232話 エピローグ
公国での決戦から帰還して数か月間。
政府閣僚や貴族家の関係者が揃って戦後処理に奔走するなか、俺も一日のほとんどをオルグレン伯爵邸のデスクに拘束されて過ごしていた。
公国軍の奇襲に端を発した一連の事件の影響で、俺たちはてんてこ舞いだ。
先の大戦による被害は甚大というほかない。
兵力は激減、宮廷魔術師団は半壊、俺がイシュマエルに付けられた顔の傷など霞むほどの被害だ。
当然ながら、軍や宮廷魔術師団の再編成には時間がかかり、軍事力低下による周辺各国との折り合いにも影響が出て緊張感が高まっている。
肝心の公国との国境付近も慌ただしい様相だ。
王侯貴族のほとんどが命を落とし国民の大半が土地を追われた影響で、公国は主権を保つことすら危うい状況。
戦乱やら魔物の氾濫やら呪いの影響で小規模な街の復興もままならず、このままでは元公国民の連中は難民か盗賊になるしかない。
『黒閻』を殲滅し凱旋した俺たち一行は、そのほとんどが国内で要職に就いていることも災いし、表彰もそこそこに各方面での戦後処理に駆り出されることとなったわけだ。
そして、終戦から半年ほど経つと、国内外の情勢もようやく落ち着いてきた。
国内の軍備に関しては、トラヴィス辺境伯を筆頭に各地へ援軍を送り、諸侯軍や騎士団は消耗を抑え戦力増強に努めることでどうにか秩序を回復させている。
トラヴィス辺境伯領は過酷な砂漠地帯を擁する魔物との戦いの最前線だが、思いのほか余力はあったわけだな。
元より、王国の盾として戦力を蓄えていた背景には、こうした不測の事態による軍事力低下を想定してのことだったりするとかしないとか……。
もちろん、俺やフィリップやヘッケラーも各地に派遣され、魔物の群れの討伐に参加し戦ったり陣頭指揮の真似事をしたりと忙しい毎日だった。
まあ、端的に言えばパフォーマンスに過ぎないが、第二の侵略の類が起こらなかった以上、外交戦略としては成功したとみていいだろう。
あと、公国は新政権の樹立を王国が後押しする形で復興を始めている。
生き残った貴族の血筋の人間を当主に大公家に陞爵しての処置だが、そこら辺は我が国の名宰相デヴォンシャー公爵が仕切っているので、滅多なことにはならないだろう。
因みに、公国の軍部の責任者になったのは、何とあのロデリックだ。
戦場で俺に捕縛されたときは百人隊長とかだったはずだが、それが今や大佐とは……あいつも出世したものだ。
肝心の王国東部の国境沿いも、今は治安維持から復興へシフトしており、近いうちに公国西部との交易が再開する見通しだ。
腐敗した東部諸侯の支配体制が崩れたことで色々とトラブルもあったようだが、そこは王国政府の官僚の腕の見せ所だろう。
彼らは優秀だ。
遠慮なく俺を東部の田舎町に呼びつけ、コケ脅しの銅像代わりにするくらいには……。
俺としては、東部なんぞに行っても低ランクの魔物の討伐くらいしかやることがないので、こういうのはやめてほしいのだが……そうですか、宰相殿の推薦ですか。仕方ない。
まあ、行けば行くで、ランドルフ商会で扱う品を見つけたり、逆に売り込むべきモノを見極められたりできるので、商売のチャンスにはなった。
もっとも、俺が顧問を務めるランドルフ商会は、復興経済の影響でフル稼働を極めており、その影響で俺の仕事も倍増したわけだが……。
そして、瞬く間に終戦から一年ほどが経過した。
相変わらず俺のデスクに持ち込まれる案件は多く、国境沿いの砦や冒険者ギルドからは援軍要請も来ているが、そろそろ無視しても大丈夫そうな気配が漂っている。
「……長かったな」
「む、何か言ったか?」
