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SAKUYA  作者: まひる
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27/52

その27.対魔法戦

「朔也(サクヤ)ーっ!」


 理性が吹き飛びそうになっていた朔也の耳に光樹(コウキ)の声が届く。


 即座に屈み込むと、その頭上を火炎弾が二発通り過ぎて行った。


 光樹の放った火炎弾は法術師二人に直撃。溶けるように炎上する。


「ほぅ、射撃の腕は大したものだな。だが、今ので私を狙わなかった事を後悔するなよ。」


 アルバは仲間が次々倒れて行くのを露とも感じていないようだ。


「炎。」


 血の小瓶を掲げると、朔也とザザルーに事もあろうか魔法を放つ。


「水壁(スイヘキ)!」


 真っ直ぐ飛んで来る火の柱に直撃したザザルーを横目に、朔也は即座に水の防御魔法で防いだ。


「熱っ…、さすがにこの距離で直撃はキツイな。っうか、魔法かよ。人様の血を使いやがって、卑怯な奴!」


 魔力所持者の血液を自然界との媒介に使用し、魔法を発動させるアルバ。


 対魔法戦に経験がない朔也だが、それでもアルバの戦闘方法に怒りを隠せない。


「どうした、もう終わりか?炎、炎、炎。」


 連発される魔法攻撃を水の防御魔法で受け止め、その熱さに顔を歪ませた。


「うるせーんだよっ、風刃(フウジン)!」


 朔也は風の刃をアルバに放つ。


「ふっ、効かないな。炎。」


 だが、それも直ぐに血の小瓶に吸収された。アルバの魔法攻撃が再び朔也に向けられる。


「っざけんな!風浪水波(フウロウスイハ)っ!」


 朔也は防御を捨てて、風と水の二種類同時魔法攻撃。うねりを伴った魔法の津波がアルバに襲い掛かる。


 アルバの放った火の柱は掻き消されたが、朔也の魔法攻撃も血の小瓶に吸収され始めていた。


「…くっ、まだだぜ!」


 苦痛に顔を歪ませながらも、両腕を突き出して魔力を維持し続ける。魔力を放出する分、魔法の力が増幅していくのだ。


「おぉ、素晴らしい!これ程までの魔力を総て吸収すれば、私はこの世界の王と成れるやもしれん。」


 欲望に塗(マミ)れたアルバの高笑いが辺りに響き渡る。


 だが、血の小瓶に少しずつ変化が生じて来た。沸き立つ様に小さな泡が発生している。


 二種類同時魔法発動を継続的に行っている朔也の顔色は、無理をしている分明らかに青白くなってきていた。


「…くっ…。」


 身体が揺らぎ片膝をつく。既に肩が大きく上下し、息をするのも辛そうだ。


「ふははっ、もう終わりか?もっと魔力をよこすんだっ。」


 アルバは目の色が変わっていた。これも魔力の影響なのか、心中に潜在する闇を掻き立てられる。



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