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スキルハント  作者: 如月上下
5/37

少年ト少女ハ発展シナイ

時刻は17:40


空は目が痛いほど青い


日差しは肌を抉る程眩しい


深江はエアコンも扇風機も無い訓練室にいた


しかし目の前の少女、雪鳴は汗一つ流さずに目を閉じ、椅子に腰掛けた状態でスキルとの『対話』をしていた。


深江「はい、ここまで」


深江の一言と共に雪鳴は目を開き、ゆっくりと深呼吸をする、一筋の汗が彼女の頬を伝うと同時に深江は口を開く


深江「あと一押しって所かな、最初より長く対話出来る様になってるね」


そう、図書室での出来事から早一週間経とうとしているのだ

さっきまで行っていた『対話』とは、自分のキャパシティよりあまりにも負荷がかかるようなスキルを安定させる訓練である


訓練初日は5秒と持たなかった雪鳴の対話は、一週間経った今では、最高2時間と言う異常なスピードで習得していってるのである


と、そんな事を考えていると雪鳴が嬉しそうなこちらに近寄ってきた


雪鳴「あの、そんなにちゃんと出来てました?」


一週間一緒に訓練して分かったのだが、雪鳴は結構勉強熱心で負けず嫌いの様だ、実戦訓練はまだしていないがどうだろう、なかなか楽しみだが恐ろしい


深江「あぁ‼︎一週間でこのスピードはなかなか凄いぞ‼︎」


雪鳴「そんな、深江さんの教え方が凄く的確だったので、それで出来たんだと思います」


深江「だが俺は教えただけだ、後は君の努力の賜物だ」(まぁ、実質俺は3ヶ月かかってやっと1時間だったんだけどな)


能力との対話で張りつめていた空気が和やかになってきた、そろそろ終わろうか?


それで終わる筈だったのだが


(♫〜〜・・・・・)


深江「ん?なんだこの曲は?君のスマホの着信音か?」


雪鳴「いえ?私は何も・・・」



(♫〜ブツッ・・・・♫"‼︎‼︎♫"‼︎‼︎〜・・・)


優雅な音楽から一転、人を不安にさせるような音に変わっていく


深江「な、なんだよ・・これは・・・⁉︎」


雪鳴「なんでしょう、とても心が休まる間のないようなこの音楽は・・・」



??「パニックホラーやジャパンホラー、何故人は恐ろしいものに魅入ってしまうぅ?」


何処からか男の声が聞こえた


??「普通の解答ならぶぁ、自分は視覚的な安全圏にいるから怖くない、よって魅入ってみるだけだ、そう答えるのだろうね」


男の声はだんだん音楽よりも大きくなっていく


??「だが、私は違うぅ‼︎視覚的には安全圏だろう、だが何故不安になる?そう、音楽が一番の要因だと思うのだが、どうかねぇ⁉︎」


深江「あんたの映画評論は聞いていない、そろそろ姿を見せたらどうだ?」


『キミノウシロダヨ』


ゾゾゾッ‼︎‼︎


身体が戦慄する、空気が凍りつく


雪鳴「深江君・・・助け・・・」


シュッ


振り向いた時には雪鳴は息をしていなかった


首周りに絞跡があった、即死だったのであろう


深江「お前、名前とワーストNOは?」



豊岡「わったしは豊岡、ワーストNo.58だよ、ちなみに・・・」


深江「もういい、俺より下なら大丈夫だ」


豊岡「ぬぁにを言ってるのかね?君はNo.44だろう?そんなに変わらな・・・」


深江「能力を使う為にお前を犠牲にさせてもらう」


深江の身体の一部が変化しているが、暗いせいか豊岡は気付いていない


豊岡「君が?この私を殺す?無理無理、笑わせないでよ」


「ね」・・・・・・


豊岡は消えた、残るのは不気味な音楽と豊岡が立っていた場所にある、蜘蛛のマークが入った錠剤が1錠


深江「あいつ、オオジョロウグモのスキル使いだったのか」


錠剤を手に取りながらそんな事を呟く



深江「一人の犠牲に一錠、このスキルは好きじゃないんだがな」


能力が好きじゃなくても使わなければいけない程、深江は雪鳴を救いたかったのだ


友達として・・・


雪鳴の口に錠剤を押し込む


深江「5分程したら大丈夫だろう」



深江は雪鳴の顔を見ながら言った


遠目からでもなかなかだが、近くで見ると、成る程、やはり顔立ちも整っており、さぞかし他の男子生徒からはひそかに人気はあるのだろう


しかし、深江は友達と思っている


否、友達としか思えない様になっている



深江


彼がワーストと引き換えに失ったものは

「恋心」・・・・・







と「自身の名前」







どうも、如月 上下です。


今回はちょっと長めですが、読んで下さりありがとうございます。


次回もお楽しみに‼︎

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