東部諸侯のナントカ伯爵家の跡取りからの招待状を投げ出す俺に、フィリップは書類から顔を上げずに声を掛けてきた。
彼は勇者で伯爵家の当主。
未だに本人の決裁が必要な書類は俺と比べ物にならないほど抱えているだろう。
「……いや、何でもない」
「そうか」
そういえば、俺やフィリップは魔法学校を卒業した。
既に仕事を始めておりほとんど登校もしていなかったので今更な感じもするが、正式な学位の授与となればそれはそれで自慢くらいになる。
ささやかながら、魔法学校の大聖堂で先延ばしになっていた卒業証書授与式を開いてくれた。
公国から無事に生還し再び魔法学校の校長の席に着いたシルヴェストルからは、外部講師として講演や実戦指導の話も来ているが……そういう緊急を要しない案件は受けたとしても大分後回しになるな。
まあ、最近は我がオルグレン伯爵家を取り巻く環境も落ち着いてきたことだし、俺も各地を飛び回る必要がなくなってきた。
……そう、平和になったのだ。
まだまだ魔物の被害や周辺各国との折り合いなど懸案事項はあるが、差し迫った脅威は無い。
今なら……。
「なぁ、フィリップ」
「ん?」
俺は若干遠慮がちにフィリップに声を掛けた。
こういう時にどうしても躊躇してしまうあたり、俺も日本人だ。
「物は相談なんだが……ん?」
しかし、俺の言葉は突如現れた人物にかき消された。
執務室のドアをノックする音と共に、一人の女性が入室してくる。
「失礼します」
「ようこそ、キャロライン嬢」
「あ、どうも……」
登場したのは、宰相デヴォンシャー公爵の令嬢で軍務局のキャロラインだった。
彼女とは戦後も度々顔を合わせることとなったが、最近は少しご無沙汰だったな。
今日はたまたまワイバーンで移動していたので、ついでに必要な書類を直接届けに来てくれたらしい。
彼女はフィリップと堅苦しい挨拶を優雅にこなし事務的な会話を終えると踵を返した。
「あら、いらしたのですね。イェーガー将軍」
「ええ、まあ……」
居たのかって……ここは俺の仕事場でもあるのだが……。
「…………」
帰りかけていたキャロラインは一度立ち止まると、しばしの逡巡の後、俺のデスクの前までツカツカと迫ってきた。
俺は彼女を見送るために立ち上がりかけていたが、どうしていいかわからず、腰を浮かしたまま動きを止める。
そんな俺を尻目に、キャロラインはあまり感情の籠らない声で口を開いた。
「また魔大陸に行かれるのですよね? 外交や商務の仕事も結構ですが、戦後処理に必要な書類の作成は終えてからでお願いしますよ」
「え、あ、いや……」
軍務局関連で必要なデスクワークは終わった。
当面、必要な書類は全て作成した。
もちろん、俺も立場が立場なので、ここに居れば新しい仕事はいくらでも舞い込んでくるが……ちょうど今が節目と思い、フィリップに休暇を申請しようとしていたことは事実だ。
もっとも、スケジュールが立たなければ、直近で俺が必要な案件があれば無理な話だが……。
だが、そんなことを考えていると、ここまで黙っていたフィリップは口を開いた。
「そういえば……ここ一年、貴公は働き詰めだったな。貴公はオルグレン伯爵家に仕官した身。雇い主の私としては、その働きに報いなければなるまい。確か『福利厚生』だったか?」
「フィリップ……」
「……行ってこい。クラウス」
フィリップは俺の目を真っ直ぐに見据えて頷いた。
正直なところ、今の王国は万全とは言い難い。
フィリップもレイアもヘッケラーもランドルフも……俺が居れば彼らの助けになれるシチュエーションはいくらでもある。
だが、そうしてここでウジウジ考えている間に、一体どれだけの時間が経ってしまうのだろうか?
