知識ヲ得ルハワースト
「路地裏だと涼しいのになんで日が当たるだけでこんなに暑いんだ?」
深江は自身の通う高校の前にいた
[能力者研究養成高校・ソーパー]
隠すかと思いきやあからさまな学校名に深江はうんざりしながら校舎の中に入っていく
結局あの後伊丹は名前を聞くだけ聞いて鼻歌混じりにどこかへ行ってしまった。
「結局何がしたかったんだあいつは・・・」
深江は少し考えたが命があるだけマシと言う結論に行き着き、深くは考えない様にした
「とりあえずこの前の授業の復習でもするか」
深江は教室には行かず図書室へ向かっていた、まぁ、図書室とは名ばかりで棚には紙とインクの匂いなどせず、あるのはタブレット端末がびっしり充電されている殺風景な光景だった。
本もいいが、経年劣化や1人が一冊の本を独占したりやらが問題になる為、それなら1台に大抵の書籍をずっと綺麗なデータとしてどんどん入れることが出来るタブレット端末を大量に設置する方が場所も取らず本の取り合いにもならないのでいいのではないだろうかと言う学校の粋な計らいの産物の一部である
深江は適当に選んだタブレット端末で「スキルアナライズ学」の教科書(応用編)を探していた
「えーと、これか」
画面をタップすると先日授業でやった事が事細かく載っていた
「能力者って以外に面倒だよなぁ」
深江は教科書のチェックポイントに目を通していた
【1】
・能力者は大きく3種類に分かれる
その1 [エリート(優良能力者)]
名前の通り能力者の中のエリートでもあり、一般人としてもエリート、主に学業優秀、名家出身者の能力者に付けられる
3万人に1人の逸材で、1人いるだけで市町村の平和が約束されたも同然である
補足(エリート序列1〜6までは大体名家の御子息である)
その2 [オリジン/ノーマリー(養成能力者)]
能力者の中でもごくごく一般的な部類で、基本的に実害はないが、一般人が能力での攻撃を受けると致命傷を受ける危険性が高い為、普段は能力を限界まで抑える腕輪をしている
補足(基本的にいい人が多いオリジン/ノーマリーだが、序列が高ければ高い程エリートに近く、低ければ低いほどワーストに近くなります。)
その3 [ワースト(不良能力者/欠落能力者)]
簡単に言えば『悪』そのもの、能力者としての技術はオリジン/ノーマリーに劣る者もいるが中には能力値だけはエリートすら超えるワーストもいる
能力の影響で先天性の感情欠落、性格破綻、心の歪みなどが起こる
※ワーストの中には能力を奪う能力を持つ者もいる為、オリジン/ノーマリーはワーストに近づかない事を推奨する
補足
ワースト序列(悪階級)は高ければ高い程危険である
(序列1〜50までは犯罪者予備軍または犯罪者となっている)
エリートについては25を
オリジン/ノーマリーについては6を
ワーストについてはこれ以上の記述はありますが閲覧後は自己責任でお願いします。
128を入力して下さい
深江は迷うことなく128と入力した
『生徒手帳をかざして下さい』
自身の生徒手帳をかざすと陽気な音と共に
ワーストに関するページが開けた
その時
「おぉ〜、相変わらず勉強熱心じゃのぉ〜」
背後から初老の男の声が聞こえた
そこにはワースト研究担当の網干と言う男がいた。
如月 上下です。
「スキルハント」二話、読んで下さりありがとうございます。
基本的に毎日更新したいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。