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*第33話*

かれこれリフトは20分止まっていた。

下で何が起きているかリフトに乗っている客は分からず

ただただ動くのを待っていた。

・・・凍える吹雪の中で・・・

「音々、おーちゃんに電話、してみて」

「あ、あぁ・・・」

あたしはいまにも寒さに凍え死んでしまいそうだった。

それでなくても寒いのは苦手なのに・・・


震える手で、おーちゃんに電話を掛けた。

・・・が、おーちゃんはまったく電話に出ない。

「ダメ、でない。」

「チッ・・・なんででねぇんだよ・・・」

圭吾は少し苛立ったように言った。

そりゃ苛立ちもする。

「少しでも下の様子が分かればいいんだけどな・・・」

圭吾が後ろを向きながら言った。

後ろを向いても吹雪で何も見えないんだけど・・・

「そうだ、りょーに電話してみる」

「っ・・・あ、あぁ」

圭吾は一瞬詰まったようだった、けど

寒さにそんな事いちいち気にしてる場合じゃなかった。


りょーに電話をかけると、りょーはちゃんと出てくれた。

「りょー!!音々だけど、下、どうなってんだ?!」

『あぁ・・・音々か。あまり大声だすな、漏れるから』

「どうしたんだ・・・・?」

『事件発生中っていうのが正解かな・・・。簡単に言うと

テロって奴・・・?というかまだ未遂だけど』

「テロ!?だ、だからリフトも止まってる、と?」

『そういうことだな・・・ケータイも俺とリフトに乗ってる人意外は通じない』

「そう・・・ってどうしてりょーだけ通じるんだよ」

『俺は今、テロ集団たちが立てこもってるカフェの裏口にいる。

あまり大きな声をだすとすぐ見つかるところだ』

「そ、そうか・・・察とかは呼んだのか?」

『いいや、呼んでない。呼んだらすぐに全員殺すだと・・・』

「くそ・・・こんな時に限って・・・りょーはそこから出られないんだろ?」

『あぁ・・・。俺らは本当に不運だな・・・・。さぁ・・・こっからどうするか・・・』

あたしは下を見てつぶやいた。

「一か八か・・・か」

『なにがだよ?』

「・・・下に飛び降りて、あたし達が直接察を呼びに行くんだよ。

幸い、ゴンドラは動いてるぽいからな・・・」

『それは危なすぎる!お前らが怪我する確立がほとんどだぞ?!』

「だから一か八かなんだよ。けど、あたしと圭吾なら大丈夫だと思う」

『どこからそんな自身が・・・』

「大丈夫。燐に言われたんだ。井上は強いって。あたしだけでも下に降りれればいい」

『・・・わかった。リフトから下までどのぐらいだ?』

「精々3M・・・ってとこか・・・うん、大丈夫。いける」

『気をつけろよ』

「大丈夫だよ、それじゃぁな」


りょーとの通話を切り、圭吾の方を見ると

「音々だけ行かせるとか俺にはできねぇ。俺も行く。このぐらいなら大丈夫だ」

「・・・わかった。大怪我だけはお願いだからするな」

「俺ももうそんなに弱かねーっての。それじゃ俺から行く。」

正直、リフトに乗ってる安全なあたし達が

なんの意味あってこんなことしてるかわからないけど

せっかく今から圭吾と滑れると思ったこの幸せを邪魔した

テロ集団が許せなかった。正直言って死んでしまえ。


圭吾はボードの片方もつけて前のバーを上に上げて大きく息を吸って

飛び降りていった。残念ながら下は吹雪いていて何も見えない。

あたしはもう一度バーをおろして、ボードの片足をつけた。

そしてすぐにバーをあげて飛び降りた。少しぐらい恐怖はあったけど

そんなこと仕方が無いと思った。このぐらいどうってことはない。

尻餅をついたが無事に着地する事ができた。

その隣には体制を立て直している圭吾がいた。

あたしは大声で

「圭吾!!!!」

と呼んだ。圭吾はこっちを向いて

「こっからまっすぐ降りるぞ!」

といいながらあたしの方へ来た。

「どっちがどっちを見失おうと降りるんだ。OK?」

「OK、相方。そんじゃ行くぞ!」

あたしと圭吾は同時にボードを滑らした。

どっちの早さも同じではぐれる事はなく

どんどん下に近づいていった。

下にたどり着いた時、あたしは圭吾に笑いかけて

「大丈夫だな!」

と声を掛けた。圭吾も笑顔で

「あぁ!!」

と返事した。吹雪いている中、圭吾の笑顔は流されたりしない。


「それじゃ、ここからは道を考えていこう。

多分、そのテロ集団はカフェから外に誰かいないか見張っているだろう。

だからカフェ前を通らない最低限の近い道で行こう」

「あぁ。だとしたら、レンタルの小屋の後ろを通って

かなり吹雪くのをまってゴンドラに行く・・・が最低限に近いか・・・」

「これこそ一か八かだな。ゴンドラは無人でもうごいてるのに変わりないから大丈夫だな」

「あぁ。あ、一応りょーに掛けとくよ」


りょーに掛けるとすぐにりょーはケータイにでた

『もしもし、掛けてきたってことは大丈夫だったんだな?』

「うん、二人とも無事だ。今、リフトから降りてたすぐ下にいるよ。りょーは大丈夫か?」

『なんとかな・・・テロ集団の一人が裏口に来そうだったから

一回外に出たよ。案の定、裏口を開けて除いて鍵閉めていった。

俺は幸い外の物陰に隠れててばれなかったけどな」

「そうか、ならよかった・・・。これから見つからない程度の最短距離でゴンドラに向かうから。

あぁ、大丈夫だ。ゴンドラに見張りがいたとしてもそいつぐらい一撃でやれる。

うん、わかった。じゃぁ、りょーも気をつけてな」


「それじゃ・・・行くか」

「うん。行こう」


あたし達はレンタルの小屋の裏手に向かった。

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