既に終戦から……エレノアと別れてから一年以上が過ぎた。
彼女のことを忘れたことは一時たりとも無い。
しかし、兄のハインツが戦死した哀しみにも、エレノアが居ない日々にも、少しずつ慣れている気がする。
慣れというのは怖い。
痛みに慣れると……本当に大切なものを気付かぬうちに失ってしまう。
今、行くべきだ。
俺はフィリップに向き直った。
「ありがとう。俺、行くよ」
「うむ、こちらのことは心配するな」
フィリップとレイアはじめオルグレン伯爵家の面々に見送られながら、俺はオルグレン邸から運送ギルドの操車場に出た。
またしばらく彼らとは会えなくなるが、思いもほか別れの挨拶はあっさりしたものだった。
まるで、俺が発つことがわかっていたかのように……。
「まったく、薄情な奴らだぜ」
「ふふっ……」
隣を歩くキャロラインは口の中で軽く笑った。
彼女には、改めて礼を言わないとな。
背中を押してくれたのは、他の誰でもないキャロラインだ。
しかし、キャロラインは俺の言葉を待たずにさっさと帰り支度を始めてしまった。
操車場の真ん中に着陸させていたワイバーンの首を撫で、手綱を引いて搭乗する準備を整える。
そして、キャロラインは鐙に足を掛ける寸前、こちらを振り向いた。
「では、イェーガー将軍。どうか、お気をつけて」
「ええ、そちらも事故らないように……っ!」
俺は思わず言葉に詰まった。
俺をまっすぐに見つめるキャロラインの瞳には、大粒の涙が浮かんでいる。
どうにか溢れさせまいとするかのように、ギリギリのところで踏みとどまるかのように……。
「キャロライン殿、俺は……」
「勘違いしないでください。確かに、少し寂しいとは思いますが……」
「っ!」
顔を逸らしたキャロラインは乱暴に涙を拭った。
鬱陶しそうに風で乱れた髪をかき上げると、僅かに充血した目と顰めた眉が露わとなる。
その壮絶なまでの美しさと寂しさに、俺は思わず息を呑んだ。
「……何ですか? 私が感傷的なことを言うのが、そんなにおかしいですか?」
「いえ……」
若干、見透かされた感はあるが、到底首を縦に触れるものではない。
俺は努めて焦りを顔に出さないよう取り繕うが、キャロラインはほっと息を吐いて言葉を続けた。
「私だって女です。権力にも暴力にも屈さず媚びない男性が素敵だと思うことはあります。気の迷いなどと言い訳をするつもりはありません。……あなたのこと、お慕いしておりました」
「っ……」
俺は何と答えるべきか。
彼女は正直に自分の気持ちを口にした。
不誠実な態度は許されない。
しかし、俺が口を開く前に、キャロラインは顔を上げて口を開いた。
「でも、私は自分が一番でないと嫌なんです。公爵家の長女だからではなく、個人的な感性の問題ですね」
皮肉っぽい説明口調で話すキャロラインは、軍務局のオフィスで会うときの彼女の印象と重なる。
彼女との付き合いも長いので、それが仕事モードに近い仮面だとわかってしまう。
「ですが、もう解決しました。あなたより大人ですから」
そう言って、キャロラインは優しい笑みを浮かべた。
正直、ドSの第一印象が強い彼女がこんな表情をするのは意外だ。
不覚にも、そんな彼女の様子が可愛いと思ってしまう。
そして、キャロラインは俺に一歩近づくと、力強い目で俺を見上げた。
「今から……生涯で一番素直になります。一度しか言いません。よく聞いてください」
「はい」
そして、一拍置いたキャロラインは、はっきりとした口調で言った。
「私……好きだった人には、幸せになってほしいです」
そして、俺たちの周りを沈黙が支配する。
どれだけの間そうしていただろう。
やがて、キャロラインは踵を返し、さっさとワイバーンに騎乗した。
「将軍、ご武運を」
「はい」
キャロラインが騎獣の腹を蹴ると、ワイバーンは一挙動で空高く舞い上がった。
そして、彼女の姿は見えなくなった。
離陸して大分経った。
もう、地上から私の姿は見えないだろう。
「ッ……」
「キュ?」
思わず手綱を握る手に力が入ってしまい、下の騎獣から心配そうな鳴き声が漏れた。
何でもないと優しくワイバーンを宥め再び前を見据えるが、私の口からも思わずため息が漏れる。
「ハァ……」
……いくらでもやりようはあった。
これでも公爵家の人間だ。
汚い策略や権謀術数の類も散々目の当たりにしてきたし、そうして邪魔な人間を自ら排除することもあった。
欲しいものは力と知恵を駆使して手に入れる。
今回も、いつも通りやれば手に入るはずだった。
彼とは以前から懇意にしていたので、あとは多少の根回しが済めば外堀は埋められる。
彼の気が滅入っているときに優しく慰め、そのまま抱かれれば既成事実を作ることもできただろう。
それが、最善手。
彼が魔大陸から返ってきたときも、戦争直後の魔物の襲撃後も、当然それは頭に浮かんでいた。
あの人は不誠実を嫌う。
あの人なら、責任を放棄したりしない。
でも……できなかった。
何故だろう?
