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第1話 「入学」

 桜が舞う季節になった。俺は今年、高校生になる。しかし、まったくもって高校生活には期待していない。

環境が変わるなんて、ただ面倒くさいだけだ。唯一いいところを挙げれば、通学路にゲームショップがあることぐらいだ。

「奏太ー!おはよー」

「あ、明久。おはよ」

「今日はいつにも増して面倒臭そうにしてるねえ」

「入学式とか面倒なだけだしな」

こいつは俺の幼馴染の明久。小学校時代、ぼっちの俺を助けてくれた奴だ。その件に関しては感謝しきれん。

「んー眠い」

「俺も。このままベンチで寝るか?」

「ん~ベンチは寝にくいしなあ。僕枕ないと寝れないんだよね」

「つっこむところそこかよ」

なんていつもの会話をしていたところで、学校に着いた。

俺と明久の前にあるのはものすごくでかい学校だった。明久がぽかーんと見つめている。

 私立柴城高等学校。とにかく自由な学校で有名。メイクや金髪などは禁止だが、行事の自由さは恐ろしく、文化祭の出し物も基本的に自由で、体育祭はなぜか家庭科部のお弁当発表があったり、みんなの嫌がるマラソン大会は、上位になれば学食と購買の優先券が貰えるので、運動が得意な奴はすごく燃えているらしい。もちろん上位以外にも報酬があるらしく、上位以外の争いも繰り広げられている。まあ全部明久情報なんだが。部活動も盛んで、サッカー部や吹奏楽部はもちろん、アニマル同好会や、ドルオタ研究会、時計部などがあるらしい。なんでアニマルが同好会なのに時計部はちゃんと部活になってんだ。

「部活、かぁ」

「なに?部活するの?」

「部活してる暇あったらゲームするわ」

「じゃあ僕もそうしようかな」

明久は優しいな。どこまで俺と一緒にしたがるんだ、逆に怖いわ。まあこいつとは家で一緒にゲームやったり、狩ゲー合宿したりしてるし、明久が部活で遅くなったりしたらきっとそういう機会が減るからこれでいいのかもしれない。

「わあ。すごい人だね」

「うわっ・・・」

「うわっはないわー。僕見てこようか?」

「ないわーってなんだよ・・。俺も行くよ」

俺と明久は人混みに入っていく。人混みの中にあるのは、クラス表。この学年は7組あるらしい。

7組って中学並みに多いなあ。まあこの学校入学希望者多そうだしな。

「あ、僕たち2組だよ。2人一緒」

「お、まじか。らっきー」

先頭を明久にまかせていたため、4組くらいのクラス表しか見れなかったが、なんとか明久が見つけてきてくれた。俺があいつより背が高かったら・・・悔しくねえよ。

俺はでるために明久の制服のすそをひっぱり、ずんずん人混みのない方へ進んでいく。

人混みはあまり好きではない。酔うことはないが、クラスが一緒になったのか喜んでいる女子の横を歩くのは正直耳が痛い。喜ぶのはいいが叫ぶなよ。

「結構喜んでる人多いし、入試のクラスアンケートはやっぱり反映してくれるんだね。」

「そこまで自由なのか。まあそっちのほうがいいけど」

「噂によると下駄箱の個人の配置もいろいろ考慮されてるらしいよ」

「さすがにそこは自由じゃないのか」

「新年早々揉め事とか嫌なんじゃないかな?」

「なるほど、そこまで考えてるのかよ・・・」

この学校、いろいろと怖い。でもそれより怖いのは・・・

「2組の下駄箱こっちの門からだって!」

下駄箱の配置だ。俺は明久より背が低い。従って下駄箱は明久がひとつ上なんて可能性も・・・

中3の時は僅差で俺が勝ったのに、あいつ中3のときに背が伸びやがったんだ。幸い同じクラスではなかったから、背の順では証明されなかったが、下駄箱の位置で証明されてしまうかもしれない。あの時さんざん煽ってしまったから、きっと煽り返されるに違いない。ああ怖い・・・

「お、奏太!僕たち隣だよ!」

「まじか!?まじでか!?今日はエイプリルフールじゃないからな!」

「なにそれ、いきなりどうしたの・・・嘘じゃないよ!ほら!」

若干引き気味の明久が下駄箱のところまで誘導してくれた。本当だ。隣だ。今日は4月7日で合ってたんだ。

「ふう。よかった」

「そんなに隣になるのが信じられなかったの?」

「い、いやそこまでしてくれるなんて親切すぎだな~って・・・」

「たしかに!ほら、さっさと教室いこ!」

明久、やけに嬉しそうだな・・・まあ俺も嬉しいからいいけど!

俺たちは男とは思えないほどににこにこしながら教室へ行った。




 「はあ、やーっと終わったよ。」

「はは、まさか部活勧誘で絡まれるなんてね」

時間は午後1時。本当なら、一時間前には終わっていたんだが、部活動の勧誘に押しつぶされてしまった。なぜあいつらは帰らせてくれなんだろうか・・・。「いいえ」と言っても言っても「そこをなんとか」で押し込んでくる。上級生特有の威圧で押し込もうとしているんだろうが、俺には効かねえぜ。

「なあ。ゲームショップ寄っていかね?」

「うん。行きたい!中古ゲーム漁る!」

明久の趣味は、中古ゲーム漁り。新作ゲームもやるが、こいつは中古ゲームのほうがなんだか好きらしい。

あの売れ残りのワゴンから至高のゲームを選ぶのが、なんだか好きらしい。ちなみに俺は新作ゲームを攻略本なしでやるのが好きだ。

「あれ?でも今日はゲームの発売日とかじゃないでしょ?」

「まあ、いいじゃないか。」

明久のゲーム選びは、なかなか面白いんだ。


 「うわああああああああ!!!!これは!!!あるドラマをモチーフにした隠れた名作!!!うわああ!!こっちはシリーズ物なのに2だけはバグが多すぎて黒歴史と化したゲーム会社自体が売ろうともしなくなったものじゃん!なんで売ってんの!?なんで!?!?」

「あんま叫ぶなよー」

お、このゲームって続編あったんだ。

なんて明久を暴走させないように見張りながら適当にゲームを眺めていたら、やけに早い足音が聞こえた。

トントントントントン

店員、か?もしかして、騒ぎすぎたか?やっちゃったかな・・・なんて振り返ったら。


ここの店員の一言は、俺の高校生活、いや、人生をも変えた一言になるんじゃないかってほどの、大きなものだったんだ。俺たちが今このゲームショップに来てなかったら、俺の高校生活は、中学時代と変わらない。ただ、過ごすもの、それだけだった。しかし、この店員が、俺の高校生活を、変えたんだ。




「君たち、ゲーム同好会に入らない?」

「は?」

そう、この言葉だ。




To be continued...


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