1-7 だぶるばいせっぷす!
ふぅ、彼女は何処へイってしまったのだろう。俺には分からないや。
さて、気を取り直して掲示板設置すっかね。
「・・・しまった。黒板が持ち上がらない。」
そうだ、俺のパワー!では黒板が動かせない。何という事だ、俺の冒険はここで終わった。
「どうした?そんな所で何してる?」
なにやつ?!黄昏ていた俺の背後にいつの間にか気配が?!
慌てて振り返ると、正面に割れた腹筋。
見上げれば、ガチムチ兄貴がそこに居た。
「ひぃっ・・・!?」
思わず悲鳴を上げて飛びのいてしまった。
あ、なんかすごい寂しそうな顔した。ごめんなさい。
「あぁ・・・と、怖がらせてすまん。俺はアーヴィン・アラストール。3号室に居る。」
「失礼しました・・・。昨日もご挨拶させて頂きましたが改めまして。私は家神の照山紅葉と言います。どうぞ、よろしくお願いします。」
ふむ・・・目が怖く無い時はなんかぶっきらぼうな感じね。
刈り上げた赤い髪に、赤い目。褐色の肌に2m越えてそうな慎重にムッキムキのボディ。顔もこう、如何にもな角張った感じで濃い。うん、すごく濃い!
そしてなんでマッチョってタンクトップなん?力むと破れちゃうの?
「で・・・だな?」
「はい・・・?あっ!あいあい。実は住人の方々と連絡を取り合うのに便利かと思い、掲示板を作ろうと思いまして。丁度良さそうなものを、倉庫から見つけはしたのですが・・・。」
そう言って、ぶっちゃけ俺よりデカイ黒板に視線を落とすと、
「そうか。重くて動かせなかった訳か。」
「お察しの通りです。」
「何処に置くんだ?」
「へ?」
言うや否や、ひょいっと片手で黒板を担ぎ上げて反対の手でチョーク入れの木箱も抱えてしまう。
ぐぬぬ・・・カッコイイじゃねぇかマッチョめ。
「あ、はい、玄関ホールの出入り口のトビラ横に設置しようかと・・・。」
「そうか。」
そう言うとさっさと歩きだしてしまう。
うむ。態度はそっけないが良い人の様だ。なんか暗黒面に落ちてないときは。
そう思って居る間に、玄関ホールに辿り着くと手早く壁に黒板を張り付けて、何か魔法?を唱えるとそこにしっかり固定してくれた。
魔法だと・・・!?脳筋タイプじゃなかったのか・・・?!
失礼な事を考えてると、ちらっとこっちを見ながら、
「これでどうだ?」
「あいあい、良い感じだと思います。とても助かりました、ありがとうございます。」
うむうむ、俺の背だと上の方は書き込めないけど、目に付きやすく良い感じだな。
「なら、俺はもう行く。また何か有れば言え。」
「大変お世話になりました、お礼はいずれ。」
お礼のお辞儀をして居る間にそのままのっしのっしと階段を上がって行く。部屋に戻るのかな?
うむうむ、良い人だったな。ちゃんとお礼をしないとな。
・・・あ、そう言えばそろそろお昼じゃないか。お礼にお昼ご飯を御馳走してみようか。
と、思いついたらもう姿が見えないや。たぶん部屋だな。
よし、ちょっくら飯食おうぜ!と誘いに3号室のトビラを開き・・・
「ふんっ!うむ、鍛えてて良かった・・・はぁっ!良い所を見せる事が出来たな・・・ふぬっ!このまま頼りになる所を見せれば、いずれお兄ちゃんと・・・とうっ!」
部屋の鏡の前でポーズを決めるのに忙しそうだったので、俺はそっとトビラを閉じた。