彼の心が私に無いことを知っていたから……?
自分が一番とかも半分は嘘。
貴族ならば側室を持つなど普通のことだ。
種が無ければ尻をメイスで殴ったところで子どもはできないので、養子を迎えることもあれば、酷い場合は妻を別の男に抱かせることも……それが貴族というものだ。
条件が合致して情もある相手なら恵まれている。
どうあっても手に入れるべき物件だった。
なのに、私は……。
「馬鹿ですね、本当に……」
「キュゥ」
ワイバーンはまるで慰めるような声を出してくる。
その声に引き戻されるようにして、私は手綱をしっかりと握りなおした。
もう、終わったことだ。
ちょうどお土産にお酒も貰ったことだし。
飲んで忘れよう。
でも……しばらく引き摺りそうだ。
飛行魔法でオルグレン伯爵家を飛び立った俺は、そのまま最高速度で王国最北端の港町ガルラウンジへ飛んだ。
顔見知りの代官や警備隊の面々は俺の登場に驚いていたが、魔大陸行きの船のチケットを求めるとすぐに手配してくれた。
持つべきものは権力者の知り合いだな。
奇しくも、俺が乗る船はロバーツ船長の『ラ・フォルトゥーナ』であった。
前回の魔大陸行きと、中央大陸への帰りにも乗った船だ。
「よぉし! 錨を上げろ! 出航だ!!」
「「「「「へい!」」」」」
ロバーツの指示と船員の声が轟き、前と同じルートで船は進み始めた。
この光景も懐かしいな……。
「いやぁ、懐かしいね。最初にイェーガー将軍を乗せて魔大陸に行ったのは、もう二年以上も前になるな」
「ああ、そんなもんか……」
「あの頃は若い騎士見習いって感じだったが……その顔の傷といい、雰囲気といい、随分と貫禄が出たじゃねぇか」
「ははっ……」
生返事をする俺に、ロバーツは若干苦笑いしながら陽気に声を掛け続けた。
「そういえば、将軍様よ。今回は魔大陸に何をしに行くんだ? また、国王陛下の勅命か何かか?」
「いや…………妻を、迎えにね」
「へっ!?」
ロバーツは素っ頓狂な声を出して目を丸くしたが、その後の会話は覚えていない。
そして、魔大陸到着までの数週間。
俺は船室と甲板を往復して一日の大半ボーッと過ごしつつ、夜は船員と酒を飲んで過ごした。
時折、遭遇した水棲の魔物を雷魔術で落としていると、同乗している冒険者にも飲みに誘われ、甲板で刺身やフライをつまみに飲み明かした。
船上での日々はあっという間に過ぎていく。
そして予定通り十八日後、『ラ・フォルトゥーナ』は魔大陸最南端の港町サウスポートに到着した。
「っ!」
サウスポートに降り立った俺は、すぐに走り出した。
この大陸のどこかにエレノアが居る。
もしかしたら、この街に居るかもしれない。
淡い期待であったが……覚えのある魔力が教えてくれる。
俺に道を示してくれる。
「エレノア……」
駆け足でメインストリートを進む。
途中、人とぶつかりそうになるが素早くサイドステップで避けつつ、目的地までの最短距離を突っ走る。
後ろから罵声が聞こえるが知ったことではない。
大した距離でもないのにひどく遠く感じる。
俺はひたすら走り続ける。
そして、大通りの突き当りの宿屋に近づいたとところで、俺は足を止めた。
「ここは……」
