紳士
長い長い放水が終わり、急に恥ずかしくなった結城は残像が見えるんじゃないかと思うスピードでパンツを履いた。
「きみ、これがどういった状況か分かるかい?僕にはさっぱり分からない。あっ、これは失礼。僕は結城。結城望、初めまして美しいお嬢さん。」
「はひいっ!はははじめまして!!あ、あの私アイリスと申します、あのっえっと!」
「ふっ、緊張なさらなくてもいいんですよ?あぁ、そうだアイリスさん。少し歩きませんか?緊張を解すためにもね。」
「えっ?!は、はいっ!そうですね!お散歩しましょう!」
アイリスは、この男性がよく分からなかった。用を足しているのに隠そうせず、此方をじっと見ているかと思いきや急に恥ずかしがり体がぶれたかと思うといつの間にかパンツを履いていて、その後何事もなかったような紳士的な振舞い。しかも、生まれて初めて異性の一糸纏わぬ姿(主に股間)を見てしまい、顔の火照りが取れずフワフワした浮遊感があって足取りが覚束ない自分がいる。少しでも顔の火照りを取ろうと両手で頬を冷やすように何度も頬を触った。
そんなアイリスを見て結城は自分のモノが見られた事も忘れて、ただ単純に美しい少女に見惚れていた。尚且つ自分の最大限の紳士的な態度で、この少女に好印象を与えようと、あわよくばお友達になろうとしていたのである。パンツ一丁で。
「それで、何故僕たちがここにいるのかわかりますか?」
「それは、この空間が」
「まぁ、そんな事はどうでもいいじゃないですか。僕は貴女と出逢えたこの運命に感謝しているんです。貴女のような…女神さまにね。」
「っ?!よくわかりましたね!何で分かるんですか??すごーいっ!!もしかして、加護をお持ちなんですか!」
「(あれ?何か物凄く食いついてきちゃったんですけどぉっ!カゴって何だよ、何も持ってないけど?まいっか!)ははっ。貴女の事なら全てが分かるような気がしますよ。アイリスさん、この運命の出逢いは何か特別なものを感じますね。神よ。感謝します。ありがとう!」
「そんな感謝だなんて!こちらこそありがとうございます!いきなりあなたの夢にお邪魔して、そのっ、全部見ちゃったのに!心の広いお方なんですね。」
「いえいえアイリスさん、アイリス!見られて減るもんでもありません。むしろ、もっと見て頂いても…、おっと少しジョークが過ぎましたね。ははは。は?夢?えっ??夢なの?」
「はわわわわっ!!もももっと見たいななんて、そそんな事は………、じゃなくて!!そうなんです!この空間は此方で言う夢の世界ですよ。それで、私が貴方の夢に運命を司る私の力で干渉させて頂いてもらってるんです。」
「えぇー?夢なのー?はぁ、何だよー。このおっぱいの大きい超タイプの美少女も俺が作り出した夢なのー?この運命がどうのこうのってめんどくさい設定もー?何だよー。夢かよー。紳士ぶった意味無いじゃん!お友達になって、いろんな事したかったのにっ!!おっぱい揉みたかったのにっ!!!!あっ、どうせ夢なんだよな。…っそいや!」
モミモミモミモミモミモミモミモミモミモミモミ
「すっげぇ柔けぇええっ!!!!」
「ちちょっ///やめっ!…アッ、だめぇえええっ!!」
何もない空間にバチンと渇いた音が響いた。