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家神ちゃんはそっとトビラを閉じる  作者: 豆腐王
壱章:友好ゲージ【MIN■□□□□□□□□□MAX】
10/20

1-2 しょうたいふめい

 俺にはまだ、他人の心の闇に触れる勇気は無い。

 厨房から未来に向かって管理人室(セーフハウス)まで前進して来たが、兵糧が無いのではこれ以上の行軍は出来ないのである。忌々しき事態である。お腹空いたのである。

 しょうがないから、水瓶の水でもがぶ飲みするかと考えながら、お部屋に入るとふっと香るこの匂い。

 まさかと部屋を見回せば、ちゃぶ台の上に湯気立ち昇るその姿!


「朝餉・・・だと・・・!?」


 恐る恐る、草鞋を脱いで畳の上を滑る様に近寄れば、朝日を浴びてきらきらと艶めくそいつは炊き立て銀しゃりご飯!その横で部屋に入ったその時から、何処か甘さと芳ばしさを感じる香りを立ち昇らせるそいつはお味噌汁!そして小鉢でそっと添えられたそいつはほうれん草のお浸し!小皿で瑞々しく輝くそいつはキュウリのお新香!やだ、素敵!

 思わず、座って箸を手に取ったところでストップ!家神、ハウス!


 美味しそうだ。大変素晴らしい、朝ごはんだ。そこは何も疑わない。

 だが、誰がこれを?俺が部屋を出て、厨房で優しさと切なさと心強さを感じて戻るまでに、誰ともすれ違ってない。間取りで言うと、玄関ホールの右手に伸びる廊下、その手前から厨房、食堂、倉庫、トイレ、管理人室の順である。

 あり得るとすれば、厨房から食堂へ抜けて、そこから廊下に出て俺の部屋に侵入、配膳。そして俺が戻る前に、手前の何処かの部屋に・・・。

 だとしたら、一体何の意味がと言うか目的・・・


 キュゥゥゥゥゥゥ~~・・・・


 ・・・俺の腹が言って居る。据え膳食わねば男が廃ると。

 色々間違ってる気がするがどうでもよろしい。


「いただきます!」


 うひょ~!期待を裏切らないこの美味さ!茶碗によそってある米に、潰れた物が一つも無い。だから、しっかりと噛み締めた時に甘みと香りが広がる!

 そしてこのお味噌汁、お味噌を少し薄目にして塩気を控えてあるが、その分出汁をしっかり利かせて、葱とワカメの風味で食わせてくれる。

 ほうれん草のお浸しはしっかり灰汁が取れてるのか、青臭さをほとんど感じずお醤油と一緒に噛み締める甘み。

 キュウリのお新香もこいつは浅漬けで、塩気は薄いが酸味とポリポリとした食感で口の中を爽やかにしてくれる。

 う~ん!この安っぽいグルメ漫画ごっこ!


「ふぁぁ・・・美味しいなぁ。幸せだなぁ。今日も一日頑張れそう・・・。」


 しっかりと、朝の活力の元を噛み締めて居ると、何か視線を感じるような・・・

 ご飯に全力で注がれていた視線を、ふっと上げると廊下に続くトビラが数センチだけ開いており、その隙間から金色の・・・

 ああっ!?トビラに!トビラに!!


 心の中でサイコロを転がしてる俺の目線の先で、そっとトビラが閉まる。

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