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思い込みの凄さを披露しよう  作者: 砂殿
第一章
8/26

利器

 「さぁ、ユーキ様!着きましたよ!ようこそ、アールへっ!!」


 結城は、眩しい光に瞑っていた目をそぉっとあけた。



「んん、うぉっ!って、普通の部屋じゃん。へぇ、結構シンプルな感じでいいなぁ。

じゃなくてっ!!何勝手に連れて来ちゃってんの?!知ってる??これって、拉致!誘拐だぞ?!犯罪なの!!」



「ご心配なさらず。地球でのユーキ様の存在は無かった事になってるので、誰にも迷惑はかかりませんよ!」



「めちゃめちゃ俺に迷惑かけとるがなっ!!え?何??存在は無かった事って?地球に帰れないの??」



「はい、帰れませんよ?もぉ、心配しなくても大丈夫ですよー。私がずっと一緒にいますから!ね?」



「ね?っじゃねぇよっ!!!」



 アイリスは、結城の余りの剣幕にビクッと体を震わせた。




「あのさ、向こうには思い出がいっぱいあるんだよ。両親や兄弟、お隣の田中さん、大学の数少ない友達も俺にとって大事なんだよ。大切なんだよ!それを、大切な繋がりをお前の勝手で連れて来てさ、断ち切られて………。

何が希望だよ。何が未来の光だっ!俺にはお前も、この世界も!絶望だし未来なんかあるわけねぇだろっ!!


みんなに会いてぇよ。あいつらとバカな話で笑いてぇよ。クソッ!……こんなことなら、いっそ死んだ方がマシだよっ!!」


 涙を流しながら怒鳴る結城を見てアイリスはやっと事の重大さに気が付いた。私は、何て事をしてしまったんだろう。相手の意思も確認せず、自分の使徒になってくれそうだというだけでアールへ連れて来てしまった。自分が逆の立場ならどうなるか?故郷が一瞬で無くなる。

そう考えた時、アイリスは涙が止まらなかった。



「ごめんっなさいっ、わた、し!そんなつっ、つもりじゃっ!!」



「もういいよ。どうでもいい。お前の顔も見たくない。出ていくよ。」


 そう言って結城はドアを開けた。外は周りを森に囲まれているようだった。この建物は森の拓けた所にポツンと建っているんだろう。まぁ、そんな事はどうでもいいと結城は歩き出した。

パンツ一丁で。



「私は……なんて事を。…………ユーキ様、ごめんなさいぃっ。

運命神様。…私は、貴方が授けて下さった力を。最後の希望の力で、ユーキ様の人生を台無しにしてしまいました。どうすればいいのでしょうか?私はどう償えばいいのでしょうかっ!」



プルルルルプルルルル



「あっ!ピッ。もしもしアイリスです。」



『アイリスー、上手くいったー?』



「いえ、運命神様。それが………」



『あっちゃー!それ、やっちゃった系じゃーん!だから言ったじゃーん!慎重にしろってー!あの力は一回使ったら100年は使えないって言ったじゃーん!どーすんのさー?』




「すみません!どうしたらいいんでしょうか?私、顔も見たくないってっ!グズッ」



『泣いてる場合じゃないでしょーよ!とりあえずさー、連れて来ちゃったんでしょー?謝り続けるしかないでしょー!ちょっと相手に変わりなー?アタシも謝ったげるからー。』



「分かりました。ってユーキ様出ていったんでした!!一人で森に!?」



 そう言うとアイリスは、地球では持っているのが常識の携帯のような物を放り投げ、ドアの近くに立て掛けてあった杖を持ち急いで外に飛び出した。




『何で一人で行かすのよー!魔物もいるのよー?!死んじゃうじゃーん!って、聞いてるー?もしもーし!アイリスー??』

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