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SAKUYA  作者: まひる
49/52

その49.突

「…まさか、創造者に逢えるとは思わなかったよ。」


 幼い頃一族を殺され、幾度も恨み言を叫んでいた光樹コウキ


 だが今の感情は、それと比べものにならない程に黒い。


「それにしても、朔也サクヤに随分と酷い事をしたね。さすがに僕の我慢も限界を超えた。」


 鋭い視線を向けたまま、隠しておいた短剣を突き出した。


「ふん、剣を使うのか。じゃあ、私と勝負しよう。本当はその魔力所持者と遊びたいのだが、中々起きなくて退屈していたところだ。君が勝てば、それは持って帰って良いぞ。私が勝てば、君の身体は私が好きに使わせてもらう。ちょうど新薬の実験をしたかったんだ。ついて来い。」


 リラーデは軽く指で合図すると、先に歩いて行ってしまう。


 光樹は短剣をしまい朔也を抱き上げると、何も言わずに後を追いかけた。




 リラーデが連れて来たのは闘技場の様な空間だが、建物の地下とは思えない程の広さ。御丁寧に観客席まであった。


「ほら、君の剣だ。同じ物を使った方が面白い。準備は良いか?」


 一本を大地に突き刺す。細目の両刃の剣を手にしているリラーデは、朔也を抱いている光樹の意志を確認してきた。


 光樹は辺りを見回す。少し放れた場所に壁に沿って造り付けられた長椅子を見付けた。


「少し待っていてね、朔也。」


 そっと朔也を壁にもたれ掛かる様に座らせる。


 そして優しく抱擁すると、鋭い眼差しをリラーデに向けた。


「良いよ、やろう。」


 光樹が大地にリラーデの突き刺した剣を手にするのを合図に、すぐに戦闘が始まる。


 剣が放つ火花と金属音。荒い息遣いと足音が広い空間にコダマした。


「剣の腕は中々だな。太刀筋が単純だが、魔物相手にはちょうど良い。私には物足りないがな。」


 それまでは光樹に合わせていたのか、急にリラーデが優勢になる。


 押され、防戦一方になる光樹。幾度かの太刀筋を避け切れず、紅い線が身体を走った。


「もう飽きた。」


 リラーデの言葉は、心に素直故にすぐに次の動きに繋がる。


 鋭い閃光が光樹の左脇腹を貫いた。


「…ぐっ…。」


 苦痛に歪む光樹の顔。


「痛みには強いんだな。これならどうだ?」


 リラーデは、光樹に突き刺した剣を捩る様に動かす。


「ぐあぁぁ…っ!」


 さすがに悲鳴を上げる光樹。立っている事も出来なくなり、崩れ落ちる様に膝をついた。


「なんだ、普通だな。腹腸ハラワタ出したら、いつまで生きていられるかな。」


 殺意のない、純粋な悪意。


 リラーデがその手を光樹の腹部に伸ばした時、異変が起きる。


 既に意識が飛びかけている光樹の身体を、包み込む様にして青白い光が広がった。



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