少年達ハパイナップルパント殺戮ガ生キ甲斐
太陽に照らされながら日陰のない道を延々と歩く二人
深江は期間限定油みそおにぎりとミネラルウォーター (800ml)が入った袋を
蟻塚は店の菓子パンの殆ど全種類とオレンジジュース (500ml)が3本入った大きな袋を片手に歩みを進める
深江「あ、蟻塚さん、一体どれだけ、歩くんですか?」
深江は汗をドボドボと流しながら歩く、付いてきたことに少し後悔し始めたのであった
蟻塚「ん?もうちょっとだから我慢してくれ」
蟻塚は菓子パンのチョコが溶けない様に入れた保冷剤を恨めしそうに見ていた
深江「でも、この先って、廃墟じゃないですか?」
一度ある用事で行った事はあるが、間違いない、この先は廃墟群のはずだが
蟻塚「よく知ってるな、まぁ、一応扇風機はあるから我慢してくれ」
深江「分かりました〜」
もう暑くて話すこともままならない状態の二人は到着まで無言で歩き続ける
やっと廃墟群までたどり着き
蟻塚「ここだ」
その中では一番綺麗な方の元・事務室なのだろうかプレハブがあった
深江「ここに住んでるんですか?」
蟻塚「まぁ、学生三人で住むとなるとな」
とりあえず中に入ろう、と蟻塚が進んでいく
カラーン
ドアベルが閑散とした廃墟群に鳴り響く
深江「お、お邪魔します〜」
その時、ひんやりとした空気が深江の火照った体を包み込む
深江「涼しい〜、生き返る〜、あれ?でもエアコンって?」
薊野「ジャーン‼︎こんな事もあろうかと蟻塚君達には黙って買っちゃいました‼︎」
薊野が満面の笑顔でリモコンを見せつける
蟻塚「どんな事だよ・・・まぁ、助かるけど」
蟻塚はソファにドカッと腰掛けながらコンビニの大袋をテーブルに置く
霧無「居住区手当とカース給付金が出たからってそんなにポンポン使っちゃダメですよ先輩‼︎」
薊野「まぁまぁ、惜しむこと無く使おうって言うのが僕の名前の由来だからね」
霧無「惜しんで下さいよ、まぁ、ここの居住区では必需品ですけどね」
そんな事を話しながら二人もソファに座り、コンビニ袋の中を漁る
蟻塚「騒がしい所だが、まぁゆっくり座れよ」
蟻塚は自身の隣をはたきながら深江を呼ぶ
深江「はぁ、ありがとうございます」
深江はただひたすらに驚いていた
カースを持つとは言え、彼らも一人の学生なのだ
深江「そういえば、居住区手当って何ですか?」
深江は油みそおにぎりをレジ袋から出しながら聞く
薊野「あ〜、僕もよくは知らないんだけどなんか危険で利便性が極めて低い土地に住む人にお金が貰えるみたいなんだ」
チラッ
蟻塚「ちなみに危険度の高さと利便性の低さによって金額も大幅に変動するみたいだな、大体5万から150万まであるみたいだぜ」
チラッ
霧無「私達が住んでいるこの居住区は犯罪者が多数存在しているようなので危険度は中の上です、利便性は見ての通り最低ですね、なので給付金にプラスでソーラーパネルを実装してくれているので電気代はほぼ無しです」
それぞれが言葉詰まりになると相手に目配せしてヘルプを求めながら説明を終える
深江はこの三人のチームワークの良さに驚き袋に手を入れたまま固まっていた
深江「凄く分かりやすくて助かりましたけど、凄いチームワークですね」
薊野「まぁ、結構田舎の学校から来たから彼らとは深く仲が良いってだけだよ」
薊野は説明しながらバナナクリーム入りメロンパンを手に取る
蟻塚「あ、それ俺の」
蟻塚はすかさずそれを奪い取る
薊野「・・・・・・・」
深江「・・・・ええっと・・」
薊野「まぁ、家族みたいなものだと思って貰えたら大丈夫だよ」
薊野は苺ジャム入りドーナツを手に取る
霧無「あ、先輩‼︎それ私のやつですよ‼︎」
薊野のパンは霧無に怒られながら奪還される
薊野「人生は甘くはないね、そう、この『上白糖と練乳とその他色々甘すぎて怖いパン』の様にね‼︎」
薊野は焼け気味に適当に選んだパンを掲げる、袋に入っているのに甘ったるい匂いがこちらにまで漂う、照りが凄すぎてもはや眩しい
深江「恐らくそこまで甘いと人類はここまで繁栄しなかったでしょうね」
深江は袋から油みそおにぎりを出しながら言う
すると
薊野「⁉︎、それは限定商品の油みそおにぎりじゃないか⁉︎」
薊野は目をキラキラさせながらこちらを見る
蟻塚と霧無はまた始まったと言う顔でパンを頬張っていた
深江「ど、どうしたんですか?」
蟻塚「そいつ、期間限定商品には凄く敏感なんだよ」
霧無「ある意味狂気を感じますね」
薊野「深江君‼︎」
突然大声を出し始める薊野に困惑する深江
深江「は、はい⁉︎」
薊野「このパイナップルパンとそのおにぎりを交換してくれないか?」
薊野は自身が差し出すパンと深江が持っているおにぎりを見比べながら問いかける
恐らくパイナップルパンは自身の好物なのだろう
深江「い、いえ、パイナップルパンは大丈夫なんであげますよ」
薊野「それじゃあ深江君のカロリーが無いじゃないか‼︎このパイナップルパンを受け取ってくれないと僕は意地でも油みそおにぎりを受け取らないぞ‼︎」
薊野は目をキラキラさせながらも下唇を噛み締めて深江の方を見る
深江「え〜と、あ、じゃあ、それで」
深江はパイナップルパンではないパンを指差す
深江「その甘党でも倒れそうなパンで」
薊野「交渉成立だ‼︎」
こうして安心して食事が出来た
深江「うっ、なんだ、食べ終わってもなお体中に甘さが駆け巡る様な感覚は」
蟻塚「お前はよく頑張った、あれは俺でも無理だ」
霧無「大丈夫ですか?コーヒーでも入れてきますね」
薊野「・・・・なんかごめんね」
蟻塚は背中をさすりながら
霧無はインスタントコーヒーを注ぎながら
薊野はオロオロしながら
なんだ、いい奴らじゃないか
深江は糖分の過剰摂取による気持ち悪さの中でそんな事を考えていた
霧無「コーヒー持ってきました〜‼︎」
深江「あ、ありがとう」
蟻塚「熱いからな、ゆっくり飲めよ」
ズズズズ
深江「・・・・・」
3人「「「ゴクッ・・・だ、大丈夫か?」かい?」ですか?」
深江「ふぅ、もう大丈夫ですよ、ありがとうございます」
コーヒーの苦みで少しは気が紛れた深江だった
暫く4人でコーヒーを飲んでいると
薊野「さて、ご飯も食べたし始めますか」
薊野はニッコリしながら言う
深江「始めるって何をですか?」
深江の問いかけにニヤリと笑い
薊野「殺戮訓練だよ?」
どうも、如月 上下です
個人的に好きなのはコンビニのごぼうパンです




