焼き、フランスパンが並べられている。駆がいち早く席に着き、4人を呼び、全員席に着いた。
「いただきます!」
シチューは、野菜の甘みが出ていて、ゴロッとしたイモがシチューと絡み合っている。照り焼きは、薄味だが、噛むことに鶏本来の旨味が溢れ出てくる。フランスパンは、外はカリッと中はフワフワで甘みもある。再び鶏に手を付ける時、俺は手を止めた。ふと涙がこぼれ落ちていた。
「どうしたの、嫌なことでもあった? ご飯、美味しくなかった?」
言いながら駆が顔を覗き込んでいる。俺は、あいつが亡くなってから、長年独りで飯を食べてきた。本当の家族ではないけれど、温かいご飯だった。前世の事を色々思い出し、切なくも、嬉しい感情が溢れ出ている。
「いや、とても美味しいよ…………」
食器を洗い終えた後、
「今日は泊まっていきますよね?」
ポーラに聞かれ、申し訳なさそうに頭を小さく下げ、
「それなら、着替えとタオルです。お風呂お先にどうぞ」
それを受け取り、お礼を言いキッチンを後にする。
お風呂から出た後、渡された灰色の布地の服に着替えリビングに向かう。
「お先に、ありがとうございました」
ポーラとレオンスが座っている。
「湯加減大丈夫でした? あ、それから、部屋は2階に上って、手前から2番目の部屋よ」
お礼を言い
「あの、駆と実優は?」
「あの子たちは、お風呂に入っている間に寝ちゃったわ」
確かに、小さい子にはいい時間帯だ。俺も今日は疲れた
「すみません、お先に失礼します」
頭を下げ、部屋へと向かう。必要最低限の物が置いてあるだけで、とくに何もない空間。色々とあり過ぎて疲れきっていた。ベッドで横になり今日を思い出そうとする前に寝ついていた。こうして死後の世界での1日を終えた。
今後の展開は、もう頭の中では出来ているので、あとは文字にするだけです。
今後もよろしくお願いします!