その25.攻撃
「忌み子…、まだいたのか。だが、私に魔力は効かぬぞ。」
純人類統轄であるこの男アルバは、魔力所持者を数多く亡き者にしてきた。
「ほぅ、即座に防御結界を張れるのか。実戦経験が豊富の様だな。面白い、少し楽しませてもらおうか。」
雪煙が晴れていく中で朔也の姿を視認したアルバは、楽しそうに口元だけ笑みを浮かべる。
「はぁ…、あっぶねーな。大丈夫か?」
朔也は周囲を見回し、光樹とティムの無事を確認した。
咄嗟に風の防御魔法を使ったが、余りの法術の威力に周囲の雪ごと吹き飛ばされたのだ。
二人が雪を払いながらも立ち上がる。それを見て朔也は胸を撫で下ろした。
「無事だな、二人とも。少し離れていた方が良い。あいつ等纏めてじゃ、俺の魔力で守り切れない。」
頬に付いた雪を手の甲で拭いながらも、敵に目を向けたまま告げる。
「でも、朔也一人じゃ…。」
光樹の言葉にゆっくりと首を振る朔也である。光樹とティムは、法術に対しての攻撃手段も防御手段もない。
「…わりぃな、守るのは苦手なんだ。」
後ろ姿の為に表情は見えないが、朔也の精一杯の仲間への気持ち。
元より攻撃主体の朔也だ。防御しながらの戦闘は集中を著しく欠くことになる。
「サク、あいつ…血の匂いする。魔力の…血。」
ティムは、アルバに異質の物を感じていた。
頻りに宙に鼻を向け、匂いを嗅いでいる。
「そういえば、人間は魔力を感知出来ないはずだよね。攻撃する前のあの段階でこちらの気配に気付いたって事は、何らかの感知手段を持っているのかな。気をつけて、朔也。」
魔の存在に近い魔物なら別だが、通常人間は魔力を知る事は出来なかった。
光樹はぱちんこを構え、援護する体勢を取る。
「あぁ。でも、あいつの周りにいる法術師が邪魔だな。一斉に攻撃されたら俺の防御が持たない。」
先程も吹き飛ばされた為に、次の攻撃に悩む朔也。
法術が組み上がるロスタイムを利用出来ない程の人数だ。
魔力には限界があるが、法術は素材と言魂があればいくらでも術を組み上げる事が出来る。故に、長期戦は不利だ。
「っ、来た!風壁!」
考える時間を与えてくれないのは当たり前である。
法術師三人の術が組み上がった為、改めて攻撃を仕掛けて来たのだ。
朔也は風の防御魔法を張りながらも、即座に攻撃用の魔力を右手に集中させる。
「光樹はティムを頼む、風刃!」
青白い風の刃を法術師に向けて放った。




