加護?
止めどない鼻血の滝を、またもや優しい女神さまに止めてもらい感謝しながら(でも、そこに谷間があったら見るよねぇ。そう。登山家と同じ発想だ。何故、山に登るのか?そこに山があるから。何故、谷間をみるのか?そこに………、おっぱいがあるからさ!的な?)
自分の目線に合わせてしゃがみ、心配そうにこちらの顔を覗いているアイリスが、前屈みになったのにも非があると自分の過ちを美化しようとする性根の腐った結城であった。
「なるほど。つまりはアイリスさんのいる世界は簡単に言うと、…………ヤバい!そういう事ですね?」
「まぁ、本当に簡単に言ったらそうなんですけど。本当に本当に私の説明理解してました??」
「何言ってんすか?マジで分かってますって!あれでしょ?俗に云うカゴ?加護?まぁ、カゴがヤバいって事でしょ!」
結城のウザい喋り方に流石のアイリスもこめかみに青筋を浮かべる程イライラしたが何とか気持ちを抑え込み話を続けた。
「もう一度言いますからね!よく聞いて下さいよっ!!私達の世界は」
アイリスの住む世界その名をアールと言い地球とは全く違う次元に在るらしく、科学による文明の発展では無く、魔術もしくは魔法によって文明が発展した世界なのだ。
アールでは、神は実際に生きている存在である。人々は八百万の神をその国々、その都市で、その町で、その村で、その人で崇めるのだ。その所以に、様々な神の加護があり戦いの神の加護を授かりし者は戦いを得意とし、癒しの神の加護を授かりし者は、病に苦しむものに手を差しのべたり。
また神の加護だけでは無く、効果は下がるもののあらゆるものからも加護を授かるのだ。精霊であり、霊獣であり、魔物であり。ただ、神の加護は強力である為その神が認めた者しか授かる事は出来ない。だからこそ、アールの人々は神を崇拝し、自分を認めて貰おうとしているのだ。
「という訳で、加護については分かりましたか?」
「なるほどね、つまりはこういう事だな?加護があれば良い感じって事だな!しかし、気になるんだけどさ、何でアイリスさんはこの地球にいるの?あっ、今は夢の中だけどね。」
「はぅっ!!…それはやっぱり気になりますよねぇ~。そうですよねぇ。アールの世界で探せばよかったんですけどねぇ。」
ブツブツと呟きながら完全にネガティブモードに切り替わったアイリスを見て、結城は地雷踏んだかも?と苦笑いを浮かべた。