初メマシテ貴方ガ怖イ
網干「君は入学当初からこの図書室を使っているからすぐに分かったよ」
網干は自前のインスタントコーヒーをすすりながら深江の前の椅子に腰掛けた
深江「入学当初もこんな風に向き合って座っていましたね」
無論その時はコーヒーではなくカフェインとだけ書かれた謎の飲料だったが
深江はタブレットに目を落としながらそんな事を思っていた
網干「ワーストか・・・」
網干のつぶやきに深江は目を上げた、目の前の老人の目には好奇心と探究心が渦巻いていた。
深江「そういえば先生のお孫さんも能力者でしたっけ?」
網干「うむ、だが今一つ能力を使いこなす事が出来て無いんだがね」
網干はいつの間にか空になったカップを卓上で回しながら語る
網干「最近は訓練をする事でなんとか扱えてはいるが、それでもまだ一つノーマリーより劣るんだよ、お、どうやら来たようだね」
図書室のドアを閉める音と共に小柄な少女が1人、落ち込んでいるのか俯きがちに入ってきた
網干「雪鳴どうしたんだい?」
網干は孫の表情を見て問いかける
雪鳴「・・・・本日をもってワースト認定されました」
網干・深江共に驚きを隠せなかった
こんな物静かで理性のありそうな少女がワースト?
何かの間違いではないだろうか
深江「初めまして、僕は深江、ワーストNo.44だ」
とりあえず挨拶をしておく
雪鳴「・・・・?」
雪鳴は無言で首を傾げていた
網干「すまんな、この子は少し人見知りでね、雪鳴、君に挨拶しているんだよ」
雪鳴「⁉︎、す、すいません‼︎私は芦屋 雪鳴と申します‼︎本日よりワーストNo.45となりました‼︎何卒よろしくお願い申し上げます‼︎」
挙動不審ながらも何とか挨拶は終えた様だ、しかし、言って悪いがこんなに頼りない子がワーストでしかも悪階級45だって?世の中も甘くなったものだ
深江「まぁ、ワーストなんて称号みたいなもんだ、気にせずお互い頑張ろうな」
深江は手を差し出した
雪鳴「はっ‼︎こちらこそ‼︎」
雪鳴は慌てて手を出し握手に応じる
[ゾワ‼︎‼︎]
握手をした途端に深江の腕から鳥肌が立つ
友好的だが下手な笑顔をこちらに向ける雪鳴、能力ではないようだ
潜在的なものなのだろうか?
深江は心の底で恐怖した
この子は危険だ
第三話を読んで頂きありがとうございます
如月 上下です。
まだまだ続きますので何卒よろしくお願い申し上げます。