よくよく見れば、ここは俺がサウスポートで活動していたときの定宿『グリフォンの止まり木亭』だ。
懐かしい……。
ここの料理も美味かったな……。
そんなことを考えていると、宿の二階の窓が激しく開け放たれた。
「ク、クラウス様……」
「っ……エレノア!」
窓から顔を出したのは期待通りの人物だった。
軽くウェーブの掛かった黒髪に美しい金の瞳。
鋭さの中に温かさと母性を秘めた美しい女性。
忘れるわけもない。
彼女の存在を確かめるように、俺はもう一度名前を呼ぶ。
「エレノア……!」
「クラウス様……クラウス様ぁ!」
エレノアは窓から飛び出した。
一直線にこちらへ向かって飛び降りてきた彼女をしっかりと受け止めると、衝撃とともに力強い抱擁が返ってくる。
間違いない。
夢にまで見たエレノアの匂い、感触、温かさ、力強さだ。
俺も彼女の背に腕を回し、強く深く抱き締める。
「わぁあああぁぁぁぁぁ! クラウス様ぁ! 会いたかった……! 会いたかったよぉ!」
「俺も……俺も会いたかった」
俺たちはお互いの存在を確かめ合うように抱き合った。
周囲の目も気にせず、固く抱擁を交わし続け、一ミリでもお互いを近くに引き寄せようと試みる。
そして、一頻り泣いたエレノアは、俺の胸元に顔を擦り付けるようにして深く息をついた。
「あぁ……クラウス様…………本物だぁ……」
「ああ、ここに居る……エレノア! 俺は、ここに居るよ……」
言葉が要らないなんて嘘だ。
溜まっていたものが、言葉にしたかったことが次々と出てくる。
薄っぺらくてもいい。
何でもいい。
とにかく……伝えたい
「エレノア、好きだ。君のことが大好きなんだ。愛してる。誰よりも……愛してる」
そう言うと、エレノアはより一層強く俺の体を抱き締め、そっと口を開いた。
「もっと聞かせて」
「本当に、会いたかった。ずっと君のことが頭から離れなかった」
「もっと!」
「君の存在があったから生き残れた。君と一緒になる未来が、俺に力をくれた」
「もっと……」
「ずっと一緒に居てほしい。本当の意味で、今度こそ……君の百年を、俺にくれ」
次の瞬間、俺の口に熱く柔らかな物体が押し付けられた。
至近距離には目を閉じたエレノアの顔。
エレノアからの深く長いキスだった。
俺も夢中で応えた。
「ん……」
「……んん」
そして、僅かに顔を離すと、エレノアは力強い眼差しで俺を見つめてきた。
彼女の熱い吐息が肌で感じられる。
「愛してます。クラウス様」
「っ」
はっきりとした口調で告げられたエレノアの言葉に、俺の心臓はさらに早鐘を打ち始める。
愛する女性から愛を告げられることが、これほど嬉しいとは……知らなかった。
彼女が教えてくれた。
「もう、逃がしません。二度と、私から離れないで」
「ああ、もう絶対に離さない」
俺たちは人目も憚らず、そのまましばらく抱き合った。
「やっと、言えました……」
小説家になろうをご覧の皆様。
拙作をご愛読いただき、誠にありがとうございます。
『雷光の聖騎士』第一章はこれにて完結となります。
本作のシナリオ自体はこの先もあるのですが、怨敵の打倒にヒロインとの再会と一区切りつきましたので、しばらく更新をお休みさせていただきます。m(__)m