1-4 ぱんとまいむ
煩悩退散、煩悩退散・・・頭の中からぼんれすはむを追い出す為に部屋の真ん中で座禅を組む座敷童、家神でございます。
気を付けないと、次にヴィクトリアさんに会った時に『ハムさん!』とか呼びそうだ。
んもう、なんなのあの人。開くとこ間違ってるじゃないの。
さて、色々あれだったけど、はむ・・・ヴィクトリアさんのおかげで思い出した。住人達とちゃんと顔を合わせて挨拶しないと。
でも、住人達の生活サイクル知らんしな。仕事ある人はやっぱ出かけてるのかな。
ま、考えても分からんし、適当にぶらぶらして出会ったら挨拶すっかね。
と言う訳で、ゆっくりとお部屋から廊下の様子を確認・・・異常なし。
では、そろりそろりとお部屋を抜け出し、周囲を警戒しながら廊下を進みましょう。
「いや、おかしい。何で俺がこんなにびくびくしなきゃならんのだ・・・。」
俺、この場所の神様だったはず。別に偉ぶる気は無いけど、何で敵地に居る様な心持にならなければ行けないのか・・・。
うん、駄目だ。弱気な姿を見せたら嘗められてしまう。堂々と行こう。
と言う訳で、胸を張って肩で風を切ってずんずん行くぜ。足音はぽてぽて言ってるが気にしない。
さて、そんな感じで屋敷の中をぐるっと一周。エンカウントは有りませんでした。
やっぱり、皆出かけてるのかな?いや、住人達の部屋の中は怖いから見てないけど。
しかし・・・外かぁ・・・。
俺はこの異世界に転生してから、この屋敷から一歩も出たことが無い。ってか出れない。
だから、この世界がどんな姿なのか、全然知らないんだよねぇ。
旅まではしたくないけど、せめて街並みは見てみたいなぁ。
玄関ホールに辿り着き、正面には内開きの大きなトビラ。
内と外の境界線。ここが俺の世界の限界。
よく考えたら、玄関トビラが内開きって変だな。
そんな事を考えながら、トビラを開ける。
そこに広がるのは広大な街並み・・・では無く、高い塀に囲まれた石畳と綺麗に選定された庭木が並ぶ庭。
街まで出れなくて良いから、庭には出たいと手を伸ばせば。
「痛っ!」
丁度、内と外の境目で、見えない壁に思いっきり手をぶつける。
おぉ~・・・出れないとは知ってたけど、こうなるんだ・・・。
見えない壁をぺたぺた、顔をくっつけたり離したり。
「う~ん・・・体重預けられる。これを利用したら謎ポーズ出来そう。」
「はぁ・・はぁ・・・。一人遊びに興じる幼女・・・!遊び相手になって上げて懐かれたい・・・!」
よし、外はきっと危険がいっぱいだ!
庭木の陰とか何か潜んでそうだしね!サッと気持ちを切り替えて、俺はそっとトビラを閉じた。




