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*第35話*

パンッパンッパンッ

スキー場に銃声が鳴り響いた。

中からは「キャーッ!!」という声が大半だった。

そりゃそうもなる。いきなり発砲音が鳴ったりしたら。


「確保ー!!」

一人の察が大声で叫んだ。

あたしと圭吾とりょーは裏口からカフェのロビーに走った。

ロビーにはみんなが固まっておびえていた。

テロ集団の中の奴らがこっちに気づき、銃を構えようとした。が、その構える前に

りょーがそいつの手首を蹴り、銃を落とした。

テロ集団はいっても少人数で精々3人。3人・・・の時点でテロとはいえないかもしれないけど。

一人が入り口の方に向かったから、後は一人。

そいつが銃を構える前に蹴り落とそうとしたりょーを

そいつは手で止めて、すぐ近くにいた客___燐を人質にこめかみの辺に銃の先を当てた。

「俺らはテロじゃねぇ。ただ、ここのスキー場を襲いたかっただけだ」

やっぱりこのスキー場になにか恨みがあるのか・・・

チッ・・・面倒せぇ・・・

「君達!さがってなさい!」

「察はだまってろ。」

りょーが睨み付ける様に言うと、察達はおめおめと下がった。

なんて弱い奴らなんだ・・・まったく。

「その人質の中の人質、かえしてもらえる?」

そういったときには、銃を蹴り落とされた奴が立ち上がって

カフェの厨房からもってきたであろう包丁を怯えている人質に向けていた。

「お前がそこから動いたら、こいつら全員地獄行だぜ?」

「・・・わかった、動かない」

そういいつつも、あたしは後ろにいた圭吾に手で合図した。

(入り口に回れ)と。

ちらっと後ろを向くと、りょーも意味が分かったらしく

圭吾をカモフラージュしながら、後ろにさがった。

圭吾はその隙に裏口近くの影に走りこんだ。

「さぁ・・・察を呼んだのはだれだぁ?」

燐に銃をつきつけている奴が笑いながら不気味に言った。

「あたしだけど。なにかよう?」

あたしは返事した。

「お前かぁ?・・・お前は見たことねぇかおだな。まさかリフトから降りたのか?」

「そうだけど、悪い?お前らみたいなのに悪いなんて言われたら人生終わりだ」

殺し集団に言われたら元も子もない。

「いいや別に悪かねぇなぁ?人質を助けたかったんだからよ?けどまぁ・・・

その察を呼んだヒーローが、自分自身を殺してしまうとはなぁ!!!」

そう放ったように叫び、拳銃があたしの方に向けられた。

あたしは怖かった。けど、大丈夫だと確信があった。理由はたった一つ・・・

「俺の愛方もんに手ぇだすんじゃねぇっっ!!!」

圭吾が後ろからそいつを本気で蹴り入れた。

「うぐぁっ」

と言って犯人はそこにぶっ倒れた。ついでに包丁を持っている奴も

首のところを本気でチョップすると気絶して倒れた。


大丈夫だと確信した理由。それは圭吾が助けてくれると信じていたから。


「皆、外へ逃げるんだ!!!」

カフェの中で怯えていた人たちは次々と外に出て行った。

燐だけは、へなへなとその場に崩れ落ちた。

「燐!!!大丈夫か?!」

あたしと圭吾が駆け寄ると、ずった眼鏡を直して

「いいことがあった後にはいやなことがあるって言うけどコレは嫌すぎるだろ・・・」

苦笑い涙笑いの燐にあたしと圭吾は少しホッとした。


この集団殺し事件の真相はスキー場のオーナーと

犯人達が全部話したらしい。

人質は誰も殺されなかったけど、旅行は1泊2日で帰ることになった。


「ただいまぁ」

「音々!」

「ねぇちゃん!!」

家に入るとお母さんのるかが駆け寄ってきて

「大丈夫なの?!」

とか

「なにもされてないのか!?」

とか色々ギャーギャーと聞いてきた。

はぁ・・・ほんと、心配性なんだから・・・

「大丈夫だよ、あたしは全然安全な人」

安全・・・でもなかったけどな・・・(笑)

「はぁー・・・よかったぁ・・・俺、ねぇちゃんが怪我して帰ってきたら

そいつらを完全犯罪で殺そうと計画練るところだったんだよ??」

「るか・・・それはぎゃくにあたしを悲しませる事になるからやめろ」

ちょっとした談笑・・・(?)をして、すぐ部屋にもどった。


部屋にはいってすぐ、あたしはベットに飛び込んだ。

「はぁ・・・・」

あたしはかなり英雄的な事をした。

今は胸のなかが優越感にひたひた・・・だけど

実はこの後かなり心臓に悪いイベントが待ち受けてるわけで・・・

「・・・返事、どうなの・・・かな・・・」

圭吾に勢いで告白したけど、それでも返事はゆっくりだし怖い。

振られたらあたしはどうすればいいのだろうか・・・

そうだ、りょーに電話掛けてみよっ・・・


プルルルプルルル


『はいー』

「りょー・・・!」

『なんだよ?そんな鼻声で』

知らない間にあたしは半泣きだった。

「あの、あのさっ・・・圭吾・・・にさ、告白・・・したんだよ・・・!」

『えぇ?!まじで?!てか昨日の騒ぎのどこでんなこと・・・』

「コンドラの中で勢いで言ってしまった・・・」

『そうか・・・。あの騒ぎの中でそんな恋愛ムードムンムンだったんだな』

「そうじゃなくて!圭吾に好きな人聞かれて・・・」

『そういうことね。で?返事は?』

「まだわからん・・・。騒ぎが終わってからって言ったから」

『だったら、待つしかないだろ。』

「そうだけど・・・振られたときの衝撃がさぁ・・・」

『振られたら燐に慰めれもらえるんだろ?聞いたぜ?』

あ・・・そうだった・・・

「そうだけどー・・・」

そういったとき、窓の方からコツコツとたたく音が聞こえた。

見ると、そこには案の定圭吾がいた。

胸が脈打った。なににか体が一瞬震えた。

「圭吾・・・きた」

『なら俺は切るよ。がんばれ、振られたら俺らで慰めてやるから』

りょーはなにか意図があるように言って電話を切った。


あたしはすぐに窓をあけて圭吾を中に促した。

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